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それぞれの大義
それぞれの大義
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「――まず、一献」
「いや――俺は、下戸でね」
「ほぅ……意外だな、ツクモの武の象徴が、よもや酒を呑めぬとは」
どこかで観た覚えがあるやり取りが、宿場の飯屋の片隅で繰り広げられている。
ノブタツの言葉どおり、粗末な飯屋の二人掛けのテーブルに――スヨウ国守と刀聖は、サシ呑みの恰好で鎮座していた。
護衛の5人は、人払いをされて――やれる事と言えば、宿場の街並みを、心配しながらウロウロとしているのが関の山である。
「――ではせめて、たらふく喰うてくれ。
飯屋が場所とはいえ、スヨウの国守が、刀聖を歓待出来ずに終わったとなっては、世の名折れ故な」
新しい編み笠を深く被ったノブタツは、テーブル中に並べさせた、この飯屋の料理へ向けて手を広げ、ソウタに箸を付ける事を所望する。
並んでいるのは、結果的に長くなった翼域での生活にはお馴染みの、獣の肉や野菜をふんだんに使った田舎料理ばかりである。
「――毒でも入ってるんじゃないっスか?、飯屋の主人も、スヨウの暗衆だったりして……」
ソウタは、精一杯の皮肉を込めて、目の前の料理を一瞥する。
「――手厳しいのぉ、ならば、我が毒見を兼ねて先に食そう。
うむっ!、美味じゃあ!、草原を駆ける翼域の獣の肉は、みっちりと実が詰まって美味と聞くが……本当じゃなっ!」
接待感丸出しのノブタツの対応を観て、流石に口をつけないのはバツが悪くなったソウタも、箸をとって近くの皿へ手を伸ばす。
「――うむ!」
ソウタが料理を食べた事を見届けたノブタツは、嬉しそうに頷き破顔を見せた。
「さて――名は確か、ソウタと申したか?」
ノブタツも箸を伸ばしながら、世間話でもする様にソウタへ尋ねた。
「――調べてあるんなら、わざわざ訊くコトも無いでしょう?」
一度も問われていないはずの本名を、アッサリと言い当てられたソウタは、あからさまにイヤな顔をする。
「そう怒るな。
恨み節なら、皇軍のずさんな情報統制に申せば良い――コウオウの、笊が如き秘匿では、民には隠せても、他国の情報網は誤魔化せぬ」
ノブタツは、料理を喉元で呷った酒で押し流し、不敵な笑みで微笑む。
「――で?、俺を飯に誘ったのは、どーいう了見っスか?」
ソウタは、目を据わらせて、貴君の見えない意図を問うた。
「なぁに、言葉どおりの挨拶と、せっかく会うたならば、刀聖に邪と断じられた、先の戦の弁明をな」
ノブタツは、猪口に目をやって俯き、ソウタから目線を外した…
「……」
ソウタは――眉間にシワを寄せ、ノブタツの言葉に聞き入る。
「お主も、皇様も、薄々とは感じておるのだろう?、此度の侵攻の本意に」
「……ええ。
アンタの狙いは、コウオウじゃない――その先にある、南北コクエやハクキ連邦、いわゆる"新しいツクモ"を標榜してる国々でしょう?」
ソウタは茶を啜り、顔を挙げずに、酒杯を置いた眼前のノブタツを見据える。
「――明察。
やはり、"古の界気鏡"を観たであろう者なら、話が早いな。
如何にも――我の意図とは、ツクモを"在るべき姿"に戻す事、つまり……古の映像に有る様な"民意の暴走"を止める事だ」
ノブタツは、持っていた箸をテーブルに置き、顔を挙げてソウタの瞳を真正面に見詰める。
「これまでに、古の文献から解読出来た神代文字を、件の秘伝書や例の古の界気鏡に映ったモノと照らし合わせた限り、我らの先祖たちが"かつての世界"で行っていた政治の基幹は、"民主主義"という、彼奴らが言う"新しいツクモ"に近いモノらしい――民が主権を持ち、民から選ばれた者が国守の類を担い、民が望む政治を行う――というな。
確かに――民からすれば、そこには願ったり叶ったりな世界があるのだろう……だが、そんな理想の世界に"何か"が起こり、故有って、このツクモへと逃げ延びなければ成らなくなった――それはそんな、生温き件の政体のせいなのではなかったのか?、そう――我は思うたのだ」
そこまで言って、ノブタツは、猪口に入れて置いた酒を呑み、喉を潤す。
「――民とは、いや、"人"とは、始祖神様の御言葉に在る様に、所詮は"獣の一種"。
その獣の"意を"尊ぼうとすればする程、その望みは無尽蔵であり、実に移ろい易い――故に、その民意という"獣"が欲するモノを、延々と与えるためには、あらゆる戦端を開き、それこそ獣が如く奪い合い、神掛かった技術を用いて、世界のあらゆるモノを喰らい尽くした――その末に、"かつての世界"は滅びの道を辿った。
そう思えば、あの映像は全て合点が行く!」
ノブタツは悔しげに唇を噛み、拳を握る。
「確かに――民意は、政治を行う上で、最も大事で、最も尊ぶべきモノだ。
しかし、それが全て、"世のため"になるとは限らないし、決して全てが"正しきモノ"でもないのだ――それを如実に現したのが、あの映像にある"かつての世界"の末路と、我らツクモの民が先の大戦へと至った流れの類似性……」
ノブタツは、猪口を再び酒で満たし、それを呷って、もう一度喉を潤す。
「――我は、当世の国守の一人として、この世界に同じ徹を踏ませるワケには行かぬっ!
故に、我は、あえてこのツクモに覇を唱え、皆が各々の立場で、各々の役割を務める、本来の世へと戻そうとしておるのだ!
当世の刀聖よ――"邪"と断じるべきは我よりも、ツクモを滅びに導き兼ねない、民意の方ではないのか?!」
ノブタツは、興奮気味にそう捲くし立て、ソウタへの弁明を締め括った。
ソウタは、ふぅっと、小さな息を吐き――
「――それ、テンラクからの帰路ってんなら、大巫女様にも言ったんでしょう?
なんて――言われました?」
――と、ノブタツに尋ねた。
「――"だとしても、ツクモの『文』を司る者として、貴殿が言う"大義"を、支持する事は出来ません"――そう、叱責染みた返答をされたよ。
だがな刀聖?、ツクモの『武』を司り、諸国を隈なく観てきたという、うぬならば解るはずだっ!
どれだけっ!、今のツクモが混沌に包まれ、あの映像を連想する事柄が、次々と起きている事実を。
刀聖よ!、我と共に覇を唱え、獣が如き彼奴らを――っ!?」
ノブタツは、そこまでを熱弁して、急に押し黙る――
「それは――出来ねぇ相談だね。
俺は……どんな弁明をされても、アンタを許す気にはなれねぇ!
国守を信じて、その"各々の役割"ってのを、懸命に務めてたヤマカキ村の人たちを――戦の名分をでっち上げるために、無惨にも皆殺しにさせたアンタはなぁっ!」
――その理由は、侮蔑に満ちた、ソウタからの厳しい眼差しを観たからだった。
「――へっ!、アンタの『意』ってのも、トンだ方向に暴走してんじゃねぇのかよ?」
ソウタは、呆れた体でそう言い捨て、スッとテーブルから立ち上がる――彼の今の言葉からは、若年な身の上には不相応な程の、妙な威厳が醸され――それが、ノブタツに一言の反論も許さない。
「大巫女様みたく、学のある言い方は出来ねぇが、刀聖のアンタへの返事は――」
ソウタは、ノブタツを見下ろし、そう前置きをして――
「――"何人もの女を泣かした"、アンタの勝手な言い分のために――俺は、光刃を振るいたくねぇ!、ただ、それだけだ……」
――吐き捨てる様にそう言って、ノブタツの横をすり抜ける。
その、言い様の脳裏には――夜闇の中で咽び泣くレンの声や、苦渋の決断と共に大粒の涙を落とすサトコの姿、そして――故国のために殉じた義父の躯の上で、声を挙げて泣き崩れたリノの姿があった事は、彼にしか解からない……
黙って、そのソウタの返事を聞いたノブタツは、ふうっと溜め息を吐き――
「――そう言われては、立つ瀬が無いな……」
――そう言って、猪口に酒を並々と注ぐ。
「じゃがな、刀聖――お前も、いずれは出くわし、思い知る事になろう――際限無く"欲"を垂れ流し、"情"で拵えた鎧を着た――"民意"という名の、邪悪な怪物の姿をな」
ノブタツは、その一献を一息に呑み干し、口元に不敵な笑みを浮べた。
「へっ!、なら――アンタ諸共、その"怪物"も滅するだけだよ。
それが、刀聖ってモンのお仕事だからな」
ソウタは、チラリと光の刀に目線を向け、破顔を纏いながら、飯屋の暖簾を潜った。
「いや――俺は、下戸でね」
「ほぅ……意外だな、ツクモの武の象徴が、よもや酒を呑めぬとは」
どこかで観た覚えがあるやり取りが、宿場の飯屋の片隅で繰り広げられている。
ノブタツの言葉どおり、粗末な飯屋の二人掛けのテーブルに――スヨウ国守と刀聖は、サシ呑みの恰好で鎮座していた。
護衛の5人は、人払いをされて――やれる事と言えば、宿場の街並みを、心配しながらウロウロとしているのが関の山である。
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新しい編み笠を深く被ったノブタツは、テーブル中に並べさせた、この飯屋の料理へ向けて手を広げ、ソウタに箸を付ける事を所望する。
並んでいるのは、結果的に長くなった翼域での生活にはお馴染みの、獣の肉や野菜をふんだんに使った田舎料理ばかりである。
「――毒でも入ってるんじゃないっスか?、飯屋の主人も、スヨウの暗衆だったりして……」
ソウタは、精一杯の皮肉を込めて、目の前の料理を一瞥する。
「――手厳しいのぉ、ならば、我が毒見を兼ねて先に食そう。
うむっ!、美味じゃあ!、草原を駆ける翼域の獣の肉は、みっちりと実が詰まって美味と聞くが……本当じゃなっ!」
接待感丸出しのノブタツの対応を観て、流石に口をつけないのはバツが悪くなったソウタも、箸をとって近くの皿へ手を伸ばす。
「――うむ!」
ソウタが料理を食べた事を見届けたノブタツは、嬉しそうに頷き破顔を見せた。
「さて――名は確か、ソウタと申したか?」
ノブタツも箸を伸ばしながら、世間話でもする様にソウタへ尋ねた。
「――調べてあるんなら、わざわざ訊くコトも無いでしょう?」
一度も問われていないはずの本名を、アッサリと言い当てられたソウタは、あからさまにイヤな顔をする。
「そう怒るな。
恨み節なら、皇軍のずさんな情報統制に申せば良い――コウオウの、笊が如き秘匿では、民には隠せても、他国の情報網は誤魔化せぬ」
ノブタツは、料理を喉元で呷った酒で押し流し、不敵な笑みで微笑む。
「――で?、俺を飯に誘ったのは、どーいう了見っスか?」
ソウタは、目を据わらせて、貴君の見えない意図を問うた。
「なぁに、言葉どおりの挨拶と、せっかく会うたならば、刀聖に邪と断じられた、先の戦の弁明をな」
ノブタツは、猪口に目をやって俯き、ソウタから目線を外した…
「……」
ソウタは――眉間にシワを寄せ、ノブタツの言葉に聞き入る。
「お主も、皇様も、薄々とは感じておるのだろう?、此度の侵攻の本意に」
「……ええ。
アンタの狙いは、コウオウじゃない――その先にある、南北コクエやハクキ連邦、いわゆる"新しいツクモ"を標榜してる国々でしょう?」
ソウタは茶を啜り、顔を挙げずに、酒杯を置いた眼前のノブタツを見据える。
「――明察。
やはり、"古の界気鏡"を観たであろう者なら、話が早いな。
如何にも――我の意図とは、ツクモを"在るべき姿"に戻す事、つまり……古の映像に有る様な"民意の暴走"を止める事だ」
ノブタツは、持っていた箸をテーブルに置き、顔を挙げてソウタの瞳を真正面に見詰める。
「これまでに、古の文献から解読出来た神代文字を、件の秘伝書や例の古の界気鏡に映ったモノと照らし合わせた限り、我らの先祖たちが"かつての世界"で行っていた政治の基幹は、"民主主義"という、彼奴らが言う"新しいツクモ"に近いモノらしい――民が主権を持ち、民から選ばれた者が国守の類を担い、民が望む政治を行う――というな。
確かに――民からすれば、そこには願ったり叶ったりな世界があるのだろう……だが、そんな理想の世界に"何か"が起こり、故有って、このツクモへと逃げ延びなければ成らなくなった――それはそんな、生温き件の政体のせいなのではなかったのか?、そう――我は思うたのだ」
そこまで言って、ノブタツは、猪口に入れて置いた酒を呑み、喉を潤す。
「――民とは、いや、"人"とは、始祖神様の御言葉に在る様に、所詮は"獣の一種"。
その獣の"意を"尊ぼうとすればする程、その望みは無尽蔵であり、実に移ろい易い――故に、その民意という"獣"が欲するモノを、延々と与えるためには、あらゆる戦端を開き、それこそ獣が如く奪い合い、神掛かった技術を用いて、世界のあらゆるモノを喰らい尽くした――その末に、"かつての世界"は滅びの道を辿った。
そう思えば、あの映像は全て合点が行く!」
ノブタツは悔しげに唇を噛み、拳を握る。
「確かに――民意は、政治を行う上で、最も大事で、最も尊ぶべきモノだ。
しかし、それが全て、"世のため"になるとは限らないし、決して全てが"正しきモノ"でもないのだ――それを如実に現したのが、あの映像にある"かつての世界"の末路と、我らツクモの民が先の大戦へと至った流れの類似性……」
ノブタツは、猪口を再び酒で満たし、それを呷って、もう一度喉を潤す。
「――我は、当世の国守の一人として、この世界に同じ徹を踏ませるワケには行かぬっ!
故に、我は、あえてこのツクモに覇を唱え、皆が各々の立場で、各々の役割を務める、本来の世へと戻そうとしておるのだ!
当世の刀聖よ――"邪"と断じるべきは我よりも、ツクモを滅びに導き兼ねない、民意の方ではないのか?!」
ノブタツは、興奮気味にそう捲くし立て、ソウタへの弁明を締め括った。
ソウタは、ふぅっと、小さな息を吐き――
「――それ、テンラクからの帰路ってんなら、大巫女様にも言ったんでしょう?
なんて――言われました?」
――と、ノブタツに尋ねた。
「――"だとしても、ツクモの『文』を司る者として、貴殿が言う"大義"を、支持する事は出来ません"――そう、叱責染みた返答をされたよ。
だがな刀聖?、ツクモの『武』を司り、諸国を隈なく観てきたという、うぬならば解るはずだっ!
どれだけっ!、今のツクモが混沌に包まれ、あの映像を連想する事柄が、次々と起きている事実を。
刀聖よ!、我と共に覇を唱え、獣が如き彼奴らを――っ!?」
ノブタツは、そこまでを熱弁して、急に押し黙る――
「それは――出来ねぇ相談だね。
俺は……どんな弁明をされても、アンタを許す気にはなれねぇ!
国守を信じて、その"各々の役割"ってのを、懸命に務めてたヤマカキ村の人たちを――戦の名分をでっち上げるために、無惨にも皆殺しにさせたアンタはなぁっ!」
――その理由は、侮蔑に満ちた、ソウタからの厳しい眼差しを観たからだった。
「――へっ!、アンタの『意』ってのも、トンだ方向に暴走してんじゃねぇのかよ?」
ソウタは、呆れた体でそう言い捨て、スッとテーブルから立ち上がる――彼の今の言葉からは、若年な身の上には不相応な程の、妙な威厳が醸され――それが、ノブタツに一言の反論も許さない。
「大巫女様みたく、学のある言い方は出来ねぇが、刀聖のアンタへの返事は――」
ソウタは、ノブタツを見下ろし、そう前置きをして――
「――"何人もの女を泣かした"、アンタの勝手な言い分のために――俺は、光刃を振るいたくねぇ!、ただ、それだけだ……」
――吐き捨てる様にそう言って、ノブタツの横をすり抜ける。
その、言い様の脳裏には――夜闇の中で咽び泣くレンの声や、苦渋の決断と共に大粒の涙を落とすサトコの姿、そして――故国のために殉じた義父の躯の上で、声を挙げて泣き崩れたリノの姿があった事は、彼にしか解からない……
黙って、そのソウタの返事を聞いたノブタツは、ふうっと溜め息を吐き――
「――そう言われては、立つ瀬が無いな……」
――そう言って、猪口に酒を並々と注ぐ。
「じゃがな、刀聖――お前も、いずれは出くわし、思い知る事になろう――際限無く"欲"を垂れ流し、"情"で拵えた鎧を着た――"民意"という名の、邪悪な怪物の姿をな」
ノブタツは、その一献を一息に呑み干し、口元に不敵な笑みを浮べた。
「へっ!、なら――アンタ諸共、その"怪物"も滅するだけだよ。
それが、刀聖ってモンのお仕事だからな」
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