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青氷の薔薇 14 注意!このお話は過去のお話です!

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連れて行かれた室内に置かれた品々は見た事の無い物ばかりだった。
光り輝く金色・銀色の鱗や、桃色や青色や赤色や黄緑色の宝石のような鱗。
先程乱れ物と違って、鈍く光る牙や角や爪。淡く紫色に輝く羽や鱗。
何もかも見た事の無い物ばかり……

「これらはこの辺りに出て来る大型種の高価格帯の素材です。」

鱗一枚が大きい……大型種と呼ばれるのはどれ程大きいのか……ハインリッヒ様はその大型種に立ち向かっていかれるのだろうか……

「ハインリッヒ様は、あの大きな鳥に立ち向かって、恐ろしいとは思わないのですか?」

まるで聞かれた事が無い事を、私が聞いたかのような顔をなさった。

「いいえ。私は次期領主です。他領には滅多に現れない大型種が我が領は数多く現れる。連中は人を食う……大切な領民を食われる訳にはいかない。私は次期領主として、領民を守らねばならない。父上もそうやって守っている。我が領は広い、我が国の公爵領よりも広いのです。我が国最大の領地なのは大型種の出現が大きいのですよ、領主のなり手が居なくて我がシュバルツバルト家に押し付けられたのです。今では大型種の素材が領地経営の一端を担ってますがね。」

ハハハ……と笑っているが、これは笑い事では無い。オーガスタ王国は腰抜けばかりで、まともに戦おうとはしないと言ってるようなものだ。民を守る事から逃げて、シュバルツバルト家に押し付けたのだ。何と恥ずべき者達だ。だが逃げる事無く臆する事無く、立ち向かった……民を守る為に。領主としてこれ程正しく、頼もしい者も居るまいて……欲しい……この男の子供が欲しい。体の熱が上がって来るようだ。だが王国は幼い頃から婚約者を宛てがってると学んだ……ハインリッヒ様にも婚約者が居るのだろう、残念な事だ。

「左様ですか……ハインリッヒ様の婚約者が羨ましいです。これ程頼もしい方と婚約していたら、将来は安泰ですね。」

思わず愚痴が出てしまう。だが、仕方あるまい。ハインリッヒ様に抱かれ子を身籠もる事が許されているなぞ……

「婚約者ですか?居ませんよ。シュバルツバルト家の男は必ずこの大型種と戦わねばならない。幼い頃から戦う為の訓練を怠らない。そして十五になれば魔物と対峙する。やがて大型種と対峙し、戦う。胆力が足りなかったり、己の力が足りなければ命を落とす事もあります。その時婚約者の方が居れば、不具合が起きます。なので婚約は大型種に対峙し終えた者のみが行えるのです。」

死ぬ確率が高いから幼い頃に婚約を結ばないという事か……ハインリッヒ様にいまだ婚約者が居ないのならば私がなっても問題は無い。私がこの強くて美しい男を貰う。腰抜けの娘にやるには勿体ないわ。
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