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婚約者 6 (キャスバル)

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「どうですか!我が領の味は?」

「とっても美味しいですわ!帝国にも無い美味に、私とっても驚きましたわ」

とても令嬢らしからぬ速度で完食した姿を見て、俺は嬉しくて嬉しくて思わず笑顔で自慢した。
その俺の言葉に素直に感嘆するラーラルーナ嬢に嫌な気持ちにはならなかった。

「美味しいと驚いて貰えると嬉しいですね。これら料理に関しては我が妹エリーゼが様々な調理や食材を私達に与えてくれたのでよ!我が妹は我が領の宝です!」

ついつい自慢が過ぎてしまったが、心底本当の気持ちを告げたがラーラルーナ嬢はニコニコと笑顔で俺は上手くやっていけそうだな!と思った。
まぁ、従者は分からないがな。

「ええ!分かりますわ。これ程の改革、素晴らしいとしか言えません。きっと色々なお料理があるのでしょうね」

ラーラルーナ嬢のどこか遠い目にエリーゼの姿が重なる。
少しだけ寂しそうなお顔に俺のお気に入りの料理を告げよう。そしてラーラルーナ嬢も気に入ってくれれば、きっと婚姻しても楽しい日々が過ごせる気がする。

「勿論です。野営では作る事が出来ませんが、我が家に戻りましたら是非とも私のお気に入りの料理。極厚チャーシュー乗せあっさり醤油ラーメンと鶏の唐揚げ、肉汁たっぷりギョウザを共に食したい」

「は?ラーメン……に唐揚げにギョウザ……?」

キョトンとしている。仕方ない、そんな料理は我が領にしか無い。
どれもこれも俺のお気に入りだが、何せ手間が掛かりすぎる事で野営には向かない。
精々が簡単な物しか作れないが、それでも野営にも使える様にと作られた調味料は多種多様に及び野営も苦痛には感じなくなってきた。
それにしてもラーラルーナ嬢の様子がおかしい。ずっとブツブツ言ってる。

「ラーメン……唐揚げ……ギョウザ……ラーメン……」

俺の告げた料理名を呟いてる。どうしたのだろうか?

「どうかされましたか?」

ハッ!と顔を上げて俺を見たラーラルーナ嬢の目が真剣そうで少しだけ身構える。

「そちらの料理もエリーゼ……様が?」

何だ?今の間は……おかしくないか?

「そうだが。何か?」

「いえ……そうですか……素晴らしいですわね、エリーゼ様は」

気のせいか?にこやかに微笑むラーラルーナ嬢の笑顔にホッと息を吐くも、少し気になる……が、我が家に戻るまでにはもう少し打ち解けるだろうか?
気に掛かる事があった所でどうにかするのも俺の力量と言う事だろう、母上に笑われない様に生きてきたんだ。この程度で腰が引けていたらシュバルツバルト次期侯爵の名折れだな、と軽く気合いを入れた。
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