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男達は語らう 3

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酒に逃げる訳にも行かないか……

「エリーゼは友人思いだと、私は思ってますよ。王宮で婚姻式に来ていらした令嬢同士で仲良く話をしていたようですしね。」

多分、あの二人の内の一人はキンダー侯爵家令嬢だろう。見た目も似てる。話しはしなかったが仲は良さそうだったな。

「ええ、アンネローゼ嬢とミネルバ嬢と三人で仲良くしてましたよ。先日も何やら手紙と贈り物を頼んでいましたしね。」

ナイスアシスト!キャスバル!贈り物の内容も言わない所が特に良い!

「そうですか、エリーゼ嬢が……ありがとうございます。きっと妹は喜んだ事でしょう。」

ハインリッヒ殿は嬉しそうだな。キンダー侯爵家は家族の仲が良いんだな。

「時にシュバルツバルト侯はルーク様に側近を付けるおつもりですか?」

「当然だ。側近無しではシュバルツバルト領ではやっていけん。」

ごく当たり前のように聞いて、即答されたよ。しかもやっていけないと来たか、どう言う意味か聞いてみたいが聞くのが怖い気もするな。

「そうだな、確かにやってはいけないな。まぁ、候補が何名か上がって来るからそこから選べば良い。」

あっさり言うな!こっちはそんなの無くて生きてきたんだぞキャスバル!

「まぁ、そうだな。俺は候補から選んだ口だが、優秀だぞ。」

トールは候補から選んだのか……

「不安そうですね、ですがシュバルツバルト侯爵領は王国一の領地故に領主に掛かる負担も尋常ではない。大地図を見た事は皇室の一員ならばあるでしょう、シュバルツバルト領と寄子貴族の領地を合わせれば公爵領二つ分よりも広い。いや、寄子貴族も新旧と分かれていて旧寄子貴族はシュバルツバルト侯に忠誠を誓っているから寄子貴族と呼んで良いのか分からないな。そう言った者達から自分の腹心を選び側に置く。彼等だとてシュバルツバルト侯爵家に連なる者の側に選ばれる為に、血の滲むような努力を行う。誰の目から見ても優秀でなければ、候補には上がれない。」

ハインリッヒ殿の言葉にドキリとする。他領の領主代行が負担は尋常じゃないとか言う……そりゃあ帝国で座学で勉強したとき、王国を支えてる大貴族の一つはシュバルツバルト領だと思っていたけどそんなにか……いや、ちょいちょい思ってたけど。武装一つ取っても、俺のより凄いしな。

「書類仕事だけでも、中々の量だぞ。領地に帰り次第候補者を募る。まぁ、絞るまで日数は掛かるから仕事を手伝いながら待っていれば良い。」

侯がニヤニヤ笑いながら宣告した。どっちにしろ、仕事を手伝わないとダメなようだな。仕方ない、側近をつけないと仕事も回らない可能性が高い以上選ぶしかない。

「分かりました。側近は候補が上がり次第選びます。側近な仕事内容は理解しきれてませんが、いつか説明して頂けると信じてます。」

「良い返事だ。そうでなければ我が息子と迎えれなかったよ。」

ヤバかった……

「エリーゼが選んだ以上、息子にするしか無かったのだが。それでも気持ちは受け入れれるか不安だった、側近無しでは仕事は殆ど回せないからな。量も多いが多岐にわたってはいるのも一因だ。今回の旅で新たな産業が発展するだろう?ルークはそっちを頑張って欲しいからな。今日は良い話が出来た、そろそろお開きにしようか。」

「そうですね。エリーゼ様の婚姻式には是非ともお呼び下さい。皆でお祝いに参ります。」

ダブルハインリッヒが立ち上がり、固い握手を交わした。
キャスバルとトールは楽しそうに笑って、立ち上がって同じく立ち上がった俺の肩を叩く。

「頑張れよ。」

キャスバルに小さく囁かれて、ちょっとドキドキした。なんで『さすおに』の声なんだよ……乙女ゲーのキャスティング一覧には乗っていなかった事をちょっとだけ恨んでいた。
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