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贈り物(アンネローゼ)
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エリーゼ様が旅立たれて10日が経とうとしていた。そんな日の午後、シュバルツバルト家から使者がやって来た。
衛士を伴って来るなんて、使者としては物々しい。
すぐさま使者に会い、納得した。
手渡されたのは手紙と美しい木の箱だった。これ程の箱であれば物々しくなるのも頷ける、今王都は少し不逞の輩が居て気軽に出歩くのは危なくなっていた。
使者殿に礼を述べると、返事を今すぐ送るのならば待つとまで言ってくれた。有難く待って頂く、慌てて自室に戻る。
無論、使者殿の事は我が家の執事に頼んでおく。
自室で手紙を開いて読めば、王都での暮らしの事や輿入れに対しての事……と箱の注意事項……何故、注意事項?良く読めば何か食べ物が入ってるらしい。
一度箱から出したら、食べるようにと書いてある。
リボンを解き、箱を開けると中には美しい小さなバラとピンク色の丸っこい物が入っていた。
「バラがあめ?もう一つがメレンゲ菓子……お菓子?これが?とりあえず、一つずつ頂いてみようかしら?」
メレンゲ菓子とか言う物を一つ取り出し、少し齧ってみる。
サクリと軽く口の中に……っ!甘いわ!それに仄かな酸味と口中に広まる香り!なんて事!
その食感と味に手にした物を口の中に放り込んだ。
ゴクリと喉が鳴ってしまう……この小さなバラも、きっと甘いのね……白っぽい物を一つ手に取り、そっと噛んでみる。
カシャアと軽やかな音が口の中から聞こえる……あぁ……甘い……リンゴの香りと味がする……それよりも何よりも甘い……夢のように甘い……
夢中になってこの小さなバラを口の中に押し込み、噛み砕き舐めた。
「なんて事……これは、使者殿が衛士を伴うのも道理だわ。おそらく王族でもおいそれとは口に出来ない代物だわ。とにかく感謝の手紙を書かなくては……あら?同じ物をミネルバにも贈っているのね。ならば内緒にする事も無いわね。」
私はエリーゼ様への手紙をしたため、封蝋を施す。
箱の箱の蓋を閉めリボンを掛けて両手で大切に持つ。
寝室に進みベッドの横のサイドデスクにしまう。鍵付きで私しか開けられない、特別な魔法を掛けた引き出しへ……
「フフッ……大切に味わわないと、あっという間に終わってしまうわ。」
無事、箱をしまい魔法を掛けて寝室から出る。
したためた手紙を持って、自室から出て使者殿の元へと歩く。
サロンで待っていた使者殿に手紙を渡し、言伝もお願い出来るならば私が大変喜んでいたと伝えて欲しいとお願いする。
使者殿は領地に帰る途中に会えば、必ず伝えると言うと礼をした。
使者殿は早々に我が家から出ていった……後ろ姿を見送れば馬は立派な軍馬、衛士も屈強そうな者達ばかり。
「アンネローゼ様、外はお寒うございましょう。どうかお部屋にお戻りを。」
「そうね。私の自室にエリーゼ様から頂いた茶葉の紅茶を持って来て頂戴。折角のエリーゼ様からの手紙を、もう一度……いえ、何度も読みたいの。」
深く腰を折った執事に伝え、邸に入り自室を目指す。
「畏まりました、どうぞお部屋でお待ち下さい。」
振り向きざま立ち止まり一つ頷いてから、再び歩き出す。
エリーゼ様……エリーゼ様は何処を……何を目指しておいでですか?
衛士を伴って来るなんて、使者としては物々しい。
すぐさま使者に会い、納得した。
手渡されたのは手紙と美しい木の箱だった。これ程の箱であれば物々しくなるのも頷ける、今王都は少し不逞の輩が居て気軽に出歩くのは危なくなっていた。
使者殿に礼を述べると、返事を今すぐ送るのならば待つとまで言ってくれた。有難く待って頂く、慌てて自室に戻る。
無論、使者殿の事は我が家の執事に頼んでおく。
自室で手紙を開いて読めば、王都での暮らしの事や輿入れに対しての事……と箱の注意事項……何故、注意事項?良く読めば何か食べ物が入ってるらしい。
一度箱から出したら、食べるようにと書いてある。
リボンを解き、箱を開けると中には美しい小さなバラとピンク色の丸っこい物が入っていた。
「バラがあめ?もう一つがメレンゲ菓子……お菓子?これが?とりあえず、一つずつ頂いてみようかしら?」
メレンゲ菓子とか言う物を一つ取り出し、少し齧ってみる。
サクリと軽く口の中に……っ!甘いわ!それに仄かな酸味と口中に広まる香り!なんて事!
その食感と味に手にした物を口の中に放り込んだ。
ゴクリと喉が鳴ってしまう……この小さなバラも、きっと甘いのね……白っぽい物を一つ手に取り、そっと噛んでみる。
カシャアと軽やかな音が口の中から聞こえる……あぁ……甘い……リンゴの香りと味がする……それよりも何よりも甘い……夢のように甘い……
夢中になってこの小さなバラを口の中に押し込み、噛み砕き舐めた。
「なんて事……これは、使者殿が衛士を伴うのも道理だわ。おそらく王族でもおいそれとは口に出来ない代物だわ。とにかく感謝の手紙を書かなくては……あら?同じ物をミネルバにも贈っているのね。ならば内緒にする事も無いわね。」
私はエリーゼ様への手紙をしたため、封蝋を施す。
箱の箱の蓋を閉めリボンを掛けて両手で大切に持つ。
寝室に進みベッドの横のサイドデスクにしまう。鍵付きで私しか開けられない、特別な魔法を掛けた引き出しへ……
「フフッ……大切に味わわないと、あっという間に終わってしまうわ。」
無事、箱をしまい魔法を掛けて寝室から出る。
したためた手紙を持って、自室から出て使者殿の元へと歩く。
サロンで待っていた使者殿に手紙を渡し、言伝もお願い出来るならば私が大変喜んでいたと伝えて欲しいとお願いする。
使者殿は領地に帰る途中に会えば、必ず伝えると言うと礼をした。
使者殿は早々に我が家から出ていった……後ろ姿を見送れば馬は立派な軍馬、衛士も屈強そうな者達ばかり。
「アンネローゼ様、外はお寒うございましょう。どうかお部屋にお戻りを。」
「そうね。私の自室にエリーゼ様から頂いた茶葉の紅茶を持って来て頂戴。折角のエリーゼ様からの手紙を、もう一度……いえ、何度も読みたいの。」
深く腰を折った執事に伝え、邸に入り自室を目指す。
「畏まりました、どうぞお部屋でお待ち下さい。」
振り向きざま立ち止まり一つ頷いてから、再び歩き出す。
エリーゼ様……エリーゼ様は何処を……何を目指しておいでですか?
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