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討伐の旅 27

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多くのシュバルツバルトの兵士達が立ち並ぶ中に、討伐隊の兵士達が混じっていた。
魔法の詠唱をする者と弓で狙う者など、それぞれが自分の出来る事を必死にやっていた。
四方八方を距離を取って囲んでいる人垣の開けた中央にいるのは、あの青黒い巨大な狼と立ち向かっている者達……シュバルツバルト候達……そこにエリーゼもいた。
片手で剣を構え、片手で何か魔法を放っているのか時折指先から光が迸る。
あの皇子もいた……斬りつけてはすぐさま距離を取る……皇子だけではない、殆どの者が攻撃してはすぐさま離れる。

「なんで連続で攻撃しないんだ……」

先日の牙猪の時は誰も彼も、連続で攻撃して討ち取ったのに……ハァ……と大きなため息が隣から聞こえた。

「ジークフリート殿下、魔物によって攻撃方法は変わります。あの雷狼は稲妻を走らせます、当たれば只では済みませ。だから、ああやって攻撃を当てたらすぐに離れるんです。」

なる程……魔物によって色々あるんだな……

「そうか……教えてくれて、ありがとう。」


「稲妻が来るぞ!離れろっ!」


シュバルツバルト候の退避を即す叫び声が轟、一斉に距離を取る兵士達。
青白く光る稲妻がバリバリバリと大きな音を立てて魔物の傍を走る……あんなのに当たれば死んでしまうだろう……

「エリーゼッ!」

エリーゼはどこに…………ッ!また、あの皇子か!なんでコソコソと話し合ってる……!どうして俺を見ない!なんでっ!なんで俺に気付かない!

「さすがエリーゼ様は警戒を怠らない。」

「シュタイン……?何を言ってる……」

あの皇子と話してるエリーゼの何が、警戒を怠らないんだ……

「ずっとお顔があの雷狼から逸らされてない、剣も空いた片手も一切ぶれずにいる……大型とあれしか離れてないのに、一切引かずに立っていられる……どれ程の胆力なのか……さすがシュバルツバルトの血筋なのか……ん?なんだ……立ち歩きネコ……か?」

立ち歩きネコ?なんだ?あの魔物に纏わり付く小さなネコのような生き物は?


「お前等、頭から離れろぉっ!」


シュバルツバルト候の雄叫びで頭の近くにいた者達が一斉に離れた……
シュバルツバルト候が見たこともないような、大きな剣を振り回してその場から動けないあの魔物の頭に斬り掛かった。
あのシュバルツバルト候の剣技でもっても、倒れないのか!これが大型なのか……
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