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正妃様へのお届け! 2 注意!このお話は少し未来のお話です!
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大きなストールに包まれていた物を開いて、出て来たのはドレス。そのドレスを見た正妃様は握っていたストールをソファに置くと、立ち上がってまじまじと見つめ……
「かっ……わいい!エンパイヤみたいな作りなのね!可愛い~!あっ!内側は起毛みたいになってるのね!凄い!あったかい!」
一番上にあったドレスを手に取ると大きな声ではしゃいでご自身に当ててみる。
「アンネローゼ様!似合いそうですか!」
「お似合いですわ。着れそうで一安心ですわ。」
「そうね、正妃様はそういった物の方が似合いますわね。」
ミーネったら、正妃様には子供っぽい物がお似合いだなんて……
「本当!嬉しい!私、こういう可愛いドレス着たかったの!」
……子供だったわ……いえ、体の線が出ない方が良いのよね。きっと……それにしてもエリーゼ様のドレスコート凄いわ。全然寒くない……と言うか温かい。
「気に入って頂けて、エリーゼ様もホッとなさるでしょう。」
「エリーゼ様って本当に凄いのね。ちゃんと話せば良かった。」
ドレスを抱き締めて、私達を見る顔は何かに縋るようだけど縋られても困るのよね。
「そうね、でももう遅いわ。」
「話していれば、貴女もっと幸せだったかもね。」
「ミーネ!」
「アンネローゼ様にも言われた。お妾さんの方がマシだったって……」
「そうね、侍女やメイド付きのお屋敷で殿下のお越しを待って暮らす方が良かったと思う。沢山のドレスにお飾り、靴だって何だって上等な物で埋め尽くされたでしょうね。だいたい貴女勉強苦手だったでしょう。正妃ともなれば高位貴族家の名前と家族構成、領地の特産品やお付き合いとか覚えなきゃダメだし。帝国の歴史や皇室、重要な貴族家の事とか覚えれる?それに伴うマナーや礼儀作法、ダンスのステップとか……それだけじゃないわよ。税収計算とかも覚えるのよ。」
「え……そんなの覚えれる訳無いじゃん……」
「私達は覚えましたわよ。覚えなければ、話にならないのよ。」
「そんな……」
「今頃言っても仕方ない事よ。諦めて努力なさい。」
「えー……」
「何ですか、その言葉遣い。」
「はいっ!」
「よろしい。勉強をするにも本の一冊も名鑑の一冊も無い以上、無理でしょう。淑女の嗜みとして刺繍はできますか?」
「出来ませんっ!」
「胸を張って言う事ではありません。お道具は……」
「ありませんっ!」
「恥ずかしい事を胸を張って言わない。どうにもなりませんね。」
「アンネローゼ様、お邸に以前使っていた物がありましょう。王子妃教育で通っていた時の物は、全部こちらに持って来て頂きましょう。」
「ありがとう、ばあや。仕方ないわね。あら、日も落ちて来たわ。とにかく、持って来た物をご覧になって。今の正妃様には必要な物ばかりよ。見た物はどんどんしまって頂戴。」
次から次へとストールが解かれ中身が現れる度に、正妃様は喜び瞳を輝かせた。
彼女からしたら、どれもこれも夢見た豪華な品々に見えるのだろう。全ての物を見、しまう為に侍女達が消えた後静に涙を流し頭を下げた。
「ありがとうございます。私……愚かでした。何にも知らなくて……それなのに助けて貰って……」
「謝っても仕方ないわ。これから努力しつつ、男児を生むのが貴女のお役目なのよ。私達はもう、下がります。ミーネ、行きますよ。」
「ええ。」
「あの……ありがとうございました。」
「感謝するならば、私達ではなくエリーゼ様によ。」
「は……はい……」
私達は部屋に戻り、侍女達に互いが選んだ物を持って行って貰ったりしまって貰ったりして過ごした。
お道具は明日ばあやに行って貰う。
こんなに何度もばあやをお使いに出すとは思わなかった。
私達はため息をつきつつ、エリーゼ様から頂いた紅茶を淹れて貰い一息ついた。
「かっ……わいい!エンパイヤみたいな作りなのね!可愛い~!あっ!内側は起毛みたいになってるのね!凄い!あったかい!」
一番上にあったドレスを手に取ると大きな声ではしゃいでご自身に当ててみる。
「アンネローゼ様!似合いそうですか!」
「お似合いですわ。着れそうで一安心ですわ。」
「そうね、正妃様はそういった物の方が似合いますわね。」
ミーネったら、正妃様には子供っぽい物がお似合いだなんて……
「本当!嬉しい!私、こういう可愛いドレス着たかったの!」
……子供だったわ……いえ、体の線が出ない方が良いのよね。きっと……それにしてもエリーゼ様のドレスコート凄いわ。全然寒くない……と言うか温かい。
「気に入って頂けて、エリーゼ様もホッとなさるでしょう。」
「エリーゼ様って本当に凄いのね。ちゃんと話せば良かった。」
ドレスを抱き締めて、私達を見る顔は何かに縋るようだけど縋られても困るのよね。
「そうね、でももう遅いわ。」
「話していれば、貴女もっと幸せだったかもね。」
「ミーネ!」
「アンネローゼ様にも言われた。お妾さんの方がマシだったって……」
「そうね、侍女やメイド付きのお屋敷で殿下のお越しを待って暮らす方が良かったと思う。沢山のドレスにお飾り、靴だって何だって上等な物で埋め尽くされたでしょうね。だいたい貴女勉強苦手だったでしょう。正妃ともなれば高位貴族家の名前と家族構成、領地の特産品やお付き合いとか覚えなきゃダメだし。帝国の歴史や皇室、重要な貴族家の事とか覚えれる?それに伴うマナーや礼儀作法、ダンスのステップとか……それだけじゃないわよ。税収計算とかも覚えるのよ。」
「え……そんなの覚えれる訳無いじゃん……」
「私達は覚えましたわよ。覚えなければ、話にならないのよ。」
「そんな……」
「今頃言っても仕方ない事よ。諦めて努力なさい。」
「えー……」
「何ですか、その言葉遣い。」
「はいっ!」
「よろしい。勉強をするにも本の一冊も名鑑の一冊も無い以上、無理でしょう。淑女の嗜みとして刺繍はできますか?」
「出来ませんっ!」
「胸を張って言う事ではありません。お道具は……」
「ありませんっ!」
「恥ずかしい事を胸を張って言わない。どうにもなりませんね。」
「アンネローゼ様、お邸に以前使っていた物がありましょう。王子妃教育で通っていた時の物は、全部こちらに持って来て頂きましょう。」
「ありがとう、ばあや。仕方ないわね。あら、日も落ちて来たわ。とにかく、持って来た物をご覧になって。今の正妃様には必要な物ばかりよ。見た物はどんどんしまって頂戴。」
次から次へとストールが解かれ中身が現れる度に、正妃様は喜び瞳を輝かせた。
彼女からしたら、どれもこれも夢見た豪華な品々に見えるのだろう。全ての物を見、しまう為に侍女達が消えた後静に涙を流し頭を下げた。
「ありがとうございます。私……愚かでした。何にも知らなくて……それなのに助けて貰って……」
「謝っても仕方ないわ。これから努力しつつ、男児を生むのが貴女のお役目なのよ。私達はもう、下がります。ミーネ、行きますよ。」
「ええ。」
「あの……ありがとうございました。」
「感謝するならば、私達ではなくエリーゼ様によ。」
「は……はい……」
私達は部屋に戻り、侍女達に互いが選んだ物を持って行って貰ったりしまって貰ったりして過ごした。
お道具は明日ばあやに行って貰う。
こんなに何度もばあやをお使いに出すとは思わなかった。
私達はため息をつきつつ、エリーゼ様から頂いた紅茶を淹れて貰い一息ついた。
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