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冬の終わりが近付いてきて(ラーラルーナ)
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帝国の冬は短い。隣国との間にある大山脈で冬の長さが変わる。
「こちらではもう春の兆しが感じられるのに……」
窓の外を見るラーラルーナの目には僅かに雪が残る大山脈の裾野。帝国側から見える大山脈は裾野から春へと変わりつつある景色。
「でも谷を越えたら大山脈の雪が溶けずにあるのよね……」
王国の春は遅い。そしてあっという間に夏になって秋が来て長い冬が来る。
「でも、領都があるのは海が近くて雪は少ないって聞いたけど……そこまでが雪深いってのがね……」
ラーラルーナは大まかな地図を思い浮かべて小さく息を吐く。
「あーあ……ルーク皇子の略奪愛とか生で見たかったなぁ……」
「あら?ラーラ、何を言ってるの?」
不意に後ろから声を掛けられてしまった!と思っても、すぐさま令嬢らしい微笑みを浮かべ振り返る。
「お母様、私少し驚きましたわ」
そう言うしかなかった。二階の小ぶりな談話室だけど、貴族基準の小ぶりは十五畳はある。
「あら、そう?春めいて来たから少しお話しでもしようかと思ったのだけど」
ラーラルーナの母はおっとりと、そう言いながらラーラの対面のソファに座り外を見つめる。
「お母様?」
母の態度に不審さを感じ、不安気に声を掛ける。
「ラーラ……実はね、シュバルツバルト侯爵家のご令嬢が五月婚姻なさるの。でね、貴女婚姻式に参列するのかしら?」
は?シュバルツバルト侯爵家のご令嬢って悪役令嬢よね?婚約破棄されて断罪されずに領地に帰って来て、新しい婚約者と婚姻式?
「お母様、その……シュバルツバルト侯爵令嬢のお相手って知ってますの?」
ほんのりと頬を染め、ホゥ……と溜息をつく。
「ルーク殿下よ。今まで婚約者もおらず出奔するとお噂があったのに、王国のご令嬢……しかも縁続きになるシュバルツバルト侯爵家のご令嬢と婚姻するのですって」
は?悪役令嬢が領地(親元)に戻って、隠しキャラと婚姻……大どんでん返しじゃない?いや……それよりもよ、コレ……最推しのルーク皇子が弟になるって事じゃない?チャンスキタコレ!って事じゃない!
神か!
「嬉しいですわ。輿入れが待ち遠しくて困ってしまうわ」
「ええ、本当に。旦那様も喜んでいたわ」
お父様がね……でも、これってよくよく考えるとシュバルツバルト侯爵家と帝国の繋がりが強くなるって事よね。
ただでさえシルヴァニア家との繋がりがあるなよね……キナ臭い事にならなければ良いのだけど……
新しく淹れなおされた紅茶を飲んで瞼を閉じて、婚約者とその側近らしき絵姿を思い出す。
「待ち遠しいわ……」
「ええ、そうね……」
私の呟きに母も呟き返してくれる。
大丈夫……きっと……そう願うしか無い。
「こちらではもう春の兆しが感じられるのに……」
窓の外を見るラーラルーナの目には僅かに雪が残る大山脈の裾野。帝国側から見える大山脈は裾野から春へと変わりつつある景色。
「でも谷を越えたら大山脈の雪が溶けずにあるのよね……」
王国の春は遅い。そしてあっという間に夏になって秋が来て長い冬が来る。
「でも、領都があるのは海が近くて雪は少ないって聞いたけど……そこまでが雪深いってのがね……」
ラーラルーナは大まかな地図を思い浮かべて小さく息を吐く。
「あーあ……ルーク皇子の略奪愛とか生で見たかったなぁ……」
「あら?ラーラ、何を言ってるの?」
不意に後ろから声を掛けられてしまった!と思っても、すぐさま令嬢らしい微笑みを浮かべ振り返る。
「お母様、私少し驚きましたわ」
そう言うしかなかった。二階の小ぶりな談話室だけど、貴族基準の小ぶりは十五畳はある。
「あら、そう?春めいて来たから少しお話しでもしようかと思ったのだけど」
ラーラルーナの母はおっとりと、そう言いながらラーラの対面のソファに座り外を見つめる。
「お母様?」
母の態度に不審さを感じ、不安気に声を掛ける。
「ラーラ……実はね、シュバルツバルト侯爵家のご令嬢が五月婚姻なさるの。でね、貴女婚姻式に参列するのかしら?」
は?シュバルツバルト侯爵家のご令嬢って悪役令嬢よね?婚約破棄されて断罪されずに領地に帰って来て、新しい婚約者と婚姻式?
「お母様、その……シュバルツバルト侯爵令嬢のお相手って知ってますの?」
ほんのりと頬を染め、ホゥ……と溜息をつく。
「ルーク殿下よ。今まで婚約者もおらず出奔するとお噂があったのに、王国のご令嬢……しかも縁続きになるシュバルツバルト侯爵家のご令嬢と婚姻するのですって」
は?悪役令嬢が領地(親元)に戻って、隠しキャラと婚姻……大どんでん返しじゃない?いや……それよりもよ、コレ……最推しのルーク皇子が弟になるって事じゃない?チャンスキタコレ!って事じゃない!
神か!
「嬉しいですわ。輿入れが待ち遠しくて困ってしまうわ」
「ええ、本当に。旦那様も喜んでいたわ」
お父様がね……でも、これってよくよく考えるとシュバルツバルト侯爵家と帝国の繋がりが強くなるって事よね。
ただでさえシルヴァニア家との繋がりがあるなよね……キナ臭い事にならなければ良いのだけど……
新しく淹れなおされた紅茶を飲んで瞼を閉じて、婚約者とその側近らしき絵姿を思い出す。
「待ち遠しいわ……」
「ええ、そうね……」
私の呟きに母も呟き返してくれる。
大丈夫……きっと……そう願うしか無い。
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