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侍女達
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私の名前はカリーナ・ブルーレーク。
我が儘放題で自由気ままなディモス侯爵令嬢、ラーラルーナ様に付いてシュバルツバルト領へと行く様に命令された侍女です。
婚約者キャスバル・フォン・シュバルツバルト様は次期領主と言う事で、この婚約は絶対に壊さない様に気を付けてラーラルーナ様を見る様にとキツく言われた。
とにかくラーラルーナ様はご自分の気持ちに正直で私達侍女の言う事を余り聞かない。その為、私達侍女は少しきつめにラーラルーナ様に対応する様になったのだけど、ラーラルーナ様はどこ吹く風で気になさらない。
他家の令嬢はすぐに気になさってあれこれとやり取りをするのだけど、ラーラルーナ様は何も言わず変わらない。
今回の婚約者様の所への訪問も普通ならば少しは考えると思うのに、嬉々として向かい義理の妹様となる方の婚姻式にもお邪魔するとの事で私の胃は途轍もなく痛い。
国境までの旅は宿屋を利用して私もまだ楽が出来たけど、婚約者様と合流したその日の内に一緒に野営すると言われた時は何て事を言い出すのか!と思ったわ。
それでも宿屋を使っても良いと言われて宿屋へ向かって暫くしたら、結局呼び戻されて……でも向かった先で天幕?を用意されてすぐさまラーラルーナ様の面倒を見に行ったのだけど……正直、宿屋より良くて驚いたわ。
ラーラルーナ様の天幕と比べると小さくて見劣りはする物のベッドはフカフカで、天幕の中は清潔で静か。誰かが覗く訳でも無い天幕の居心地は良かったわ、それに一番驚いたのは食事よ!今まで食べた事の無い様な美味なる食事が私達従者にもたっぷり与えられ、太ってしまうんじゃないかと心配になる位だったわ。
そうしてシュバルツバルト領の領都に到着してみたら、もう本当に驚きしか無かったわよ!だって今まで見た大店よりも大きな店が何軒も軒を連ね、華やかなドレスや見た事も無い雑貨やお飾りが店先に飾られていたのよ!
こんな素晴らしい領都を抱える領主の嫡男と婚約してるなんて!そりゃあ旦那様も輿入れが無くなる様な事なんてしたくないわっ!て思ったもの。
更に驚いたのは領主館。
お城よ!お城!大きく広いエントランスホールはディモス侯爵家の夜会に使うホール位広くて、天井も高かったのよ!
その高い天井から吊されたシャンデリアの豪華で煌びやかさったら、もう!素晴らしい!の一言に尽きるわ。
こんな凄い領主館に輿入れするラーラルーナ様、やっていけるのかしら?
婚約者様も凄く素敵な方だったけど、ご家族の皆様も素敵な方達ばかり。ハッキリ言えばラーラルーナ様が見劣り過ぎて悲しくなる位だったわ。
婚約者様はご家族の皆様達と一緒に行かれ、私達は執事の案内で客室へと行ったのだけど……エントランスホールから結構歩かされたわ。そりゃあもう、信じられない位よ。
「こちらの先はキャスバル様の執務室や寝室等がありますので、行かれない様にお願い致します」
と言われたけどラーラルーナ様、我慢出来るかしら?興味があればこっそり行ってしまう様な方だから、気を付けて見張ってないとね!
「では、こちらの先にお部屋を用意致しましたのでどうぞ」
そう言われて案内された部屋は見た事も無い位豪奢な部屋で、私はもとよりラーラルーナ様も唖然としていたわ。
でも驚いたのはそれだけじゃ無かったなよ。
「お付きの侍女殿はこちらのお部屋をお使い下さい」
そう言われて入った部屋は侍女が使う様な部屋じゃなくて、下位貴族の令嬢が使う様な小洒落た内装の部屋で本当に使って良いのか一瞬迷ってしまった。
本当に付いて来て良かった!こんなに待遇が良いなら、ずっと侍女として仕えても良い位!
そんな風に思ってラーラルーナ様の荷解きをしている最中、何名か若い娘達を連れて来た侍女頭みたいな女が来てラーラルーナ様に侍女を付けるって言い出して!その若い娘達から一名選べって言ったら、ラーラルーナ様は一番若い娘をって言った所。侍女頭みたいな女がマリエルって娘を紹介して部屋に置いて行った。
若くて美しい娘マリエルは、ちょっと着飾ればそこらの男なら直ぐさま結婚の申し込みをしそうな娘で私みたいな行き遅れとは違う雰囲気で正直面白くない。
ニコニコと笑顔で頭を下げたマリエルに私は自分の醜い嫉妬心を感じさせられ、つい軽く睨んでしまった。
私の名はマリエル・フォン・ルキノ。お姉様がエリーゼ様の侍女をやってて、凄く自慢で私もいつかエリーゼ様の侍女になりたいって思っていたの。でもエミリ様から次期様の婚約者様……ラーラルーナ様の侍女に選ばれたら、専属侍女を目指して貰いたいってこっそり言われたの。
普通の侍女でも凄く良いのに、専属侍女なんて!凄い!でも専属侍女って大変なのよね?凄く厳しいって噂されてるの。
同じ見習いや侍女の人達と一緒にラーラルーナ様のお部屋に行って、このご令嬢様が次期様と婚姻される帝国令嬢なんだって思って見詰めていたの……そしたらラーラルーナ様はサッと見て、一番若い娘をって言って……連れて行かれた皆の中で私が一番若かったの!私が侍女に選ばれたの!
「では、明日からこのマリエルも侍女としてお部屋に参ります。マリエル?」
エミリ様にご挨拶する様にと目で告げられて一歩前に出たの。
「マリエル・フォン・ルキノでございます。明日からよろしくお願い致します」
侍女見習いのお仕着せを摘まみ、深く頭を下げる。うん!ちゃんと挨拶出来てる!
姿勢は美しく!礼儀正しく!笑顔を絶やさない!お姉様からいつも言われていた言葉。侍女の品格が主の品格に繋がるから、ちゃんとするのよって。
……でも、どうしてラーラルーナ様のお付きの侍女様は睨んで来るのかしら?
あら?でも……侍女様は専属じゃないのかしら?何だかお仕着せも少し、こう……でも、ラーラルーナ様も旅装っぽいドレスだし気のせいよね?
「それでは私達は退室させて頂きます。何かありましたら部屋付きのメイドがおります故、何でもお申し付け下さい」
そうエミリ様がラーラルーナ様に頭を下げ私達に「退室しますよ」と声を掛けて、ラーラルーナ様の部屋を退室しました。
「マリエル以外は皆戻るように。マリエルはこのまま付いて来る様に」
そうエミリ様が言ったので、皆はサッサと戻ってしまいました。
「マリエル。明日から輿入れの日までラーラルーナ様に付いているように。勿論、帝国までです。あちらに行っても侍女としてきちんとラーラルーナ様にお仕えし、輿入れ後は専属侍女として教育します。良いですね?」
「はいっ!」
私に迷いは無い。不安な事は幾つかあるけど、でもいずれ戻って来て次期様の奥様の専属侍女になる!エミリ様からの教育は良く分からないけど、でも専属侍女って上級使用人で特別なの。
今日、お姉様に会ったら報告しなくっちゃ!
「明日からは見習いじゃなくて、侍女のお仕着せになるのよ。気を引き締めてお仕えなさい。今日はもう上がりよ」
そうエミリ様は言って微笑んでくれた。
執事さんが立っていてペコリと頭を下げるとエミリ様が「彼女がラーラルーナ様付きの侍女となります。後はよろしくお願いします」と言って本館へと戻って言った。
「今日から部屋が変わります。それと同時にお仕着せ等も変わりますから付いて来て下さい」
執事さんに付いて行って使用人棟の新しい部屋に案内され、部屋の荷物を持ってくる様に言われて慌ててお引っ越しをした。
終わる頃にまたやって来て、数着の新しいお仕着せや靴やヘッドドレスをドサッと置いて行ったの。
お姉様とお揃いだわ!嬉しくてちょっとだけ飛び跳ねてしまったの。そしたらね……
「ふふ……おめでとうございます。見習いから急に侍女となるのは大変だと思いますが頑張って下さい。何かあったら誰でも良いから話して下さい。私達の一番大切なご主人様は旦那様であり、奥様です。あちらに行ったら相談は中々難しくなるかも知れませんが、必ずこちらに帰って来れます。良いですね?必ずです。貴女は栄えあるシュバルツバルト侯爵家の侍女だと胸に刻んで仕えるのです」
「はいっ!」
優しくも厳しい言葉に何だか胸が熱くなる。そうだ……私、凄く頑張ってここに勤める事を許されたんだ……
あんな睨みつけなんかに負けない!
明日からの為に今日はお腹いっぱい食べて元気になるんだ!
頑張るぞー!
我が儘放題で自由気ままなディモス侯爵令嬢、ラーラルーナ様に付いてシュバルツバルト領へと行く様に命令された侍女です。
婚約者キャスバル・フォン・シュバルツバルト様は次期領主と言う事で、この婚約は絶対に壊さない様に気を付けてラーラルーナ様を見る様にとキツく言われた。
とにかくラーラルーナ様はご自分の気持ちに正直で私達侍女の言う事を余り聞かない。その為、私達侍女は少しきつめにラーラルーナ様に対応する様になったのだけど、ラーラルーナ様はどこ吹く風で気になさらない。
他家の令嬢はすぐに気になさってあれこれとやり取りをするのだけど、ラーラルーナ様は何も言わず変わらない。
今回の婚約者様の所への訪問も普通ならば少しは考えると思うのに、嬉々として向かい義理の妹様となる方の婚姻式にもお邪魔するとの事で私の胃は途轍もなく痛い。
国境までの旅は宿屋を利用して私もまだ楽が出来たけど、婚約者様と合流したその日の内に一緒に野営すると言われた時は何て事を言い出すのか!と思ったわ。
それでも宿屋を使っても良いと言われて宿屋へ向かって暫くしたら、結局呼び戻されて……でも向かった先で天幕?を用意されてすぐさまラーラルーナ様の面倒を見に行ったのだけど……正直、宿屋より良くて驚いたわ。
ラーラルーナ様の天幕と比べると小さくて見劣りはする物のベッドはフカフカで、天幕の中は清潔で静か。誰かが覗く訳でも無い天幕の居心地は良かったわ、それに一番驚いたのは食事よ!今まで食べた事の無い様な美味なる食事が私達従者にもたっぷり与えられ、太ってしまうんじゃないかと心配になる位だったわ。
そうしてシュバルツバルト領の領都に到着してみたら、もう本当に驚きしか無かったわよ!だって今まで見た大店よりも大きな店が何軒も軒を連ね、華やかなドレスや見た事も無い雑貨やお飾りが店先に飾られていたのよ!
こんな素晴らしい領都を抱える領主の嫡男と婚約してるなんて!そりゃあ旦那様も輿入れが無くなる様な事なんてしたくないわっ!て思ったもの。
更に驚いたのは領主館。
お城よ!お城!大きく広いエントランスホールはディモス侯爵家の夜会に使うホール位広くて、天井も高かったのよ!
その高い天井から吊されたシャンデリアの豪華で煌びやかさったら、もう!素晴らしい!の一言に尽きるわ。
こんな凄い領主館に輿入れするラーラルーナ様、やっていけるのかしら?
婚約者様も凄く素敵な方だったけど、ご家族の皆様も素敵な方達ばかり。ハッキリ言えばラーラルーナ様が見劣り過ぎて悲しくなる位だったわ。
婚約者様はご家族の皆様達と一緒に行かれ、私達は執事の案内で客室へと行ったのだけど……エントランスホールから結構歩かされたわ。そりゃあもう、信じられない位よ。
「こちらの先はキャスバル様の執務室や寝室等がありますので、行かれない様にお願い致します」
と言われたけどラーラルーナ様、我慢出来るかしら?興味があればこっそり行ってしまう様な方だから、気を付けて見張ってないとね!
「では、こちらの先にお部屋を用意致しましたのでどうぞ」
そう言われて案内された部屋は見た事も無い位豪奢な部屋で、私はもとよりラーラルーナ様も唖然としていたわ。
でも驚いたのはそれだけじゃ無かったなよ。
「お付きの侍女殿はこちらのお部屋をお使い下さい」
そう言われて入った部屋は侍女が使う様な部屋じゃなくて、下位貴族の令嬢が使う様な小洒落た内装の部屋で本当に使って良いのか一瞬迷ってしまった。
本当に付いて来て良かった!こんなに待遇が良いなら、ずっと侍女として仕えても良い位!
そんな風に思ってラーラルーナ様の荷解きをしている最中、何名か若い娘達を連れて来た侍女頭みたいな女が来てラーラルーナ様に侍女を付けるって言い出して!その若い娘達から一名選べって言ったら、ラーラルーナ様は一番若い娘をって言った所。侍女頭みたいな女がマリエルって娘を紹介して部屋に置いて行った。
若くて美しい娘マリエルは、ちょっと着飾ればそこらの男なら直ぐさま結婚の申し込みをしそうな娘で私みたいな行き遅れとは違う雰囲気で正直面白くない。
ニコニコと笑顔で頭を下げたマリエルに私は自分の醜い嫉妬心を感じさせられ、つい軽く睨んでしまった。
私の名はマリエル・フォン・ルキノ。お姉様がエリーゼ様の侍女をやってて、凄く自慢で私もいつかエリーゼ様の侍女になりたいって思っていたの。でもエミリ様から次期様の婚約者様……ラーラルーナ様の侍女に選ばれたら、専属侍女を目指して貰いたいってこっそり言われたの。
普通の侍女でも凄く良いのに、専属侍女なんて!凄い!でも専属侍女って大変なのよね?凄く厳しいって噂されてるの。
同じ見習いや侍女の人達と一緒にラーラルーナ様のお部屋に行って、このご令嬢様が次期様と婚姻される帝国令嬢なんだって思って見詰めていたの……そしたらラーラルーナ様はサッと見て、一番若い娘をって言って……連れて行かれた皆の中で私が一番若かったの!私が侍女に選ばれたの!
「では、明日からこのマリエルも侍女としてお部屋に参ります。マリエル?」
エミリ様にご挨拶する様にと目で告げられて一歩前に出たの。
「マリエル・フォン・ルキノでございます。明日からよろしくお願い致します」
侍女見習いのお仕着せを摘まみ、深く頭を下げる。うん!ちゃんと挨拶出来てる!
姿勢は美しく!礼儀正しく!笑顔を絶やさない!お姉様からいつも言われていた言葉。侍女の品格が主の品格に繋がるから、ちゃんとするのよって。
……でも、どうしてラーラルーナ様のお付きの侍女様は睨んで来るのかしら?
あら?でも……侍女様は専属じゃないのかしら?何だかお仕着せも少し、こう……でも、ラーラルーナ様も旅装っぽいドレスだし気のせいよね?
「それでは私達は退室させて頂きます。何かありましたら部屋付きのメイドがおります故、何でもお申し付け下さい」
そうエミリ様がラーラルーナ様に頭を下げ私達に「退室しますよ」と声を掛けて、ラーラルーナ様の部屋を退室しました。
「マリエル以外は皆戻るように。マリエルはこのまま付いて来る様に」
そうエミリ様が言ったので、皆はサッサと戻ってしまいました。
「マリエル。明日から輿入れの日までラーラルーナ様に付いているように。勿論、帝国までです。あちらに行っても侍女としてきちんとラーラルーナ様にお仕えし、輿入れ後は専属侍女として教育します。良いですね?」
「はいっ!」
私に迷いは無い。不安な事は幾つかあるけど、でもいずれ戻って来て次期様の奥様の専属侍女になる!エミリ様からの教育は良く分からないけど、でも専属侍女って上級使用人で特別なの。
今日、お姉様に会ったら報告しなくっちゃ!
「明日からは見習いじゃなくて、侍女のお仕着せになるのよ。気を引き締めてお仕えなさい。今日はもう上がりよ」
そうエミリ様は言って微笑んでくれた。
執事さんが立っていてペコリと頭を下げるとエミリ様が「彼女がラーラルーナ様付きの侍女となります。後はよろしくお願いします」と言って本館へと戻って言った。
「今日から部屋が変わります。それと同時にお仕着せ等も変わりますから付いて来て下さい」
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終わる頃にまたやって来て、数着の新しいお仕着せや靴やヘッドドレスをドサッと置いて行ったの。
お姉様とお揃いだわ!嬉しくてちょっとだけ飛び跳ねてしまったの。そしたらね……
「ふふ……おめでとうございます。見習いから急に侍女となるのは大変だと思いますが頑張って下さい。何かあったら誰でも良いから話して下さい。私達の一番大切なご主人様は旦那様であり、奥様です。あちらに行ったら相談は中々難しくなるかも知れませんが、必ずこちらに帰って来れます。良いですね?必ずです。貴女は栄えあるシュバルツバルト侯爵家の侍女だと胸に刻んで仕えるのです」
「はいっ!」
優しくも厳しい言葉に何だか胸が熱くなる。そうだ……私、凄く頑張ってここに勤める事を許されたんだ……
あんな睨みつけなんかに負けない!
明日からの為に今日はお腹いっぱい食べて元気になるんだ!
頑張るぞー!
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