婚約破棄されまして・裏

そこに愛はあるんか？（？）

やっと風が暖かくなった……これで洗濯係のおばちゃん達の文句が減るかと思うとホッとする。

「エルザ！ここにいたの？」

私の名前はエルザ・スミス。
このシュバルツバルト侯爵家のメイド。
メイドの数も沢山で、百人以上いる。
スミス姓は割と沢山いて、名前で呼ばれるのが普通。
年も十九才で、そろそろ婚姻して子供も欲しいと思ってる。お屋敷の中で同い年のメイド仲間は結構いるけど、皆さっさと婚姻してメイドの仕事をお休みして子育てしてる。

「ちょっと！エルザ！無視しないでよ！」

「ごめん、デイジー」

私と今一番仲良しのデイジー・ケント。ケント姓も多いから最初からデイジーって呼ばれてる。私と同い年でお互い婚姻相手を探してる。

「ねえ、そろそろ本腰入れないと不味いわよ。新しい娘が入ってきたら負けちゃう！」

「デイジー、慌てすぎじゃない？」

でもデイジーの言う事も分かるんだよね。

「エルザは狙ってる人いる？」

「いない。だって私、お母さんみたいに男の人がいないとダメって性格じゃないもん。むしろ子供と仲良く暮らせれば良いなぁって……ここの使用人棟なら安全だし、教育も受けれるし良い事尽くめだと思わない？」

「思うわよ！でも、使用人棟暮らしなら毎日顔合わせるじゃない！」

そうなのよね。同じ屋敷で働いてるなら、同じ部屋で暮らすのが当たり前……当たり前じゃないのいる……

「ねぇ、デイジー。姫様の専属護衛騎士ってどう？確か誰も婚姻してないよね？」

「してないけど、奥様と姫様に躾られてるって……でも、専属護衛騎士って花形よね？」

そう！次期様や弟様の領主隊とは違って、姫様付きの護衛騎士は頭も良いし剣の腕も確か。それに何よりお給金がすこぶる良いと聞いた。
いわば上級使用人より下だけど、私達下級使用人より上だって。

「ねえ！姫様付きの護衛騎士狙おう！今が狙いどきよ！」

デイジーに提案する。デイジーが無理でも一人で近付いて婚姻するわ！

「そうね！あの人達なら私達の邪魔絶対しなさそう！エルザ！頑張って口説き落として婚姻しよう！」

こうして私ことエルザと無二の親友デイジーは姫様付きの護衛騎士の隊長と副隊長を口説き落として婚姻しました！
勿論、私が隊長と婚姻しました！
姫様付きって事でたとえ彼が死んじゃっても一生ここで暮らす事が出来ます！
子供連れで一生、領主様のお屋敷で働ける！住まいも使用人棟で食事は出るし、お仕着せ以外でも商人が出入りしてるからお給金で買えるし言う事無し！
私もデイジーも幸せです！
そうそう、躾られてって本当だったけどちゃんと子供作れました！
今日、デイジーと調べて貰ったら子供出来てました。
妊娠したらお仕事お休みになるんで、明日っからデイジーと仲良く赤ちゃんの準備する予定！
奥様がお祝いに布と糸を沢山下さったので、嬉しいし幸せです！