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ある日ある場所にて
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激しく木剣がぶつかる音と洗い息遣いが聞こえる。
幾つもの音があちらこちらから聞こえる。
木剣を振るう若者達は皆真剣だった。
ガキィッ!
一際大きな音が響く。
「そこまで!」
「スゲェな!やっぱり剣じゃキースには負けるな」
「何言ってる、槍ならイワンの方が勝ってるだろ」
キースとイワンの二人は互いに切磋琢磨する仲でもあった。
他の若者達も得手不得手の武器があるが、概ね婿殿の側近候補にはかの二人のどちらかが推薦されるだろうと踏んでいた。
既に側近候補の予備戦で今回は候補は三名に絞れとあった。
推薦者の邸に集められた若者達はこっそりと溜息をつく。
候補者が三名ならば推薦者も三名。
ここではない別の推薦者の邸に行っておけば自分が候補者に選ばれたかもしれない……そう頭の中で思う者は少なくない。
候補者として選ばれれば、身の振り方としては良いものになる事は良く分かっているからだ。
若者達は自分の容姿に自信があったし、頭も良い。
それぞれが得意な武器を操りちょっとした魔物ならば何度も打ち倒して来た。
誰もが褒め称えるが、彼等の望みは将来有望な主を持つ事。
小さな頃から自ら側近として生きていくと決めた者達なのだ。
今回の婿殿の側近は降って湧いた話しであった。
ゾロゾロと邸に入る若者達の中、小声でヒソヒソと噂話に興じる者もいる。
「サミュエル卿の所に行けば良かった」
「何でだよ」
「向こう、あんまり強いのいないらしい」
「本当かよ。だったら俺も行けば良かったな。まさかキースとイワンがこっち来てるとは思わなかった」
「だよな。でも二人もそう思ったのかもよ」
「ああ、お互いにこっちに来てたのかって言ってたの聞いたぜ」
「ついてねぇ……」
そんな話し声もイワンとキースの二人が近付けばピタリと止む。
彼等の中から候補者が選ばれ、数日後には領主館へと旅立つ。
「おい!キース」
「何だ、騒がしいな」
「後三日で新年だな、ここからなら新年のお祝い領主館行けるんじゃないか?」
「明日の昼前に出発なら十分間に合うな。どうした」
「領主館の振る舞いって凄いって聞いたからさ、キースは気にならないのか?」
「そう……なのか?知らなかった」
「あー……キースんちは、ちょっと離れてるもんな。ま、俺だって領都に嫁いだ姉上から聞いただけだからさ」
呑気な会話だが彼等の目は到底呑気だとは言えなかった。
どんなに仲が良さそうに見えても彼等はライバルなのだ……
幾つもの音があちらこちらから聞こえる。
木剣を振るう若者達は皆真剣だった。
ガキィッ!
一際大きな音が響く。
「そこまで!」
「スゲェな!やっぱり剣じゃキースには負けるな」
「何言ってる、槍ならイワンの方が勝ってるだろ」
キースとイワンの二人は互いに切磋琢磨する仲でもあった。
他の若者達も得手不得手の武器があるが、概ね婿殿の側近候補にはかの二人のどちらかが推薦されるだろうと踏んでいた。
既に側近候補の予備戦で今回は候補は三名に絞れとあった。
推薦者の邸に集められた若者達はこっそりと溜息をつく。
候補者が三名ならば推薦者も三名。
ここではない別の推薦者の邸に行っておけば自分が候補者に選ばれたかもしれない……そう頭の中で思う者は少なくない。
候補者として選ばれれば、身の振り方としては良いものになる事は良く分かっているからだ。
若者達は自分の容姿に自信があったし、頭も良い。
それぞれが得意な武器を操りちょっとした魔物ならば何度も打ち倒して来た。
誰もが褒め称えるが、彼等の望みは将来有望な主を持つ事。
小さな頃から自ら側近として生きていくと決めた者達なのだ。
今回の婿殿の側近は降って湧いた話しであった。
ゾロゾロと邸に入る若者達の中、小声でヒソヒソと噂話に興じる者もいる。
「サミュエル卿の所に行けば良かった」
「何でだよ」
「向こう、あんまり強いのいないらしい」
「本当かよ。だったら俺も行けば良かったな。まさかキースとイワンがこっち来てるとは思わなかった」
「だよな。でも二人もそう思ったのかもよ」
「ああ、お互いにこっちに来てたのかって言ってたの聞いたぜ」
「ついてねぇ……」
そんな話し声もイワンとキースの二人が近付けばピタリと止む。
彼等の中から候補者が選ばれ、数日後には領主館へと旅立つ。
「おい!キース」
「何だ、騒がしいな」
「後三日で新年だな、ここからなら新年のお祝い領主館行けるんじゃないか?」
「明日の昼前に出発なら十分間に合うな。どうした」
「領主館の振る舞いって凄いって聞いたからさ、キースは気にならないのか?」
「そう……なのか?知らなかった」
「あー……キースんちは、ちょっと離れてるもんな。ま、俺だって領都に嫁いだ姉上から聞いただけだからさ」
呑気な会話だが彼等の目は到底呑気だとは言えなかった。
どんなに仲が良さそうに見えても彼等はライバルなのだ……
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