590 / 753
初陣(ルーク)
しおりを挟む
大勢の隊員を引き連れての大型討伐の旅に出たのは朝食を済ませて程なくだった。
先頭に隊長と側近、副隊長と副隊長補佐の四人がつく。
領都の目抜通りを注目を浴びながら進む。ざわめく人々が口にするのは隊色が入った旗や隊員達の胸当てを見た事で俺が新たな隊長として隊を引き連れている事等だった。
どうやら通常と違うらしく、時折俺を指差し姫様の婿だ!って叫びが聞こえる。
「ルーク様はさすが帝国皇子だけあって威風堂々としてますね」
揃いの武装を身に纏い馬を並べて進んでいるからか、嬉しそうな照れ臭そうなキースが声を掛けてきた。
「注目されるのは慣れてる。だが領民達の俺達を見る目は何だか照れ臭くなるな、熱意があって」
ポクポクと一定のリズムで進んで行く。
諦めとか恨み辛みとかマイナスな視線が無い。
「そりゃそうです。特に男の子は大きくなったら隊に入って武勲を上げるんだ!って夢見ますからね」
「キースもそうだったのか?」
チラッと見たら、少しだけ視線がさ迷った。
「俺は……俺は普通に領主隊に入って武勲を上げるよりも、側近になって主と一緒に上を目指す事を望みました」
「主と一緒に?」
「はい、一人より二人で力を合わせれば部隊を上げれますから」
「部隊を上げれる?」
何だそれは?
「ああ……領主隊は一番から十番まであるんですが、最初は十番なんですよ。で武勲をあげてくと九番にって徐々に隊番号が小さくなるんですよ。隊番号です貰える給金や危険度が変わりますしね」
「じゃあ、この四番隊は上から四番目に強い隊だって事か」
「そうです。俺一人じゃあ四番に上がれたかどうか……ルーク様の側近に選ばれて良かったです。フフッルーク様の強さが見れると思うと興奮します」
嬉しそうに笑うキースは確かに少しだけ興奮してるかの様だった。
「一緒に戦うんだから、すぐに分かるようになるだろ」
「そうですね」
たまに手を振って来る者もいるから、笑顔を振り撒きながら手を振る。
慣れ親しんだ癖みたいなもので、パレード慣れで何とも思わずにやってしまう。
おかげであちこちから「キャー!」って叫びと「素敵~!」って声が聞こえる。
しまった……か?他意は無い、エリーゼにバレたらうっかりやったと正直にゲロっとこう。
……領都、大きいんだな。生活レベルも高いし、清潔だ。
悪臭が無いって凄いな。
討伐から帰って来たら教えて貰おう。
先頭に隊長と側近、副隊長と副隊長補佐の四人がつく。
領都の目抜通りを注目を浴びながら進む。ざわめく人々が口にするのは隊色が入った旗や隊員達の胸当てを見た事で俺が新たな隊長として隊を引き連れている事等だった。
どうやら通常と違うらしく、時折俺を指差し姫様の婿だ!って叫びが聞こえる。
「ルーク様はさすが帝国皇子だけあって威風堂々としてますね」
揃いの武装を身に纏い馬を並べて進んでいるからか、嬉しそうな照れ臭そうなキースが声を掛けてきた。
「注目されるのは慣れてる。だが領民達の俺達を見る目は何だか照れ臭くなるな、熱意があって」
ポクポクと一定のリズムで進んで行く。
諦めとか恨み辛みとかマイナスな視線が無い。
「そりゃそうです。特に男の子は大きくなったら隊に入って武勲を上げるんだ!って夢見ますからね」
「キースもそうだったのか?」
チラッと見たら、少しだけ視線がさ迷った。
「俺は……俺は普通に領主隊に入って武勲を上げるよりも、側近になって主と一緒に上を目指す事を望みました」
「主と一緒に?」
「はい、一人より二人で力を合わせれば部隊を上げれますから」
「部隊を上げれる?」
何だそれは?
「ああ……領主隊は一番から十番まであるんですが、最初は十番なんですよ。で武勲をあげてくと九番にって徐々に隊番号が小さくなるんですよ。隊番号です貰える給金や危険度が変わりますしね」
「じゃあ、この四番隊は上から四番目に強い隊だって事か」
「そうです。俺一人じゃあ四番に上がれたかどうか……ルーク様の側近に選ばれて良かったです。フフッルーク様の強さが見れると思うと興奮します」
嬉しそうに笑うキースは確かに少しだけ興奮してるかの様だった。
「一緒に戦うんだから、すぐに分かるようになるだろ」
「そうですね」
たまに手を振って来る者もいるから、笑顔を振り撒きながら手を振る。
慣れ親しんだ癖みたいなもので、パレード慣れで何とも思わずにやってしまう。
おかげであちこちから「キャー!」って叫びと「素敵~!」って声が聞こえる。
しまった……か?他意は無い、エリーゼにバレたらうっかりやったと正直にゲロっとこう。
……領都、大きいんだな。生活レベルも高いし、清潔だ。
悪臭が無いって凄いな。
討伐から帰って来たら教えて貰おう。
74
お気に入りに追加
6,716
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる