662 / 753
刺繍の腕ばかりが上がるっ!(ラーラルーナ)
しおりを挟む
窓の外は雪景色……たまのお天気に反射する光が眩しい。
「大分、色々刺せたわ……」
ラーラルーナは側で刺繍に付き合ってくれていた侍女へと声を掛けた。
日差しが当たるように配されたテーブルセットは前世では憧れの高級家具のダイニングテーブルと椅子のセットと張る程の逸品で、さすが侯爵家お金があるなぁ……と心のどこかで溜息をついた。
いや、そんな事より刺繍よ!
愛しの婚約様(側近込みで!)を思い浮かべて刺していたが、限界があるわ。
侯爵令嬢って思ったよりも暇だわ。
*本当は暇ではないです。ただラーラルーナは勉学は早々に終わらせ、学院を卒業まで好きにして良くなっているので実家でのんびり過ごしている。
他の令嬢達は学生生活を帝都で送ってたりします。
勿論、優勝な令嬢達はサッサとカリキュラムを終わらせ好きに活動してます。
チラリと刺した刺繍を見た侍女は軽い溜息を吐いて手を止めた。
「ラーラルーナ様、紋章の刺繍に飽きたのでしたら何か花でも刺したら良いのでは?」
普段から素っ気ない侍女である。だが、いつでも冷静で困った時は頼りになる侍女でもあった。
確かに紋章ばかりで飽きてきた。それに花か……
「そうね、バラやスミレを刺しましょうか」
やはりバラ族だし菫の君だし!フフッ……バラとスミレで決まりよ!
「殿方にバラやスミレですか……」
ツッコミ来たわね。でも負けないわよ!
「然り気無く入れる程度です。さすがにバラとスミレだけでは失礼でしょう」
ドラゴンや剣とつるバラとかなら問題無い筈だわ。
「左様ですか」
「ええ、そうよ」
そう言いながら新しいハンカチ用の布に枠を嵌める。
青いハンカチに紺色一色でドラゴンとつるバラにしましょう。
格好良く!格好良くよ!
集中して刺繍をして出来上がった物は中々良い出来で、さすがの侍女も「まぁ……!」と驚いてました。
フフンッ!見たか!
まぁ、刺繍は貴族女性の嗜みだから出来ないと恥ずかしいのよね。
「まだ雪解けには早いわよね……」
「そうですね、後二ヶ月は無理ですね」
「長いわね……」
「あっという間です。お支度だって何日も掛かりますので」
「そうね」
そうだった。鞄一つって訳には行かなかった。
時間も掛かるから、その分荷物も増えるのよね。
ああ……待ち遠しい……私の楽園!
「大分、色々刺せたわ……」
ラーラルーナは側で刺繍に付き合ってくれていた侍女へと声を掛けた。
日差しが当たるように配されたテーブルセットは前世では憧れの高級家具のダイニングテーブルと椅子のセットと張る程の逸品で、さすが侯爵家お金があるなぁ……と心のどこかで溜息をついた。
いや、そんな事より刺繍よ!
愛しの婚約様(側近込みで!)を思い浮かべて刺していたが、限界があるわ。
侯爵令嬢って思ったよりも暇だわ。
*本当は暇ではないです。ただラーラルーナは勉学は早々に終わらせ、学院を卒業まで好きにして良くなっているので実家でのんびり過ごしている。
他の令嬢達は学生生活を帝都で送ってたりします。
勿論、優勝な令嬢達はサッサとカリキュラムを終わらせ好きに活動してます。
チラリと刺した刺繍を見た侍女は軽い溜息を吐いて手を止めた。
「ラーラルーナ様、紋章の刺繍に飽きたのでしたら何か花でも刺したら良いのでは?」
普段から素っ気ない侍女である。だが、いつでも冷静で困った時は頼りになる侍女でもあった。
確かに紋章ばかりで飽きてきた。それに花か……
「そうね、バラやスミレを刺しましょうか」
やはりバラ族だし菫の君だし!フフッ……バラとスミレで決まりよ!
「殿方にバラやスミレですか……」
ツッコミ来たわね。でも負けないわよ!
「然り気無く入れる程度です。さすがにバラとスミレだけでは失礼でしょう」
ドラゴンや剣とつるバラとかなら問題無い筈だわ。
「左様ですか」
「ええ、そうよ」
そう言いながら新しいハンカチ用の布に枠を嵌める。
青いハンカチに紺色一色でドラゴンとつるバラにしましょう。
格好良く!格好良くよ!
集中して刺繍をして出来上がった物は中々良い出来で、さすがの侍女も「まぁ……!」と驚いてました。
フフンッ!見たか!
まぁ、刺繍は貴族女性の嗜みだから出来ないと恥ずかしいのよね。
「まだ雪解けには早いわよね……」
「そうですね、後二ヶ月は無理ですね」
「長いわね……」
「あっという間です。お支度だって何日も掛かりますので」
「そうね」
そうだった。鞄一つって訳には行かなかった。
時間も掛かるから、その分荷物も増えるのよね。
ああ……待ち遠しい……私の楽園!
63
お気に入りに追加
6,716
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる