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新年のお祝いへと 4
しおりを挟むやがて次期様と弟君様が来られ、親方様の挨拶と乾杯の合図に新年の夜会が始まった。
最初は簡単な挨拶を各々行う。
その後俺達は候補者達を連れて挨拶に出向く。
段前に行き挨拶と報告をする。
当然、俺は最後だ……
「候補者が決まりました」
「一名と伝えた筈だが?」
「実力は拮抗しており選べませんでした」
「そうか……別室で聞く」
「畏まりました」
短い会話だが親方様の視線でどこでどう動くのだと理解する。
気配を消して姿を消す親方様。
「皆様はこちらに」
同じ様に気配を消し声を掛けてきたのは親方様を支える執事となったハインツ殿だった。
俺達は静かにハインツ殿の後をついていく。
すぐさま裏の通路へと案内され、長い静かな廊下を進む。
やがて一つの扉を開け、室内に入るように促される。
室内ではアレク殿が親方様へお茶を淹れていた。
「来たか。アレク、全側近と専属侍女を連れて来い」
「畏まりました」
窓の前、革張りの一人掛け用のソファに座る親方様の視線は厳しい。
「推薦者はご苦労だった。本来ならば三名の候補者であった筈だが、四名になったのも運命だろう。……ふむ、迷うのも当然か。良い目をしてるな」
親方様の言葉に深々と頭を下げる。
「では、推薦者は大広間へと戻るが良い」
俺達全員一礼して室内から出る。
出た所で側近殿達と侍女殿達がいたが、互いに軽く頭を下げてその場は別れる。
廊下で待っていた給仕の一人が先導して大広間はと戻った。
給仕とも別れてワインを受け取り、並べられた大皿から食べたい物を取り皿な乗せていく。
「この先は誰が選ばれるかだな」
どれもこれも美味そうでついつい取り皿に乗せていく。
「一番選ばれそうなのはお前の所のイワンとキースかな?」
「だな。俺が選んだのはちょっと実力不足かも知れんなぁ……」
「だが、俺は二人で迷って選び切れなかった」
「後で呼び出しかもな」
「おう!呼び出しだろうな」
「やっぱり呼び出されるのかな……」
軽口のつもりかも知れないけど、呼び出されて叱られるのか……
「なら景気付けに飲んでやる」
「ははは!飲め飲め!」
「今の内だ!飲んどけ!」
俺は呼び出される前にとワインをがぶ飲みして、次々と出て来る料理をたらふく食べた。
その後、やっぱり親方様に呼び出されたが酔っぱらいの俺を見て特に叱る事もなく簡単な説教で済んだ。
困った顔で笑って「まぁ、あれは迷うよな」そう言って貰って内心助かった!と叫んだ。
再度、大広間に戻った時には家族の姿も無く見知った顔ばかりが残っていた。
最初は簡単な挨拶を各々行う。
その後俺達は候補者達を連れて挨拶に出向く。
段前に行き挨拶と報告をする。
当然、俺は最後だ……
「候補者が決まりました」
「一名と伝えた筈だが?」
「実力は拮抗しており選べませんでした」
「そうか……別室で聞く」
「畏まりました」
短い会話だが親方様の視線でどこでどう動くのだと理解する。
気配を消して姿を消す親方様。
「皆様はこちらに」
同じ様に気配を消し声を掛けてきたのは親方様を支える執事となったハインツ殿だった。
俺達は静かにハインツ殿の後をついていく。
すぐさま裏の通路へと案内され、長い静かな廊下を進む。
やがて一つの扉を開け、室内に入るように促される。
室内ではアレク殿が親方様へお茶を淹れていた。
「来たか。アレク、全側近と専属侍女を連れて来い」
「畏まりました」
窓の前、革張りの一人掛け用のソファに座る親方様の視線は厳しい。
「推薦者はご苦労だった。本来ならば三名の候補者であった筈だが、四名になったのも運命だろう。……ふむ、迷うのも当然か。良い目をしてるな」
親方様の言葉に深々と頭を下げる。
「では、推薦者は大広間へと戻るが良い」
俺達全員一礼して室内から出る。
出た所で側近殿達と侍女殿達がいたが、互いに軽く頭を下げてその場は別れる。
廊下で待っていた給仕の一人が先導して大広間はと戻った。
給仕とも別れてワインを受け取り、並べられた大皿から食べたい物を取り皿な乗せていく。
「この先は誰が選ばれるかだな」
どれもこれも美味そうでついつい取り皿に乗せていく。
「一番選ばれそうなのはお前の所のイワンとキースかな?」
「だな。俺が選んだのはちょっと実力不足かも知れんなぁ……」
「だが、俺は二人で迷って選び切れなかった」
「後で呼び出しかもな」
「おう!呼び出しだろうな」
「やっぱり呼び出されるのかな……」
軽口のつもりかも知れないけど、呼び出されて叱られるのか……
「なら景気付けに飲んでやる」
「ははは!飲め飲め!」
「今の内だ!飲んどけ!」
俺は呼び出される前にとワインをがぶ飲みして、次々と出て来る料理をたらふく食べた。
その後、やっぱり親方様に呼び出されたが酔っぱらいの俺を見て特に叱る事もなく簡単な説教で済んだ。
困った顔で笑って「まぁ、あれは迷うよな」そう言って貰って内心助かった!と叫んだ。
再度、大広間に戻った時には家族の姿も無く見知った顔ばかりが残っていた。
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