425 / 753
主従(マクスウェル)BL注意!
しおりを挟む
俺の名前はマクスウェル。先日十五才となったばかりだ。俺には次期領主となる優秀な兄上がいる。俺は小さな頃から領主隊に入って、大型をこれでもか!って位討伐して兄上のお役に立つのが夢だ。父上も俺の性格は戦いに向いてると言って様々な戦い方を教えてくれた。小さい頃から大きかったが、既に上背は大人と変わらない程に伸びた。毎日毎日飽きる事無く剣を振るう事で腕周りもしっかりしてきたし、朝番走る事で足腰もしっかりしてきた。領主隊を引退した邸の護衛達相手に手合わせを何度もした。護衛達からは揃って、すぐに若年隊から領地隊を飛び越えて領主隊に入れると言ってくれた。
「マクスウェル様、旦那様がお呼びです。」
執事が呼びに来た。父上が呼んでる……か。何だろうな?兵舎の訓練室で一汗かいていた俺は顔の汗を拭ってからいまだ止まらぬ体の汗をそのままに父上の執務室へと向かう。執事はノックをする事無く執務室に入って行くのを俺は黙ってついて行く。父上は待っていたらしく俺を見ると薄く笑った。
「マクスウェル。今日呼んだのは、お前の側近候補が決まったからだ。」
側近?ああ、俺が一生側におく男か。執務室に誂えてあるソファセットに俺と同い年と思われる少年が四人座っていた。良く似た体格の四人だが顔立ちはそれなりに違う。
「こちらからカイル「そいつにする。」……そうか。ならば後は二人で自己紹介なりなんなりすると良い。後の者は私が考える事としよう。」
「よろしくお願いします。カイル、付いてこい。」
最も冷たい顔立ち、シルバーアッシュの髪にブルーグレーの瞳のいかにも冷徹そうな容貌。何一つ甘ったるい所の無い感じが気に入った。大体、俺は隊に入って領地を駆けずり回るつもりなんだ。邸で机仕事を期待されても俺にはその気も無いしな!無言で自室に向かう俺にしっかり一定距離を取ってついてくる所も良い。ガチャリと自室の扉を開けて中に入るよう促す。
「失礼します。」
一言告げて室内へと進むカイルの後ろ姿を眺める。自室にいた従者に湯浴みの準備をさせる。従者の強張った顔にギロリと睨みを効かせる。
「俺の側近だ。さっさとしろ。」
フイと顔を逸らし浴室へと準備をしに消えた。
「彼はマクスウェル様の事がお好きなのでは?」
声も悪く無いな。だが、言ってる事は可愛く無いな。
「そんな事は知らん。俺が抱くのは側近のお前だけだ。良いから座れ、俺が座れん。」
ソファに座り俺の顔をヒタと見据える顔の何と冷たい事よ。俺もドカリと座り真っ正面から見据える。
「私の名前はカイル・フォン・ミュゼットです。お前などと言う名前ではありません。」
なる程、それは失礼だったか。
「そいつは悪かったな、カイル。」
俺が名前を言った瞬間、その冷たいと思った顔が朱色に染まった。
「いえ……」
少し俯き両膝の上、きつく握られた両手。緊張してるのか……まぁ、俺だって男相手は初めてだし手探りも良いとこだが参ったな。
「カイル。そう余り堅くなるな。お互い初めてみたいなものだろう、痛いだの何だのはその場その場で言ってくれ。その方がお互い良いだろう。」
「……ありがとうございます……」
消え入りそうな声で呟かれてドキリと心臓が跳ねる。こいつ…見た目と違って可愛い奴かもしれん。
「マクスウェル様、湯浴みの支度が出来ました。」
魔法も使える従者は湯浴みの支度をさせるのに重宝する。普段ならば湯浴みを手伝わせ、湯浴みの後も任せているが今日はそんな訳にはいかない。
「ご苦労。今日は下がるか、ここで呼ばれるまで待つかだ。好きにしろ。」
従者はキュと口元を引き締め床を見つめると、泣きそうな顔で小さく「お待ちします。」と呟いた。
「そうか。カイル今から俺達の初夜だ、覚悟は出来てるか?」
ビクリと体が震えたが、その目は揺らぎなく俺を見つめた。
「覚悟は出来てます。でも、初夜……だなんて……」
ハハ……と笑い立ち上がる。釣られるように立ち上がったカイルの側に行き手を差し伸べる。少し眉を寄せて俺の手を取り立ち上がったカイルの腰を引き寄せる。顔を赤くして視線を彷徨わせるのが可愛くて、そのまま口付けたくてその衝動を我慢するのが少し辛いと感じた。
「マクスウェル様、旦那様がお呼びです。」
執事が呼びに来た。父上が呼んでる……か。何だろうな?兵舎の訓練室で一汗かいていた俺は顔の汗を拭ってからいまだ止まらぬ体の汗をそのままに父上の執務室へと向かう。執事はノックをする事無く執務室に入って行くのを俺は黙ってついて行く。父上は待っていたらしく俺を見ると薄く笑った。
「マクスウェル。今日呼んだのは、お前の側近候補が決まったからだ。」
側近?ああ、俺が一生側におく男か。執務室に誂えてあるソファセットに俺と同い年と思われる少年が四人座っていた。良く似た体格の四人だが顔立ちはそれなりに違う。
「こちらからカイル「そいつにする。」……そうか。ならば後は二人で自己紹介なりなんなりすると良い。後の者は私が考える事としよう。」
「よろしくお願いします。カイル、付いてこい。」
最も冷たい顔立ち、シルバーアッシュの髪にブルーグレーの瞳のいかにも冷徹そうな容貌。何一つ甘ったるい所の無い感じが気に入った。大体、俺は隊に入って領地を駆けずり回るつもりなんだ。邸で机仕事を期待されても俺にはその気も無いしな!無言で自室に向かう俺にしっかり一定距離を取ってついてくる所も良い。ガチャリと自室の扉を開けて中に入るよう促す。
「失礼します。」
一言告げて室内へと進むカイルの後ろ姿を眺める。自室にいた従者に湯浴みの準備をさせる。従者の強張った顔にギロリと睨みを効かせる。
「俺の側近だ。さっさとしろ。」
フイと顔を逸らし浴室へと準備をしに消えた。
「彼はマクスウェル様の事がお好きなのでは?」
声も悪く無いな。だが、言ってる事は可愛く無いな。
「そんな事は知らん。俺が抱くのは側近のお前だけだ。良いから座れ、俺が座れん。」
ソファに座り俺の顔をヒタと見据える顔の何と冷たい事よ。俺もドカリと座り真っ正面から見据える。
「私の名前はカイル・フォン・ミュゼットです。お前などと言う名前ではありません。」
なる程、それは失礼だったか。
「そいつは悪かったな、カイル。」
俺が名前を言った瞬間、その冷たいと思った顔が朱色に染まった。
「いえ……」
少し俯き両膝の上、きつく握られた両手。緊張してるのか……まぁ、俺だって男相手は初めてだし手探りも良いとこだが参ったな。
「カイル。そう余り堅くなるな。お互い初めてみたいなものだろう、痛いだの何だのはその場その場で言ってくれ。その方がお互い良いだろう。」
「……ありがとうございます……」
消え入りそうな声で呟かれてドキリと心臓が跳ねる。こいつ…見た目と違って可愛い奴かもしれん。
「マクスウェル様、湯浴みの支度が出来ました。」
魔法も使える従者は湯浴みの支度をさせるのに重宝する。普段ならば湯浴みを手伝わせ、湯浴みの後も任せているが今日はそんな訳にはいかない。
「ご苦労。今日は下がるか、ここで呼ばれるまで待つかだ。好きにしろ。」
従者はキュと口元を引き締め床を見つめると、泣きそうな顔で小さく「お待ちします。」と呟いた。
「そうか。カイル今から俺達の初夜だ、覚悟は出来てるか?」
ビクリと体が震えたが、その目は揺らぎなく俺を見つめた。
「覚悟は出来てます。でも、初夜……だなんて……」
ハハ……と笑い立ち上がる。釣られるように立ち上がったカイルの側に行き手を差し伸べる。少し眉を寄せて俺の手を取り立ち上がったカイルの腰を引き寄せる。顔を赤くして視線を彷徨わせるのが可愛くて、そのまま口付けたくてその衝動を我慢するのが少し辛いと感じた。
57
お気に入りに追加
6,716
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる