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婚姻式の日 ~王子妃後宮~
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私はダリアに問いただす。
「今回の婚姻式について、帝国から何かありましたか?」
ダリアは緩く首を振ると、微妙な面持ちで私を見つめた。
「特別な事はありません。ただ、第5皇子が現在単身旅行中で訪れる可能性が高いと一ヶ月前の報告の返信にありました。」
第5皇子ね………皇室に対して敵意や害意は無いが、執着が薄く臣籍降下を望んでる……とか……少し浮き世離れした方のようだと聞き及んでいる……
「第5皇子殿下………可能性が高いか……私の娘に接触する可能性はあるかしら?」
率直な疑問だ、シルヴァニア家とゴルゴダ家は婚姻関係を持つ事を避けてきた。
まるで時が来るまで血を混ぜぬ様にするかの如く……だが………何故だか、エリーゼと皇子の運命は重なるのではないのか?と感じる。
「分かりません。」
ダリアの答えは最もだ。
私が薄らと感じる事を最下位のダリアに分かる筈も無かった。
ふむ……明後日には王都を離れる予定故、ダリアを使ってキャロライン妃と繋がりを深めるか。
「キャロライン妃殿下、私は明後日には王都を離れる予定でおります。せっかく親しくなれそうですのに、残念で御座います。」
反応を見た具合で決めましょうか。
キャロライン妃は少し驚いた様子で私を見ると、直ぐさまダリアを見た。
僅かばかり思案すると、ニコリと微笑んだ。
「そう、王都を離れる予定ですのね。それは残念ですわ、でも私の元にはダリアが居ますわ。文や言伝のやり取りは出来ましょう、私の方からダリアに頼む事も多々あるでしょう。」
私もニコリと微笑む。
確かにキャロライン妃殿下は皇太子殿下の血を引いてらっしゃる。
「有難きお言葉。では、これより私の事はフェリシアとお呼び下さいませ。キャロライン妃殿下。」
キャロライン妃は少女の様にクスクスと笑うと小さく頷いた。
「分かりましたわ、フェリシア様。では私の事はキャロラインと、わざわざ妃殿下など付けなくて良いですわ。」
思ったより砕けた仲になれそうで、嬉しくなる。
「ありがとうございます、キャロライン様。つまらない相談事でもお話になられるだけで、気が晴れる事は良くある事ですわ。お気軽に文なり下さいませね。」
私の言葉を聞いて笑みが深くなる。
「勿論ですわ。」
今日はこれだけで構わないだろう。
「さて、長々と申し訳ありません。そろそろ王妃陛下の元に戻らねば、詰まらぬ邪推を為れかねませぬ故これで失礼致します。」
「フェリシア様、どうか私を末永く見守って下さいませ。」
…………帝都から遠く離れた地で、人質同然と思い過ごしてきたであろう皇女殿下。
力添えして当たり前なのに、心寂しかったのだろうか?
「勿論で御座いますよ、キャロライン様。」
その言葉に軽く頭を下げたキャロライン様と深々と頭を下げたマーガレット。
ダリアだけがそっと2人の背後で頷き、手で小さく合図を送ってくる。
2人を手助けして欲しい。
了解。と素早く手で合図を送る。
「では、失礼致します。」
挨拶をして、キャロライン妃の居室から下がり来た道を戻る。
さて、どうやってグレースを丸め込もうか?
小さな忍び笑いを漏らすと、エミリが隣にやってきて同じように忍び笑いをこぼした。
「今回の婚姻式について、帝国から何かありましたか?」
ダリアは緩く首を振ると、微妙な面持ちで私を見つめた。
「特別な事はありません。ただ、第5皇子が現在単身旅行中で訪れる可能性が高いと一ヶ月前の報告の返信にありました。」
第5皇子ね………皇室に対して敵意や害意は無いが、執着が薄く臣籍降下を望んでる……とか……少し浮き世離れした方のようだと聞き及んでいる……
「第5皇子殿下………可能性が高いか……私の娘に接触する可能性はあるかしら?」
率直な疑問だ、シルヴァニア家とゴルゴダ家は婚姻関係を持つ事を避けてきた。
まるで時が来るまで血を混ぜぬ様にするかの如く……だが………何故だか、エリーゼと皇子の運命は重なるのではないのか?と感じる。
「分かりません。」
ダリアの答えは最もだ。
私が薄らと感じる事を最下位のダリアに分かる筈も無かった。
ふむ……明後日には王都を離れる予定故、ダリアを使ってキャロライン妃と繋がりを深めるか。
「キャロライン妃殿下、私は明後日には王都を離れる予定でおります。せっかく親しくなれそうですのに、残念で御座います。」
反応を見た具合で決めましょうか。
キャロライン妃は少し驚いた様子で私を見ると、直ぐさまダリアを見た。
僅かばかり思案すると、ニコリと微笑んだ。
「そう、王都を離れる予定ですのね。それは残念ですわ、でも私の元にはダリアが居ますわ。文や言伝のやり取りは出来ましょう、私の方からダリアに頼む事も多々あるでしょう。」
私もニコリと微笑む。
確かにキャロライン妃殿下は皇太子殿下の血を引いてらっしゃる。
「有難きお言葉。では、これより私の事はフェリシアとお呼び下さいませ。キャロライン妃殿下。」
キャロライン妃は少女の様にクスクスと笑うと小さく頷いた。
「分かりましたわ、フェリシア様。では私の事はキャロラインと、わざわざ妃殿下など付けなくて良いですわ。」
思ったより砕けた仲になれそうで、嬉しくなる。
「ありがとうございます、キャロライン様。つまらない相談事でもお話になられるだけで、気が晴れる事は良くある事ですわ。お気軽に文なり下さいませね。」
私の言葉を聞いて笑みが深くなる。
「勿論ですわ。」
今日はこれだけで構わないだろう。
「さて、長々と申し訳ありません。そろそろ王妃陛下の元に戻らねば、詰まらぬ邪推を為れかねませぬ故これで失礼致します。」
「フェリシア様、どうか私を末永く見守って下さいませ。」
…………帝都から遠く離れた地で、人質同然と思い過ごしてきたであろう皇女殿下。
力添えして当たり前なのに、心寂しかったのだろうか?
「勿論で御座いますよ、キャロライン様。」
その言葉に軽く頭を下げたキャロライン様と深々と頭を下げたマーガレット。
ダリアだけがそっと2人の背後で頷き、手で小さく合図を送ってくる。
2人を手助けして欲しい。
了解。と素早く手で合図を送る。
「では、失礼致します。」
挨拶をして、キャロライン妃の居室から下がり来た道を戻る。
さて、どうやってグレースを丸め込もうか?
小さな忍び笑いを漏らすと、エミリが隣にやってきて同じように忍び笑いをこぼした。
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