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青氷の薔薇・学園編 4 要注意!要注意ですぞ!

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夕暮れ前の学園内の道をエミリと二人で歩いて行く。

「中々凄かったわよ。」

特に照れる訳でもなく私の前を歩くエミリに話し掛ける。振り返りもせず、迷う事無く歩き続けるエミリ。

「そうですか。でもあの男は普通じゃありません。」

「普通じゃない?」

ピタリと立ち止まったエミリは少し困った顔で私を見た。

「はい。あの男は兎に角強い者に惹かれるのではないかと……弱々しいただの女には見向きもしないでしょう。フェリシア様……その……」

私は嬉しくなり、声を出して笑った。従者たる側近が、そのような男ならば主たるハインリッヒ様も同じであろう。何故だか分からぬが、あれらは似た者同士であろうと思った。
きっとハインリッヒ様も強い者に惹かれるのだろう。だから私との婚約を望んだ。きっと、そうだ。

「ああ……良いのよ。エミリ、私達はツイている。きっと私達の将来は明るいわ、だってそうでしょう。互いに惹かれ合うなんて中々無いわ。」

私とハインリッヒ様、エミリとアレックス。良いじゃない、楽しくなってきたわ。

「そうですね。ですが、それにしてもジャスティン殿下はどうにかならないのでしょうか。」

あの邪魔者め!思わず手にした扇子を畳み、パシパシと手の平を打つように動かしてしまう。

「いざとなったら、どうにかするわ。邪魔者め……」

「そうですね。」

ホホホ……ふふふ……と笑いながら歩く。

私達は遠方から来る貴族の子女が住まう寮に戻り、部屋へと帰る。部屋は私達の事を聞いた学園がかなり手を入れ、高位貴族の子女に相応しい広さと豪華さを兼ね添えた部屋へと変えていた。侍女の寝泊まりする部屋も付いていて、エミリと離れる事も無い。不浄所も湯浴みの出来る浴室も付いている、あの邪魔者を知るにはあの男を良く知ってる者に聞けば良い。

「エミリ、グレース・フォン・ヴァン令嬢を堕とすわよ。」

ニヤリと笑うエミリと私。私達は良く似てる。

「畏まりました。手札は多い方が宜しいでしょう。」

「頼んだわよ。」

「はい。」

私達は浴室へと共に進み、タップリと時間をかけて湯浴みを楽しんだ。それはもう、日が暮れるまでタップリと。
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