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夫婦の時間 3 (ハインリッヒ&フェリシア)

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ハインリッヒの困ったような、悲しむような顔を無言で見つめる。

「……父上は若い頃から大型討伐に夢中で婚姻なんか、成人して気の向いた時にすれば良いと思っていたそうだ。だから婚約者を持つ事にずっと抗い、好きなように生きてきたと……だが、ある日父上の兄が側近と共に亡くなり跡継ぎは父上ただ一人となった。だが、父上には幸い婚約者もいなかった事から母上は父上と婚姻する事になった。母上は父上との間に子供を作る事を生家から何度も要請されたそうだ……長い間、父上はその事を知らずにいたそうだ。やっと出来た跡継ぎに母上は一刻も早く生家の……ギョーム公爵家へ伝え、見せたかったらしい。おそらく当時のギョーム公は心配していたんだろう。母上が館を出た事に父上が気がついて追って行った時には大型は慌てて飛んで逃げたそうだ。傷付き倒れ伏した母上と僅かに生き残ったギョーム公の騎士達を助け出したが、赤子は見つからなかったと……僅かに残った産着の切れ端だけしか見つからなかったのだと……そして父上と母上の間に暫く子は恵まれる事無くやっと俺が出来て……その後はどれ程望んでも恵まれなかったと……」

「そうですか……お義父様もお義母様も苦労なさったのね」

ハインリッヒは少し悩ましげなフェリシアの額に口付けを落とし、フェリシアの滑らかな頬を何度も撫でた。

「二代に渡り跡継ぎのみで何とか血を繋いできた……俺はフェリシアと出会えて良かったよ」

フェリシアは両手でハインリッヒの両頬を挟んだ。

「私も貴方に会えて良かったわ。だって三人よ!私だって三人も子供に恵まれるとは思っていなかったもの……その……愛してるわハインリッヒ」

突然の告白にハインリッヒは頬を染め、照れくさそうに笑う。

「俺もだ、愛してるよフェリシア」

そのまま深い口付けを何度も交わし、熾火のようだった情欲は再び燃え上がりどちらともなく求め合った。


ハインリッヒもフェリシアも年の割に体力があった為、実に外が白々とするまで続いた。
その日の仕事は中々に捗らなく、両者共に心配され注意されたのは子供達の知らない事実である。
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