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密談(ジークフリート)

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二人の側妃を迎えた後、俺の体に側妃達に与えられた快楽。衝撃だったが何かが俺の中で芽生えた瞬間でもあった。そんな俺に新たな討伐の旅に出るように父上から書簡が届いた。同じ王宮にいるのに俺は以前より家族と会う事がなくなった。エリーゼ達シュバルツバルト家の後をついて行った旅から王都に帰ってきた時、出迎えてくれる王都民の数は俺が想像するよりも少なかった。出迎えた者達の殆どは兵士達の家族のようだった。チラホラと見えた閉められた店。冬は多くの貴族が領地に帰る。その旅について行った王都民がいるようだ……その事で陛下を始めとする王族は大変だと王宮で働く者達が話してるのを聞いてしまった。エリーゼ達の所にも王都民が混じっていた……
本当に俺は愚かだった……なのにまた愚かにも俺は他人に縋ろうとしてる。

「殿下、お呼びした者が参りました。」

愛想の無い従者が俺に言いに来た。討伐の旅に出る前にどうしても話したかった。

「分かった。内密の話をするから皆下がるように。」

誰にも聞かれたくない。

「畏まりました。」

そう言うと別の従者がお茶の用意だけして下がって行った。

「失礼します、ジークフリート殿下。お呼びだと伺い馳せ参じました。」

「良く来た。待っていたぞシュタイン。そこに座ってくれ、頼み事があって人払いしている。」

俺の前に座り、ヒタと俺を見据える目に体が熱を帯びるのを感じた。

「左様ですか。単刀直入にお聞きします。準備がありますので。」

俺はシュタインの顔をジッと見つめた。

「シュタイン。頼みがある……」

「頼み……ですか。」

こんな事を頼むなんて……俺はどうかしてる。でも、俺は……どこかで望んでたのかも知れない……あの夜、シュタインが抱いた兵士の事を……

「ああ……旅の間だけで良い。俺に男同士の快楽を教えてくれ。」

僅かだが驚いた顔で見つめられる。

「不甲斐ない俺に側妃がその……俺を即す為に、その……」

言い訳がましく言葉を紡ぐ。

「分かりました。お望みとあらば、そのお体にお教え致しましょう。」

シュタインの真剣な眼差しにドキリとする。俺の顔が赤くなるのが分かる。

「ありがとう。頼む…」

「お話は宜しいですか?ならば失礼致します。」

ニカッと男らしい笑顔に鼓動が早くなる。

「ああ……」

立ち上がり、部屋を後にするシュタインの背中を見送る。

一つため息を吐き出し、冷めた紅茶を一気に飲み干し討伐の旅の出発日までの日にちを心の中で数える。

窓の外、雪がちらつくのをボンヤリと見つめてから瞼を閉じてシュタインの姿を思い返す。
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