98 / 207
決意
決意(後編)
しおりを挟む
「花押の一印すら、頂けないとは――まったく、強情な御方だ」
ユリの私室へと向かって廊下を歩む、ショウは苦虫を噛んだ様な表情でそう呟いた。
「へへ、余程あのおばさんの態度が頭に来たんだなぁ?
お堅ぇお前が、まさか、言う事聞かねぇなら、あの"双子の片割れ"を殺すぞって、あのおばさんを脅す事を認めるとはよ」
ショウに同行して、ユリの下へ向かうイゾウは、ニヤっと不敵な笑みを浮べ、驚きの企みを挙げたショウを皮肉る。
「不本意ではありますが、事を進めるにはしょうがないですからね……ああでも言わなければ、あの御方は承伏しないでしょう。
それに、いざとなれば、既に一度"汚れた"以上は、汚れきってやろうという、私の覚悟でもありますよ」
ショウは、冷徹な表情でそう言い、腰の刀の柄を握って前方を睨んだ。
『ふっ――んじゃねぇっ!』
「!?」
「!」
ユリの私室がある方から聞こえた、何者かが恫喝する様な声に、ショウたちは足を止めて色めき立つ。
「おい……」
「――ええっ!」
二人は一斉に駆け出し、ユリの部屋へと急いだっ
「――大巫女様、失礼致しますっ!」
一応は畏まった口調で前口上を打ち、ショウは駆けたままの姿勢で、一気に戸を引き開けた!
「!?」
「――はぁっ?!」
その瞬間、二人が目にした様子とは――想像だにし難い光景であった。
ショウはあんぐりと口を開け、隣のイゾウは呆れ気味に険しい表情――そんな二人が眼前とした光景とは、ユリとハヤトの、濃厚なキスシーンである!
「――なあっ?!」
「ははっ!」
ショウは、開けていた口を少し閉じ、頬を真っ赤に紅潮させて狼狽し、イゾウは、ニヤッとした苦笑の表情へと変えた。
父の無念を晴らす事だけを刷りこまれ、それを遂げるために、武芸一辺倒な青年時代を送ったショウにとって――既に、二十歳を越えた齢ではあっても、こんな様子を目にするのは、ほぼ初めて。
彼は混乱気味に、手にした刀をフルフルと震わせている……
一方のイゾウは、ツクモ有数の歓楽街があるオウビの賑わいも知る元ヤクザ者――何かの余興でも眺める様に、手にした刀を肩へと担いで、まじまじとその様子を観ていた。
「――くっ、曲者ぉっ!」
数秒にも満たない、キスシーンの観覧から我に返ったショウは、高らかに侵入者を告げる声を挙げた。
「ん――はあっ……ったく、オトナの接吻の邪魔しやがって、どっちが曲者だってんだ、ガキども」
ユリとの接吻を止め、抱き合っていた身体を離したハヤトは、鋭い眼光で二人を睨む!
「!!!!!?」
「――っ!?」
その、ハヤトの眼光を目の当たりにした、ショウとイゾウの背筋には、尋常ならざる悪寒がザワッと奔り、二人は一斉に、ハヤトが放つ殺気に気圧されるっ!
(こっ、こいつぁ……とんでもねぇっ!
この間の刀聖並みだぞぉっ!?)
声にするのも間々ならず、イゾウは、ゴクリと生唾を呑んで一歩退いた。
(――っ!?、背中に"八の字渡しの二刀"だとぉっ!?
この圧倒的な剣気に、この武器――まっ、まさかぁっ?!)
ショウも、堪らず一歩退きながら――
「にっ!、"二刀烈警"――ハヤト殿、なのか?」
――と、脳裏に浮かんだ、この曲者の素性を、脅え気味に口にした。
『二刀烈警』とは――ハヤトが大武会に出た時に付いた異名である。
『二刀』はもちろん、二刀流の使い手であるコトを表し、『烈警』とは、その猛烈な強さと、当時は天警士団員であった事に由来する。
「ほぉ?、そんな昔の異名を知ってるのか」
ハヤトは、ニヤリと笑ってそう呟き、二刀の内の一本を抜きながら、二人に退かれた分だけ、間合いを一歩詰めた。
そんな、僅かな動きだけでも、二人の背筋には更なる悪寒が奔り――抜かれて向けられた、ハヤトの刀から目を離せなくなる。
「けっ!、ヨシノブとジョウケイを殺ったって聞いたから、最近の士団はよっぽど強ぇのかと思ったら――こうして、おっさん一人にビビってんじゃ世話ぁねぇな?
それとも――アイツらを殺った奴ってのは、もうちいとはマシなのかね?」
その『殺った奴』が、目の前の二人だとは知らず――ハヤトはそんな軽口を叩く。
「まあ良い。
一暴れして、そいつらを燻り出して、アイツらの仇を獲ってやるのも、一興ってつもりだったが――"別の仕事"が出来ちまったから、ココは大人しくお暇させて貰うぜ♪」
――と、ハヤトは抜いた刀を下げ、そんな撤退宣言をして、後ろ歩きで出窓へと下がる。
「!、まっ!、待てっ!」
ハヤトが退いた事で、放たれる剣気が少し和らいだのか、ショウはまた、我に返った様にハヤトを追うが――
「――じゃあな、ガキども。
せいぜい、てめぇらがした事を悔いながら、何時、俺が殺しに来るかと、ずっと震えて待ってりゃ良いさ♪」
ハヤトは、そんな捨て台詞を残し、出窓から飛び降りた。
「――畜生っ!、俺が……俺がっ!、一歩も前に動けなかっただとぉ!?
それどころか、気圧されて下がっちまうなんて……」
イゾウは口惜しそうに、刀を足下に放り投げて激昂する。
「――大巫女様、一体、何があったのか話して……」
刀を収めながら振り返り、ユリに経緯を問おうとしたショウは、先程までのキスシーンから始まった、一連の時よりも、驚愕した表情を浮かべて身を強張らせた。
「――っ!!!!、大巫女様?!」
慌てふためく素振りで、ユリの肩を揺らしながら叫ぶ、ショウに対し――
「――るせぇなぁっ!、大巫女のおばさんは、元カレとの接吻の余韻に浸ってるだけだろう……がぁっ!?」
苛立ち全開で振り向いたイゾウが目にしたのは――笑顔のまま、口内から血を吐き垂らしている、ユリの顔だった!
「おい……どーいう、コトだぁ?
大巫女ってのは、神具の力があるから、決して殺れねぇって……」
「――くっ、うぁっ……!」
イゾウの問いにも答えず、ショウは顔面を引き攣らせ、口を半開きにして嗚咽を漏らす。
「はは……良かったじゃねぇか?
これで、面倒なおばさんのご機嫌取りをしなくても……」
「――違うっ!、大巫女様の首を見てみろっ!」
楽観的な推測を述べるイゾウに、今度はショウが、苛立ち全開で激昂し、ユリの首筋を指差す。
「!?、あの首輪――"神具"が無ぇっ!、だから、力が働かなかった?」
事の次第を、大まかには理解出来たイゾウだったが、肝心の正答とは離れた答えに行き着く。
そんなイゾウを無視する体で、ショウは辺りを見渡し――
(片手に印籠?、
では――伝承に聞く、自死のための毒薬を飲んだとでも言うのか?
史実を追って見ても、寿命や病での死――以外での継承が記されたモノが無いため、ただの伝説の類かと思っていたが……)
そうして正答を呟き、ギリッと悔しげに奥歯を鳴らして、安らかな笑顔の死に様を見せつけている、ユリの顔を睨む。
「そこまで――自死に及んでまで!、我らの革命を拒むというのですかっ!?
上等です……草葉の陰で、我らが開く新時代の繁栄の姿を、口惜しげに見届けるが良いっ!」
ショウはそう言い捨てて、笑みを浮べながら立ち上がり――
「二刀烈警が、神具を携えて逃げたと見て間違いありません!
今居る士団員を、総動員してでも追わねばっ!」
――身を翻し、急ぎ早にユリの部屋から出ようとする。
「おっ、おいっ!、気持ちは解るが……隊長級でもビビっちまう、刀聖並みの相手だぞ?
追ったトコロで、死人の山を積むだけ――」
「――それでもだぁっ!
神具が、大巫女が望む継承者へと渡る事は、せっかく迅速に押さえた"大巫女という他勢力への人質"を奪われるのと同じ!
そうなれば、スヨウなどの旧勢力には我らを討つ大義を与え、気質的に信仰心が根強いハクキ連邦もまた、動き出しかねない――何より、大巫女を死に追いやった事が、刀聖へと伝われば……っ!」
イゾウの忠心に対し、ショウはそう反論し、ソウタの凄まじい闘気を思い返して、身震いを催する。
「せめて――完全に我らの体勢が整うまでは、かつてのハクキの様に……我らが『邪』として、糾弾されるワケには行かないんだぁっ!」
ショウは、半狂乱に等しい様でそう叫ぶと、館の廊下を駆け出した。
ユリの私室へと向かって廊下を歩む、ショウは苦虫を噛んだ様な表情でそう呟いた。
「へへ、余程あのおばさんの態度が頭に来たんだなぁ?
お堅ぇお前が、まさか、言う事聞かねぇなら、あの"双子の片割れ"を殺すぞって、あのおばさんを脅す事を認めるとはよ」
ショウに同行して、ユリの下へ向かうイゾウは、ニヤっと不敵な笑みを浮べ、驚きの企みを挙げたショウを皮肉る。
「不本意ではありますが、事を進めるにはしょうがないですからね……ああでも言わなければ、あの御方は承伏しないでしょう。
それに、いざとなれば、既に一度"汚れた"以上は、汚れきってやろうという、私の覚悟でもありますよ」
ショウは、冷徹な表情でそう言い、腰の刀の柄を握って前方を睨んだ。
『ふっ――んじゃねぇっ!』
「!?」
「!」
ユリの私室がある方から聞こえた、何者かが恫喝する様な声に、ショウたちは足を止めて色めき立つ。
「おい……」
「――ええっ!」
二人は一斉に駆け出し、ユリの部屋へと急いだっ
「――大巫女様、失礼致しますっ!」
一応は畏まった口調で前口上を打ち、ショウは駆けたままの姿勢で、一気に戸を引き開けた!
「!?」
「――はぁっ?!」
その瞬間、二人が目にした様子とは――想像だにし難い光景であった。
ショウはあんぐりと口を開け、隣のイゾウは呆れ気味に険しい表情――そんな二人が眼前とした光景とは、ユリとハヤトの、濃厚なキスシーンである!
「――なあっ?!」
「ははっ!」
ショウは、開けていた口を少し閉じ、頬を真っ赤に紅潮させて狼狽し、イゾウは、ニヤッとした苦笑の表情へと変えた。
父の無念を晴らす事だけを刷りこまれ、それを遂げるために、武芸一辺倒な青年時代を送ったショウにとって――既に、二十歳を越えた齢ではあっても、こんな様子を目にするのは、ほぼ初めて。
彼は混乱気味に、手にした刀をフルフルと震わせている……
一方のイゾウは、ツクモ有数の歓楽街があるオウビの賑わいも知る元ヤクザ者――何かの余興でも眺める様に、手にした刀を肩へと担いで、まじまじとその様子を観ていた。
「――くっ、曲者ぉっ!」
数秒にも満たない、キスシーンの観覧から我に返ったショウは、高らかに侵入者を告げる声を挙げた。
「ん――はあっ……ったく、オトナの接吻の邪魔しやがって、どっちが曲者だってんだ、ガキども」
ユリとの接吻を止め、抱き合っていた身体を離したハヤトは、鋭い眼光で二人を睨む!
「!!!!!?」
「――っ!?」
その、ハヤトの眼光を目の当たりにした、ショウとイゾウの背筋には、尋常ならざる悪寒がザワッと奔り、二人は一斉に、ハヤトが放つ殺気に気圧されるっ!
(こっ、こいつぁ……とんでもねぇっ!
この間の刀聖並みだぞぉっ!?)
声にするのも間々ならず、イゾウは、ゴクリと生唾を呑んで一歩退いた。
(――っ!?、背中に"八の字渡しの二刀"だとぉっ!?
この圧倒的な剣気に、この武器――まっ、まさかぁっ?!)
ショウも、堪らず一歩退きながら――
「にっ!、"二刀烈警"――ハヤト殿、なのか?」
――と、脳裏に浮かんだ、この曲者の素性を、脅え気味に口にした。
『二刀烈警』とは――ハヤトが大武会に出た時に付いた異名である。
『二刀』はもちろん、二刀流の使い手であるコトを表し、『烈警』とは、その猛烈な強さと、当時は天警士団員であった事に由来する。
「ほぉ?、そんな昔の異名を知ってるのか」
ハヤトは、ニヤリと笑ってそう呟き、二刀の内の一本を抜きながら、二人に退かれた分だけ、間合いを一歩詰めた。
そんな、僅かな動きだけでも、二人の背筋には更なる悪寒が奔り――抜かれて向けられた、ハヤトの刀から目を離せなくなる。
「けっ!、ヨシノブとジョウケイを殺ったって聞いたから、最近の士団はよっぽど強ぇのかと思ったら――こうして、おっさん一人にビビってんじゃ世話ぁねぇな?
それとも――アイツらを殺った奴ってのは、もうちいとはマシなのかね?」
その『殺った奴』が、目の前の二人だとは知らず――ハヤトはそんな軽口を叩く。
「まあ良い。
一暴れして、そいつらを燻り出して、アイツらの仇を獲ってやるのも、一興ってつもりだったが――"別の仕事"が出来ちまったから、ココは大人しくお暇させて貰うぜ♪」
――と、ハヤトは抜いた刀を下げ、そんな撤退宣言をして、後ろ歩きで出窓へと下がる。
「!、まっ!、待てっ!」
ハヤトが退いた事で、放たれる剣気が少し和らいだのか、ショウはまた、我に返った様にハヤトを追うが――
「――じゃあな、ガキども。
せいぜい、てめぇらがした事を悔いながら、何時、俺が殺しに来るかと、ずっと震えて待ってりゃ良いさ♪」
ハヤトは、そんな捨て台詞を残し、出窓から飛び降りた。
「――畜生っ!、俺が……俺がっ!、一歩も前に動けなかっただとぉ!?
それどころか、気圧されて下がっちまうなんて……」
イゾウは口惜しそうに、刀を足下に放り投げて激昂する。
「――大巫女様、一体、何があったのか話して……」
刀を収めながら振り返り、ユリに経緯を問おうとしたショウは、先程までのキスシーンから始まった、一連の時よりも、驚愕した表情を浮かべて身を強張らせた。
「――っ!!!!、大巫女様?!」
慌てふためく素振りで、ユリの肩を揺らしながら叫ぶ、ショウに対し――
「――るせぇなぁっ!、大巫女のおばさんは、元カレとの接吻の余韻に浸ってるだけだろう……がぁっ!?」
苛立ち全開で振り向いたイゾウが目にしたのは――笑顔のまま、口内から血を吐き垂らしている、ユリの顔だった!
「おい……どーいう、コトだぁ?
大巫女ってのは、神具の力があるから、決して殺れねぇって……」
「――くっ、うぁっ……!」
イゾウの問いにも答えず、ショウは顔面を引き攣らせ、口を半開きにして嗚咽を漏らす。
「はは……良かったじゃねぇか?
これで、面倒なおばさんのご機嫌取りをしなくても……」
「――違うっ!、大巫女様の首を見てみろっ!」
楽観的な推測を述べるイゾウに、今度はショウが、苛立ち全開で激昂し、ユリの首筋を指差す。
「!?、あの首輪――"神具"が無ぇっ!、だから、力が働かなかった?」
事の次第を、大まかには理解出来たイゾウだったが、肝心の正答とは離れた答えに行き着く。
そんなイゾウを無視する体で、ショウは辺りを見渡し――
(片手に印籠?、
では――伝承に聞く、自死のための毒薬を飲んだとでも言うのか?
史実を追って見ても、寿命や病での死――以外での継承が記されたモノが無いため、ただの伝説の類かと思っていたが……)
そうして正答を呟き、ギリッと悔しげに奥歯を鳴らして、安らかな笑顔の死に様を見せつけている、ユリの顔を睨む。
「そこまで――自死に及んでまで!、我らの革命を拒むというのですかっ!?
上等です……草葉の陰で、我らが開く新時代の繁栄の姿を、口惜しげに見届けるが良いっ!」
ショウはそう言い捨てて、笑みを浮べながら立ち上がり――
「二刀烈警が、神具を携えて逃げたと見て間違いありません!
今居る士団員を、総動員してでも追わねばっ!」
――身を翻し、急ぎ早にユリの部屋から出ようとする。
「おっ、おいっ!、気持ちは解るが……隊長級でもビビっちまう、刀聖並みの相手だぞ?
追ったトコロで、死人の山を積むだけ――」
「――それでもだぁっ!
神具が、大巫女が望む継承者へと渡る事は、せっかく迅速に押さえた"大巫女という他勢力への人質"を奪われるのと同じ!
そうなれば、スヨウなどの旧勢力には我らを討つ大義を与え、気質的に信仰心が根強いハクキ連邦もまた、動き出しかねない――何より、大巫女を死に追いやった事が、刀聖へと伝われば……っ!」
イゾウの忠心に対し、ショウはそう反論し、ソウタの凄まじい闘気を思い返して、身震いを催する。
「せめて――完全に我らの体勢が整うまでは、かつてのハクキの様に……我らが『邪』として、糾弾されるワケには行かないんだぁっ!」
ショウは、半狂乱に等しい様でそう叫ぶと、館の廊下を駆け出した。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる