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推しに勝てるオタク無し
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…と、言ってみたはいいモノの、
「おはよ、朱瀬。」
「!」
「おっ…はようゴザイマス…」
「んな怯えんなよ…w」
…挨拶されただけでこの始末。しかし昨日告白されている上に、推しバレまでしているこの状況。流石に気まずくない訳がない。
「あ、なぁなぁ」
「朱瀬って楽譜読める?」
「…へ、楽譜 ?」
「読める、けど…」
「お、ラッキー」
「俺芸術選択で音楽選んだんだけど、楽譜読めなくてさ…」
「この記号何かわかる?」
海山が持っていた楽譜の記号を指差し、私に見せる。
(うっっっわ推しとの距離ちっっかバグかな??)
「あー、D.C(ダ・カーポ)だよ。」
「最初に戻るやつ。」
「へーなるほど…ありがとう。」
海山が嬉しそうに笑うのを見て、眩しさのあまり立ち眩みを起こしそうになる。
(可愛さの暴力過ぎるだろ、周りに人が居なかったら壁にヘドバンしてたわ)
──と、
「…じゃあ、また。」
海山が私の頭を、トンっと楽譜で軽く叩いた。
「!」
ぽかんとしている私を他所に、彼はその場を後にする。
「びっ…くりした。」
(ナチュラルにイケメンの代名詞みたいなことするじゃん…我が推しえぐ…)
「…ん?そういや…」
「…アレ、なんでわざわざ他クラスの私に聞きに来たんだ?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「フゥーー⤴︎⤴︎帰宅☆☆」
自宅の部屋のドアを開け、ボスンッと鞄を放る。
「…いやぁ、改めてすごい一日だったな。」
「何だあの朝の神イベ。」
「推しに、楽譜で、頭をペチッと…??」
呆然と虚空を見つめた。数時間経った今でも思考が追いつかないのだが、一体我が身に何が起こっているのだろう。
(薄々勘づいてはいたが、もしかするとあの子…)
(…本気で私をリアコにしようとしてる?)
(マジで?)
(Really?)
(だとしたらマズイぞこれは。私が供給過多で逝っちまう日もそう遠くない。)
(…いやでも海山に殺されるなら本望か。天国で自慢してやろう。)
「……スゥーーーーー(深呼吸)」
「…一旦2次元の推しでも見て落ち着くか。」
「ファッッ?!?!」
「レオ様のイベント来てる…?!?!」
「幻覚だろコレ!!!!」
私がやっている音ゲーの推し─レオニア・インテグラル。ログインしようとゲームを開いた瞬間、その推しのイベントが始まったというお知らせが目に入った。
「やべぇ…やべぇって…」
「途方も無かった!推し復刻待ちによるガチャ禁生活が!遂に終幕を迎える!」
「あぁ~~推し様顔がいい!!」
「走るぜイベントッッ!!」
ゲームを開いた当初の目的は、落ち着くことだったはずだが……まあいい!
「──この世に、推しに勝てる人間無し!!」
「おはよ、朱瀬。」
「!」
「おっ…はようゴザイマス…」
「んな怯えんなよ…w」
…挨拶されただけでこの始末。しかし昨日告白されている上に、推しバレまでしているこの状況。流石に気まずくない訳がない。
「あ、なぁなぁ」
「朱瀬って楽譜読める?」
「…へ、楽譜 ?」
「読める、けど…」
「お、ラッキー」
「俺芸術選択で音楽選んだんだけど、楽譜読めなくてさ…」
「この記号何かわかる?」
海山が持っていた楽譜の記号を指差し、私に見せる。
(うっっっわ推しとの距離ちっっかバグかな??)
「あー、D.C(ダ・カーポ)だよ。」
「最初に戻るやつ。」
「へーなるほど…ありがとう。」
海山が嬉しそうに笑うのを見て、眩しさのあまり立ち眩みを起こしそうになる。
(可愛さの暴力過ぎるだろ、周りに人が居なかったら壁にヘドバンしてたわ)
──と、
「…じゃあ、また。」
海山が私の頭を、トンっと楽譜で軽く叩いた。
「!」
ぽかんとしている私を他所に、彼はその場を後にする。
「びっ…くりした。」
(ナチュラルにイケメンの代名詞みたいなことするじゃん…我が推しえぐ…)
「…ん?そういや…」
「…アレ、なんでわざわざ他クラスの私に聞きに来たんだ?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「フゥーー⤴︎⤴︎帰宅☆☆」
自宅の部屋のドアを開け、ボスンッと鞄を放る。
「…いやぁ、改めてすごい一日だったな。」
「何だあの朝の神イベ。」
「推しに、楽譜で、頭をペチッと…??」
呆然と虚空を見つめた。数時間経った今でも思考が追いつかないのだが、一体我が身に何が起こっているのだろう。
(薄々勘づいてはいたが、もしかするとあの子…)
(…本気で私をリアコにしようとしてる?)
(マジで?)
(Really?)
(だとしたらマズイぞこれは。私が供給過多で逝っちまう日もそう遠くない。)
(…いやでも海山に殺されるなら本望か。天国で自慢してやろう。)
「……スゥーーーーー(深呼吸)」
「…一旦2次元の推しでも見て落ち着くか。」
「ファッッ?!?!」
「レオ様のイベント来てる…?!?!」
「幻覚だろコレ!!!!」
私がやっている音ゲーの推し─レオニア・インテグラル。ログインしようとゲームを開いた瞬間、その推しのイベントが始まったというお知らせが目に入った。
「やべぇ…やべぇって…」
「途方も無かった!推し復刻待ちによるガチャ禁生活が!遂に終幕を迎える!」
「あぁ~~推し様顔がいい!!」
「走るぜイベントッッ!!」
ゲームを開いた当初の目的は、落ち着くことだったはずだが……まあいい!
「──この世に、推しに勝てる人間無し!!」
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2021.08.13
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