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初陣 7 (ルーク)

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「厳しいんですね、帝国って……」

キースのしみじみとした言い方に薄く笑う。

「帝国は実力が無いとそれだけで軽んじられるからな、皆必死だよ。ある意味領主隊も実力主義だろ、だから馴染み易いんだよ」

「そうなんですね」

キースは感心しきりと頷いて、ルシウスは「なる程……」と呟いた。
チラッと隊列を見ればかなり集まってきたようだ。

「全員広場に入りましたよ!昼休憩にしましょう!」

「分かった、バートン助かった。時間も頼んで構わないか?」

バートンはカラカラと笑う。気持ちの良い男だと心から思う。

「勿論です。ここでゆっくりして、明るい内に野営の準備をした方が良いでしょう。幸いここは良く商隊も来る所ですし、小さいながらも食堂屋も屋台もありますから思い思いに食べて貰いましょう。その為の資金繰りもちゃんとしてますから安心して下さい」

やはり軍資金の管理はバートンに頼んでおいて正解だったな。無限収納に金はそれなりに貯め込んでいるが、不要な贅沢は身を持ち崩す元だからな。

「バートンは今まで隊長としてやって来てたんだ、初心者な俺はバートンに任せて少しずつ仕事を覚えた方が上手くいく。どこに何があるのかも分からないんだ、いや、地図では見てるがそれだけだ」

ふ……と真剣な眼差しで見つめられ、どうしたのかと思う。

「婿殿は誠実だな。この旅で少しでも俺達と意思疎通が出来ればと思ってた。今までの旅じゃあ婿殿はお客様だったからな、この先隊長となるなら上品にはやってられない局面もあるだろうしな」

「勿論だ。元々俺は皇子として帝国にいた時冒険者になろうと思ってたんだ。だからお客様でいようなんて思ってないさ」

「そうか」

俺もバートンも大声で笑い合い手を打ち合わせた。

「婿殿とか失礼な事言った、出来る限りの事はするぜルーク隊長」

「頼んだ!宜しくなバートン!」

年上なバートンとルシウスはずっと四番隊の隊長と副隊長としてやって来た仲だ。勿論二人共に側近を持っている。
立場的にキースは俺の側近だが、副隊長と同位らしい。だが、隊員への指示は出せない。出せるとしても隊長である俺の言葉を伝えるのが精一杯らしい。

「よーし!今から昼休憩だ!野郎共、今の内に目一杯食っとけよ!」

大声で叫ぶバートンの声に笑いながら応える隊員達。

「ルーク隊長、ここの宿屋の食堂を貸し切りにしてきた。ノエルちゃんとルチルちゃんを連れて昼メシにしましょう」

「分かった。じゃあ馬車に迎えに行くか」

「「おう!」」

俺の言葉に返事をしたのはキースじゃなくてバートンとルシウスだった。キースは困ったように笑ってる。
俺達は四人で俺の馬車へと歩き出した。
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