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哲学
哲学(前編)
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「――お待たせいたしました、どうぞ、コチラへ……」
半刻ほど、寛ぎの時間を過ごした後――現れた亜人種の文官に誘われ、ソウタたちは屋敷の中でも一際広い一室へと通された。
ソコには、ノブユキを真ん中に、その右側には、ソウタからすれば初見なカゲツネ――そして、その左側には、コレもまた言うに及ばず、初対面となるカゲムネの親子が鎮座し、モトハルは警護的な意味合いで、ソウタたちの背後に跪いていた。
(コレが、当世刀聖様……)
――と、ゴクリと固唾を呑み、心中でそう呟いたのはカゲムネであったが……座した3人は一様に立ち上がり、鬼面を被ったソウタが放つ威圧感を身に浴びながら、揃う態で一礼を示す。
(梟の鳥族が、左右に二人――差し詰め、ルハ州長カゲツネと、その息子のカゲムネってぇトコかぁ?
まあ、言ってみれば、この屋敷の主なワケだし……北部州の動向に多大な影響力を持ってる重鎮であるコトは言わずもがな――この場に同席するっても妥当か)
(旧態然の象徴とも言える、刀聖との会談に際し、南や東を組み込んでは反対や反発が目に見えているでしょうしね……
北部の議会姿勢を切り崩す目論見で、会談の場をこのソットに据えたのなら……私の参加は、大層迷惑な申し出であったでしょうね?、ノブユキ殿にとっては)
ソウタとアヤコはこの様相への各々の見解を心中で巡らしながら、徐に座へと着く。
それに倣い、再び座へと戻った、ハクキ側の3人の内、真ん中に居るノブユキは、開口一番――
「――さて、皇様、及び次世大巫女様よりの書状、恭しく拝見仕りました……」
「なら、解かったはずだろ?、俺らに"制裁"の解除云々と頼まれても、"与り知らぬ事"なんだわ」
――と、丁重に話し始めた所へ被さる様に、ソウタが鬼面越し故にくぐもった声で、それを断ち切る態の物言いを投げ掛けた。
「今、ヨクセがやってる、ツクモ中へ向けての物止め、カネ止めは……"あくまでも"、ヨクセが"勝手に"やってるコト――俺らが指示して、俗世を困らせてるみてぇな言い分は、"三者"へ向けての不敬ってモンだぜ?、"ハクキの"」
表情などは、仮面越し故に定かではないが――口元を緩め、不敵な笑みを浮べているであろう事が、容易に伝わる態度と口調で、ソウタはそんな風に当座の交渉姿勢を表した。
(あらあら……まあ確かに、表向き上を踏まえても、そう応じるのが適当だけれど……その"殺気"は余計というモノよ、ソウタ)
――とは、彼の右横に座した、アヤコの心中……彼女は、苦虫を噛んだように表情を歪め、眼前の3人の様子を伺う。
その3人はというと――その内、両横の親子は、一様に大きな唾を呑み込み、同じく表情を蒼ざめさせていた。
(……凄まじいな。
”トーオウ楼”の折、我が身で直に浴びたリョウゴの殺気と、勝るとも劣らぬ"凄み"……継承経た若者らしいと伝え聞くとて、その畏怖に揺らぎは無いか……)
――と、父の方は、以前の経験を引き合いに出しながら、喉元に改めて強い渇きを催す。
(……くはぁっ!、呼吸、出来なかったぁ……"竦む"とは、この様な感覚の事を言うのかと、実感させられるぅ……)
一方――息子の方はというと、全身を駆け抜けた怖気の不気味さを噛み締め、ソウタが被る鬼面を直視出来ず、視線を逸らす。
「不敬の念などは、毛頭ございませんし、"表向き"としては仰る事はご尤もなれど……その制裁の当事者たるヨクセ商会からは、解除の条件は"邪へと転じない証を示せ"との事――我らハクキとしては、証示す術は三者様よりの"お墨付き"のみと考えた末、こうして弁明談判を願ったワケにございます」
残る中央の一人――ノブユキはというと、たじろいだ様など微塵も見せずに、淡々と此度の会談を願った経緯を並べた。
(……流石は、権謀術数が飛び交う”議会”ってシロモノの中を、掻き分けて今の地位に至った"政治屋"ってトコロかな?
"武人に非ず故の鈍さ"を差し引いたとしても、このソウタ殿の"凄み"を浴びながら、たじろぎもせずに自分らの言い分を言い切るなんてね)
――と、ソウタの左隣に座るヒロシは、感心した表情でノブユキの顔を見据え、思わず小さく苦笑いを溢す。
(――ったく、あの師匠が気に入るワケだよ……俺も、"刀聖"っていうこの面倒な立場を、ある程度大っぴらに明かす様になって解かったが……こうして、臆せず接して来てくれる相手は貴重だからな)
ソウタも、仮面の下ではそんな見解を抱きながら、脳裏にはギンやタマの朗らかな表情を浮かべてみせる。
「"お墨付き"、と言われてもねぇ……」
ソウタは、呆れた様な声音でそう呟き、徐に胸前へ腕を組む。
「――まあ、その言い分も的を得ちゃあいるか?、その表情だと、"自覚"はあるみたいだし?」
そう、ソウタが評したノブユキ、そして――カゲムネの表情は、平然とした"それ"ではない、異質な"色"を湛えていた。
「……はい、ヨクセがその意は、我らがハクキの定まらぬ姿を揶揄しての指摘であろうと思っております……」
ノブユキは、感服した様でそう応じ、鬼面からは目を逸らし、その視線をカゲツネへと向けていた。
「"議会制"、という柵ばかりが跋扈する政治体制では、仰られる様な克己とした姿勢などは、容易に取れぬのですよ……」
「おいおい……途端に愚痴を溢すとか、やめてくれる?
それと、議会制や民主主義体制だけを悪者に捉えるのも、実に浅はかな考えだと思うぜ?
単に、大勢の支持を得られない程度の求心性しか示せてないだけだろうよ?」
――と、情けなさ気に首を横に振りながら、独り言ちてみせようとするノブユキに対し、ソウタは辛辣にも甚だしく、また、痛烈にも程がある文言を並べて返したっ!
「……っ!?、かっ……"返す言葉が無い"、とは、この様な時の事を、まさに言うのでしょうな……」
ノブユキも、コレには流石にたじろいで見せ……対面を取り繕うと、茶を一口啜る。
「……まあ、俺らの"嗾け方"にも、実に抽象的な面があった事は否定しねぇし、さも"民主制を廃して、国守専制へと回帰すべしっ!"――ってな解釈に至っちまうのも、否めねぇのかもしれねぇのは認めるがな」
ソウタは、自虐的にそう嘯くと、組んでいた腕を解き、試す様な姿勢で頬杖を突く。
「――アンタも、スヨウノ・ノブタツや、昨夜のモトハルと同じく……専制懐古を成すために、反対勢力の駆逐に手を貸して欲しいって魂胆なのかい?」
――と、ソウタは仮面越しのくぐもりに加え、実に"ドスの効いた”重々しい声音で、本来言い難いであろう危うい文言を、場の全員に向けて浴びせ掛ける。
「――っ!?、なんだとぉ?!、統領!!、モトハル殿!!!、うぬらぁ……っ!」
それまで、圧し黙っていたカゲツネも、その"反対勢力"に当たる自分達の進退が掛った文言を受け、堪らず立ち上がり、帯刀が仕舞われた棚へと腕を伸ばす――
「――っ!?、ぐくぅ……」
――が、発言に連なる態で、そうしたカゲツネへと向いた、仮面越しのソウタの顔は、否応無い"圧"を催し……
『まあ、最後までハナシを聞けよ?』
――とでも告げたが如く、血色づいて顔を覆う羽が逆立った、梟の面妖はシオシオと萎え、その場にただ座り込んだ。
「……大将殿が、どうお伝えしたかは図りかねまするが、そこまで短絡的なモノだとは思うておりません。
今の体制こそが、民が……"時代"が、求めた結果であろうと思うております故」
ノブユキは、一瞬張り詰めた場の空気をほぐそうとする様な口調でそう言い、鬼面を見据えてその返答を待った。
「……だろうね。
"その気"だったなら、こんな大仰とした会談なんぞせずに、もっと秘密裏に"コト"を進めんのが常套だろうしな♪」
ソウタは、組んでいた両腕を拡げ、楽し気にそう告げると、先を見据える様な視線を向け……
「――じゃあ、俺らを納得させるだけの、"邪へと転じない証"に心当たりがあるから、この会談を催したと思って良いワケだね?
勿論、"内戦起こして、反対派を屈服させる"――以外のヤツがさ?」
――と、ズイっと前のめりに、その鬼面をノブタツへ近づけた。
それを受けたノブユキは――
「いいえ、心当たりが無いからこそ、ご出座を願ったのです……刀聖様にとっての"邪"とは、如何なるモノの事を指すのかを、お教え頂きたく……」
――と、慄然とした姿勢で告げ返すのだった。
半刻ほど、寛ぎの時間を過ごした後――現れた亜人種の文官に誘われ、ソウタたちは屋敷の中でも一際広い一室へと通された。
ソコには、ノブユキを真ん中に、その右側には、ソウタからすれば初見なカゲツネ――そして、その左側には、コレもまた言うに及ばず、初対面となるカゲムネの親子が鎮座し、モトハルは警護的な意味合いで、ソウタたちの背後に跪いていた。
(コレが、当世刀聖様……)
――と、ゴクリと固唾を呑み、心中でそう呟いたのはカゲムネであったが……座した3人は一様に立ち上がり、鬼面を被ったソウタが放つ威圧感を身に浴びながら、揃う態で一礼を示す。
(梟の鳥族が、左右に二人――差し詰め、ルハ州長カゲツネと、その息子のカゲムネってぇトコかぁ?
まあ、言ってみれば、この屋敷の主なワケだし……北部州の動向に多大な影響力を持ってる重鎮であるコトは言わずもがな――この場に同席するっても妥当か)
(旧態然の象徴とも言える、刀聖との会談に際し、南や東を組み込んでは反対や反発が目に見えているでしょうしね……
北部の議会姿勢を切り崩す目論見で、会談の場をこのソットに据えたのなら……私の参加は、大層迷惑な申し出であったでしょうね?、ノブユキ殿にとっては)
ソウタとアヤコはこの様相への各々の見解を心中で巡らしながら、徐に座へと着く。
それに倣い、再び座へと戻った、ハクキ側の3人の内、真ん中に居るノブユキは、開口一番――
「――さて、皇様、及び次世大巫女様よりの書状、恭しく拝見仕りました……」
「なら、解かったはずだろ?、俺らに"制裁"の解除云々と頼まれても、"与り知らぬ事"なんだわ」
――と、丁重に話し始めた所へ被さる様に、ソウタが鬼面越し故にくぐもった声で、それを断ち切る態の物言いを投げ掛けた。
「今、ヨクセがやってる、ツクモ中へ向けての物止め、カネ止めは……"あくまでも"、ヨクセが"勝手に"やってるコト――俺らが指示して、俗世を困らせてるみてぇな言い分は、"三者"へ向けての不敬ってモンだぜ?、"ハクキの"」
表情などは、仮面越し故に定かではないが――口元を緩め、不敵な笑みを浮べているであろう事が、容易に伝わる態度と口調で、ソウタはそんな風に当座の交渉姿勢を表した。
(あらあら……まあ確かに、表向き上を踏まえても、そう応じるのが適当だけれど……その"殺気"は余計というモノよ、ソウタ)
――とは、彼の右横に座した、アヤコの心中……彼女は、苦虫を噛んだように表情を歪め、眼前の3人の様子を伺う。
その3人はというと――その内、両横の親子は、一様に大きな唾を呑み込み、同じく表情を蒼ざめさせていた。
(……凄まじいな。
”トーオウ楼”の折、我が身で直に浴びたリョウゴの殺気と、勝るとも劣らぬ"凄み"……継承経た若者らしいと伝え聞くとて、その畏怖に揺らぎは無いか……)
――と、父の方は、以前の経験を引き合いに出しながら、喉元に改めて強い渇きを催す。
(……くはぁっ!、呼吸、出来なかったぁ……"竦む"とは、この様な感覚の事を言うのかと、実感させられるぅ……)
一方――息子の方はというと、全身を駆け抜けた怖気の不気味さを噛み締め、ソウタが被る鬼面を直視出来ず、視線を逸らす。
「不敬の念などは、毛頭ございませんし、"表向き"としては仰る事はご尤もなれど……その制裁の当事者たるヨクセ商会からは、解除の条件は"邪へと転じない証を示せ"との事――我らハクキとしては、証示す術は三者様よりの"お墨付き"のみと考えた末、こうして弁明談判を願ったワケにございます」
残る中央の一人――ノブユキはというと、たじろいだ様など微塵も見せずに、淡々と此度の会談を願った経緯を並べた。
(……流石は、権謀術数が飛び交う”議会”ってシロモノの中を、掻き分けて今の地位に至った"政治屋"ってトコロかな?
"武人に非ず故の鈍さ"を差し引いたとしても、このソウタ殿の"凄み"を浴びながら、たじろぎもせずに自分らの言い分を言い切るなんてね)
――と、ソウタの左隣に座るヒロシは、感心した表情でノブユキの顔を見据え、思わず小さく苦笑いを溢す。
(――ったく、あの師匠が気に入るワケだよ……俺も、"刀聖"っていうこの面倒な立場を、ある程度大っぴらに明かす様になって解かったが……こうして、臆せず接して来てくれる相手は貴重だからな)
ソウタも、仮面の下ではそんな見解を抱きながら、脳裏にはギンやタマの朗らかな表情を浮かべてみせる。
「"お墨付き"、と言われてもねぇ……」
ソウタは、呆れた様な声音でそう呟き、徐に胸前へ腕を組む。
「――まあ、その言い分も的を得ちゃあいるか?、その表情だと、"自覚"はあるみたいだし?」
そう、ソウタが評したノブユキ、そして――カゲムネの表情は、平然とした"それ"ではない、異質な"色"を湛えていた。
「……はい、ヨクセがその意は、我らがハクキの定まらぬ姿を揶揄しての指摘であろうと思っております……」
ノブユキは、感服した様でそう応じ、鬼面からは目を逸らし、その視線をカゲツネへと向けていた。
「"議会制"、という柵ばかりが跋扈する政治体制では、仰られる様な克己とした姿勢などは、容易に取れぬのですよ……」
「おいおい……途端に愚痴を溢すとか、やめてくれる?
それと、議会制や民主主義体制だけを悪者に捉えるのも、実に浅はかな考えだと思うぜ?
単に、大勢の支持を得られない程度の求心性しか示せてないだけだろうよ?」
――と、情けなさ気に首を横に振りながら、独り言ちてみせようとするノブユキに対し、ソウタは辛辣にも甚だしく、また、痛烈にも程がある文言を並べて返したっ!
「……っ!?、かっ……"返す言葉が無い"、とは、この様な時の事を、まさに言うのでしょうな……」
ノブユキも、コレには流石にたじろいで見せ……対面を取り繕うと、茶を一口啜る。
「……まあ、俺らの"嗾け方"にも、実に抽象的な面があった事は否定しねぇし、さも"民主制を廃して、国守専制へと回帰すべしっ!"――ってな解釈に至っちまうのも、否めねぇのかもしれねぇのは認めるがな」
ソウタは、自虐的にそう嘯くと、組んでいた腕を解き、試す様な姿勢で頬杖を突く。
「――アンタも、スヨウノ・ノブタツや、昨夜のモトハルと同じく……専制懐古を成すために、反対勢力の駆逐に手を貸して欲しいって魂胆なのかい?」
――と、ソウタは仮面越しのくぐもりに加え、実に"ドスの効いた”重々しい声音で、本来言い難いであろう危うい文言を、場の全員に向けて浴びせ掛ける。
「――っ!?、なんだとぉ?!、統領!!、モトハル殿!!!、うぬらぁ……っ!」
それまで、圧し黙っていたカゲツネも、その"反対勢力"に当たる自分達の進退が掛った文言を受け、堪らず立ち上がり、帯刀が仕舞われた棚へと腕を伸ばす――
「――っ!?、ぐくぅ……」
――が、発言に連なる態で、そうしたカゲツネへと向いた、仮面越しのソウタの顔は、否応無い"圧"を催し……
『まあ、最後までハナシを聞けよ?』
――とでも告げたが如く、血色づいて顔を覆う羽が逆立った、梟の面妖はシオシオと萎え、その場にただ座り込んだ。
「……大将殿が、どうお伝えしたかは図りかねまするが、そこまで短絡的なモノだとは思うておりません。
今の体制こそが、民が……"時代"が、求めた結果であろうと思うております故」
ノブユキは、一瞬張り詰めた場の空気をほぐそうとする様な口調でそう言い、鬼面を見据えてその返答を待った。
「……だろうね。
"その気"だったなら、こんな大仰とした会談なんぞせずに、もっと秘密裏に"コト"を進めんのが常套だろうしな♪」
ソウタは、組んでいた両腕を拡げ、楽し気にそう告げると、先を見据える様な視線を向け……
「――じゃあ、俺らを納得させるだけの、"邪へと転じない証"に心当たりがあるから、この会談を催したと思って良いワケだね?
勿論、"内戦起こして、反対派を屈服させる"――以外のヤツがさ?」
――と、ズイっと前のめりに、その鬼面をノブタツへ近づけた。
それを受けたノブユキは――
「いいえ、心当たりが無いからこそ、ご出座を願ったのです……刀聖様にとっての"邪"とは、如何なるモノの事を指すのかを、お教え頂きたく……」
――と、慄然とした姿勢で告げ返すのだった。
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