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初陣 27 (ルーク)

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静かに昨日の川べり近くへと行軍し、囲うように隊員達が移動し茂みに身を隠す。

「きてないにゃ……」

「まだこないピカ?」

「そうだな。来たらノエル、すぐに罠を仕掛けてくれ。きっとあっちこっちで罠を仕掛ける事になるとは思うけど頑張ってくれ」

最悪このエリア内で二匹討伐だからな。

「まかせるにゃ!」

ポムン!と胸を叩くノエルの可愛さに少しだけ和む。すぐに川べりへと視線を戻しマップも視界の端に展開する。
やがてマップに表示される赤い敵マーカーが表示される。

「そろそろ来るぞ……」

小さく呟くと茂みに潜む仲間に伝播する。抑えた殺気があちらこちらからする。余りの僅かさに愚鈍な魔物は気が付かない。
大きな影が頭上をよぎり川へと飛び降りる。
輝くエメラルドグリーンの羽。赤い喉。ヤツだ……
川で喉を潤す事も無く鳴き始める。

「行くぞ!」

「にゃっ!」

飛び出すノエルはヤツの足元へと四つ足で駆けて行く。俺達の姿を視認したヤツが目をギラギラとさせる。お互い敵認定だ。
鳴き真似を止めないヤツに苛つきを覚えるが、何とか鳴き真似が終わる前に……

「膨らんだ喉を潰すぞ!」

その言葉と共に攻撃を仕掛ける為に走り出す。ガクリと姿勢を崩したヤツは落とし罠に掛かりジタバタと羽根をバタつかせる。
ヤツの足元ではノエルが次から次へと罠を仕掛けている。
近接武器使用者が次々と喉へと攻撃する。勿論俺もキースもだ。キースの攻撃は中々のものだ。
苛立つヤツは羽根を打ち合わせようと何とか体勢を立て直そうとする。
読めてんだよ!

「羽根を打ち合わせると面倒だ!付け根を狙え!」

「「「「「おう!」」」」」

喉は潰しきってないがヤツの攻撃は鳴き真似だけじゃない。その羽根もやっかいな攻撃だ。隊員達が次々と左右の羽根の付け根を攻撃する。茂みの中から弓矢が喉へと突き刺さる。俺もキースも喉へと攻撃するが中々切り裂けない。

「クソッしぶとい!」

「ですがもう少しです!」

マップに写る赤いマーカー!こんな時に!

「赤竜が来るぞ!ルチル!姿が見えたら雷でも電撃でも何でも良い落としてやれ!ノエル!赤竜が落ちたら罠を仕掛けろ!」

「にゃっ!」

「こっちは幾つ罠がある?」

「いつつにゃ!」

「なら、赤竜に罠を仕掛けまくって来い!」

「いってくるにゃっ!」

走り去るノエルを見送る事もせず、ただひたすらにヤツ……ペッコを攻撃し続ける。
倒すまではやり切る!
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