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会談
会談(後編)
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「――コウオウ戦役に至った経緯と、それについての貴方からの一報については、皇様からの書状で、大旨理解出来ました。
ツクモの『文』を司る、大巫女として、当世刀聖様の働きに、まずは厚く御礼を申し上げます」
ユリは、身を退いて畏まり、深く低頭して礼の意を表する。
「――それで、御所の神言に至ったとの……あらっ、そう言えばっ!」
ユリは、面を上げて、更なる本題に入ろうとした所で、彼女は何かを思い出して口を抑える。
「まだ、紫珠輪の"守"を、茶室に敷いていませんでしたね、ごめんなさい」
ユリはそう言うと、首に巻いた首輪状の首飾りに嵌められため、紫色の宝玉に触れ、何事かをブツブツと呟くと、その呟きに応える様に、紫の宝玉は淡く光り出した。
「はい、終わりましたぁ~!」
「――それが、歴代の大巫女に伝わる神具……紫珠輪ですか」
何事かを終え、紫珠輪から手を離すユリを、ソウタはジッと見詰めながら尋ねた。
「ええ、これで、この茶室には、"紫珠輪の結界"が敷かれました――この結界に因り、今は誰もこの茶室には出入り出来ません。
会話が外に漏れる事もありませんから、要は、御所の神言の間と同等の機密性を、この茶室は有したのです」
ユリは、紫の宝玉を光りが消えるまで見据え、自分が今していた事の意味を語り――
「――それと、きっとご存知なのでしょうけど、一応、知らせておきましょう。
この紫珠輪が敷く結界は、たとえ貴方の"光刃を持ってしても"、破って出入りする事は叶いませんから♪」
――と、結構重要な事柄を、思い出した様にユリはサラッと付け加えた。
「――てぇコトは、同時に俺は、大巫女様にこの部屋の中に封じられたって、ワケですね?」
ソウタは、冷静に腕組みをし、怪訝とした表情を浮べながら再度問うた。
「うふふ♪、本当に、当世の刀聖は物分りの良いコト……ええ、そのとおりです。
刀聖の、光刃が"比類無き矛"ならば、大巫女の紫珠輪が周りに敷く結界は、光刃ですらも破れない"比類無き盾"――私たち大巫女の身が、その紫珠輪の力で常に護られているのと同時に、大巫女とは、絶対的な武力である刀聖を抑止出来る、唯一無二の存在なのです。
私たちは、こうして、友好的に茶などを交わしてはいますが――考え様に因っては、天敵同士なワケですね、うふふ♪」
ユリは、口元を抑え、楽しそうに笑う。
「さあ、結界もちゃんと敷きましたから、貴方がヤマカキでの事変に遭遇し、コウオウ戦役にも参じての、貴方の見解を聞かせて貰いましょうか?」
――
――――
――――――
「――そう、ノブタツ様とも……」
「ええ、街道で出会いまして」
ソウタは、コウオウ戦役の顛末に加え、先日のノブタツとのやり取りについても、ユリへ話した。
「貴方が邪と断じた、スヨウの振る舞いについては――当世の大巫女として、一分一厘の否すら無く、貴方の決断を支持します。
それに、皇様――そして、刀聖の御意思のとおり、神言の真実を晒す事になり兼ねない、スヨウの真の目的の露呈も……避けるべきでしょうね」
ユリは、グッと唇を噛み、もどかしい気持ちを表す。
「――とはいえ、此度のスヨウの行いに関しては、確かに断罪するに値すると思いますが……今のツクモは、この"世界の真実"を知る、私たちだけで……各国を、民の意思を、一枚岩にする事は出来ないでしょうね」
「ええ――今、この世界の"主権"を有するのは、"神言を知る君主たち"ではなく、"事実を知らない大勢の民"――ソコに踏み込もうとすれば、どんな事柄であっても、必ず反対する者が出て来て、円滑にはモノゴトが定まらない。
きっと、それを成すには、スヨウの真意を、何れは神会の秘密そのものも、晒す必要が出て来ます……そうなれば、数千年に渡って根付いた、この世界の秩序は崩壊へと傾く事になるでしょう」
ユリが、25年前と今との状況の違いを説くと、ソウタはそれを早々に察して補足した。
「……モノ解りが良い刀聖って、何だか、可愛げが無いわね」
ソウタの利発な面を目の当たりにし、ユリは口を尖らせて拗ねて見せ、そんな事を呟く。
「へっ?!、そんなぁ……」
ソウタは、ユリのその軽口に対し、困惑した表情を浮べる。
「うふふ♪、冗談ですよ、利発な刀聖というのも、混沌に浸る今の世にとっては良いコトです。
それにしても――"民意という名の怪物"ですか……ノブタツ様も、随分と言い得て妙な事を」
そう言って、ユリは顔をしかめ、軽く溜め息を吐く。
「北コクエの選挙の後から――矢継ぎ早に、クリ社や大巫女への進言が、沢山ヒコザ様から送られて来ているのですが、民を"潤すため"にと――宅地取引の自由化、統一通貨の廃止と国ごとの独自通貨の導入など、どれも、アマノツバサノオオカミ様が禁忌として久しい、人心を乱す悪手な経済活動への変革を求めるモノばかり。
そんな戒律を理由に、突っ撥ねた後は……"それが、北コクエの民の意思にございます故"と、古からの戒めが通用しない勢い――確かに、その様は"御し難き怪物"と言えなくもありません」
ユリは、口を強く結んで、もう一度溜め息を吐いた。
「ソウタ、利発な当世の刀聖と見込んで尋ねます――貴方は、南北コクエやハクキ連邦へ、ノブタツ様が抱く危惧――どう考えています?」
ユリは、手の平をソウタへ向け、発言を促した。
「そうですね……それが、ヒトが暮らしを紡ぐ世界に取って、必ず通らなければならない通過儀礼だと考えれば、仕方ないコトかもしれないと思います」
ソウタは身を正して目を瞑り、ユリの問いに答え始める。
「――でも、それらが、このツクモを"かつての世界"の様に、滅びへ向かわせるとしても……それは、まだまだ遠い未来の話では、とも思っています」
「私も――まったく同じ意見ね。
"かつての世界"との決定的な違いは……まだ、ツクモには、映像に出ていた様な、大地を焼き払う鉄の怪鳥を造る事や、ヒトを獣と混ぜて造り変える様な、神掛かった技術を得るには至っていない――滅びに向かうのなら、それぐらいに至っていなければ無理でしょうし、至っていない今なら、相応の対処も出来る――と、私はノブタツ様に言ったわ」
ソウタの主張に、ユリはまたも同意したが、含みのある語尾を残して、残っていた茶を一口飲む。
「でも、ノブタツ様は、去り際にこれを付け加えたわね――『ただし、ツクモには、その"かつての世界"からの遺産である"天船"と、かつての世界には無かった"界気"があるコトをお忘れなく』――と」
ユリは、茶碗を退かせた口を結んで、険しい表情を浮べる。
「――なら、それに俺も付け加えましょうか?」
ユリの返答を聞き終え、ソウタも茶を一口含んで喉を潤し、呟く様にそう言うと――
「――"刀聖と光の刀"も、ツクモには居る。
それがこの……何かを、誰かを"滅ぼす事しか出来ねぇ"――この力の意味じゃないですかね?
そのために、刀聖は、こんなヒトが持つには過ぎた、ムダな力ってのを持たされてるんだと」
――ニヤッと笑って、溜め息を吐きながら、光の刀を収めた鞘を掲げた。
「解りました。
私の用向きはこれで終わり――ソウタ、私の召喚に応じてくれて、どうもありがとう」
ユリは、ソウタの強い言葉に応じる様に、小さく会釈をして、彼を労う言葉を言って――
「――で?、貴方はこの後……どうするつもりなのです?」
――と、この後の事を尋ねた。
「う~ん……スヨウが、直ぐにもコウオウへ再侵攻したり、山越えして、他国に攻め入るなんて事は、流石に考え難いでしょうから――しばらくは、また宛ての無い流者としての生活でしょうね」
ソウタは、顎に手を置いてそう語る中、心中に――
『いつか、一度は帰って、安心させてやれよ?』
――という、スグルの言葉が頭を過ぎる…
「――せっかく、テンラク様まで来たので、一度、ツツキに顔を出すのも良いかと」
ソウタがそう言って、何気無く近々の予定を吐露すると、ユリは、驚きと喜びが交じった表情をして口を覆う。
「あらっ?!、なんて奇遇!
丁度、ツツキに、使節団を送る予定があるのよ!」
ユリは、パンッと手を叩き、嬉しそうにソウタへにじり寄る。
「同行――お願い出来ない?
まあ、クリ社からの仕事は給金が安いって、流者たちには不人気なんだろうけど……」
腕組みをし、自虐染みた事を言うユリは、突然ピッと指を立て――
「――使節を務めるのはシオリなので、"あの"超絶美女と、給金貰いながら旅が出来る特典付きよ♪、如何かしら?」
――と、楽しげに、そして、ニヤニヤと笑いながら言った。
ツクモの『文』を司る、大巫女として、当世刀聖様の働きに、まずは厚く御礼を申し上げます」
ユリは、身を退いて畏まり、深く低頭して礼の意を表する。
「――それで、御所の神言に至ったとの……あらっ、そう言えばっ!」
ユリは、面を上げて、更なる本題に入ろうとした所で、彼女は何かを思い出して口を抑える。
「まだ、紫珠輪の"守"を、茶室に敷いていませんでしたね、ごめんなさい」
ユリはそう言うと、首に巻いた首輪状の首飾りに嵌められため、紫色の宝玉に触れ、何事かをブツブツと呟くと、その呟きに応える様に、紫の宝玉は淡く光り出した。
「はい、終わりましたぁ~!」
「――それが、歴代の大巫女に伝わる神具……紫珠輪ですか」
何事かを終え、紫珠輪から手を離すユリを、ソウタはジッと見詰めながら尋ねた。
「ええ、これで、この茶室には、"紫珠輪の結界"が敷かれました――この結界に因り、今は誰もこの茶室には出入り出来ません。
会話が外に漏れる事もありませんから、要は、御所の神言の間と同等の機密性を、この茶室は有したのです」
ユリは、紫の宝玉を光りが消えるまで見据え、自分が今していた事の意味を語り――
「――それと、きっとご存知なのでしょうけど、一応、知らせておきましょう。
この紫珠輪が敷く結界は、たとえ貴方の"光刃を持ってしても"、破って出入りする事は叶いませんから♪」
――と、結構重要な事柄を、思い出した様にユリはサラッと付け加えた。
「――てぇコトは、同時に俺は、大巫女様にこの部屋の中に封じられたって、ワケですね?」
ソウタは、冷静に腕組みをし、怪訝とした表情を浮べながら再度問うた。
「うふふ♪、本当に、当世の刀聖は物分りの良いコト……ええ、そのとおりです。
刀聖の、光刃が"比類無き矛"ならば、大巫女の紫珠輪が周りに敷く結界は、光刃ですらも破れない"比類無き盾"――私たち大巫女の身が、その紫珠輪の力で常に護られているのと同時に、大巫女とは、絶対的な武力である刀聖を抑止出来る、唯一無二の存在なのです。
私たちは、こうして、友好的に茶などを交わしてはいますが――考え様に因っては、天敵同士なワケですね、うふふ♪」
ユリは、口元を抑え、楽しそうに笑う。
「さあ、結界もちゃんと敷きましたから、貴方がヤマカキでの事変に遭遇し、コウオウ戦役にも参じての、貴方の見解を聞かせて貰いましょうか?」
――
――――
――――――
「――そう、ノブタツ様とも……」
「ええ、街道で出会いまして」
ソウタは、コウオウ戦役の顛末に加え、先日のノブタツとのやり取りについても、ユリへ話した。
「貴方が邪と断じた、スヨウの振る舞いについては――当世の大巫女として、一分一厘の否すら無く、貴方の決断を支持します。
それに、皇様――そして、刀聖の御意思のとおり、神言の真実を晒す事になり兼ねない、スヨウの真の目的の露呈も……避けるべきでしょうね」
ユリは、グッと唇を噛み、もどかしい気持ちを表す。
「――とはいえ、此度のスヨウの行いに関しては、確かに断罪するに値すると思いますが……今のツクモは、この"世界の真実"を知る、私たちだけで……各国を、民の意思を、一枚岩にする事は出来ないでしょうね」
「ええ――今、この世界の"主権"を有するのは、"神言を知る君主たち"ではなく、"事実を知らない大勢の民"――ソコに踏み込もうとすれば、どんな事柄であっても、必ず反対する者が出て来て、円滑にはモノゴトが定まらない。
きっと、それを成すには、スヨウの真意を、何れは神会の秘密そのものも、晒す必要が出て来ます……そうなれば、数千年に渡って根付いた、この世界の秩序は崩壊へと傾く事になるでしょう」
ユリが、25年前と今との状況の違いを説くと、ソウタはそれを早々に察して補足した。
「……モノ解りが良い刀聖って、何だか、可愛げが無いわね」
ソウタの利発な面を目の当たりにし、ユリは口を尖らせて拗ねて見せ、そんな事を呟く。
「へっ?!、そんなぁ……」
ソウタは、ユリのその軽口に対し、困惑した表情を浮べる。
「うふふ♪、冗談ですよ、利発な刀聖というのも、混沌に浸る今の世にとっては良いコトです。
それにしても――"民意という名の怪物"ですか……ノブタツ様も、随分と言い得て妙な事を」
そう言って、ユリは顔をしかめ、軽く溜め息を吐く。
「北コクエの選挙の後から――矢継ぎ早に、クリ社や大巫女への進言が、沢山ヒコザ様から送られて来ているのですが、民を"潤すため"にと――宅地取引の自由化、統一通貨の廃止と国ごとの独自通貨の導入など、どれも、アマノツバサノオオカミ様が禁忌として久しい、人心を乱す悪手な経済活動への変革を求めるモノばかり。
そんな戒律を理由に、突っ撥ねた後は……"それが、北コクエの民の意思にございます故"と、古からの戒めが通用しない勢い――確かに、その様は"御し難き怪物"と言えなくもありません」
ユリは、口を強く結んで、もう一度溜め息を吐いた。
「ソウタ、利発な当世の刀聖と見込んで尋ねます――貴方は、南北コクエやハクキ連邦へ、ノブタツ様が抱く危惧――どう考えています?」
ユリは、手の平をソウタへ向け、発言を促した。
「そうですね……それが、ヒトが暮らしを紡ぐ世界に取って、必ず通らなければならない通過儀礼だと考えれば、仕方ないコトかもしれないと思います」
ソウタは身を正して目を瞑り、ユリの問いに答え始める。
「――でも、それらが、このツクモを"かつての世界"の様に、滅びへ向かわせるとしても……それは、まだまだ遠い未来の話では、とも思っています」
「私も――まったく同じ意見ね。
"かつての世界"との決定的な違いは……まだ、ツクモには、映像に出ていた様な、大地を焼き払う鉄の怪鳥を造る事や、ヒトを獣と混ぜて造り変える様な、神掛かった技術を得るには至っていない――滅びに向かうのなら、それぐらいに至っていなければ無理でしょうし、至っていない今なら、相応の対処も出来る――と、私はノブタツ様に言ったわ」
ソウタの主張に、ユリはまたも同意したが、含みのある語尾を残して、残っていた茶を一口飲む。
「でも、ノブタツ様は、去り際にこれを付け加えたわね――『ただし、ツクモには、その"かつての世界"からの遺産である"天船"と、かつての世界には無かった"界気"があるコトをお忘れなく』――と」
ユリは、茶碗を退かせた口を結んで、険しい表情を浮べる。
「――なら、それに俺も付け加えましょうか?」
ユリの返答を聞き終え、ソウタも茶を一口含んで喉を潤し、呟く様にそう言うと――
「――"刀聖と光の刀"も、ツクモには居る。
それがこの……何かを、誰かを"滅ぼす事しか出来ねぇ"――この力の意味じゃないですかね?
そのために、刀聖は、こんなヒトが持つには過ぎた、ムダな力ってのを持たされてるんだと」
――ニヤッと笑って、溜め息を吐きながら、光の刀を収めた鞘を掲げた。
「解りました。
私の用向きはこれで終わり――ソウタ、私の召喚に応じてくれて、どうもありがとう」
ユリは、ソウタの強い言葉に応じる様に、小さく会釈をして、彼を労う言葉を言って――
「――で?、貴方はこの後……どうするつもりなのです?」
――と、この後の事を尋ねた。
「う~ん……スヨウが、直ぐにもコウオウへ再侵攻したり、山越えして、他国に攻め入るなんて事は、流石に考え難いでしょうから――しばらくは、また宛ての無い流者としての生活でしょうね」
ソウタは、顎に手を置いてそう語る中、心中に――
『いつか、一度は帰って、安心させてやれよ?』
――という、スグルの言葉が頭を過ぎる…
「――せっかく、テンラク様まで来たので、一度、ツツキに顔を出すのも良いかと」
ソウタがそう言って、何気無く近々の予定を吐露すると、ユリは、驚きと喜びが交じった表情をして口を覆う。
「あらっ?!、なんて奇遇!
丁度、ツツキに、使節団を送る予定があるのよ!」
ユリは、パンッと手を叩き、嬉しそうにソウタへにじり寄る。
「同行――お願い出来ない?
まあ、クリ社からの仕事は給金が安いって、流者たちには不人気なんだろうけど……」
腕組みをし、自虐染みた事を言うユリは、突然ピッと指を立て――
「――使節を務めるのはシオリなので、"あの"超絶美女と、給金貰いながら旅が出来る特典付きよ♪、如何かしら?」
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