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刀聖、斯く語りき
刀聖、斯く語りき(前編)
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――三年前のあの日の朝、俺は師匠と暮らしている小屋の外で、日課となっていた真剣を用いての素振りをしていた。
"それ"は、十歳の頃から、師匠に毎朝課せられている稽古の一種で、俺は、当たり前にそれをこなしていた。
それを始めた十歳の頃じゃ、そりゃあ真剣じゃあ重過ぎて、苦労したモンだったがね。
――で、あの日の前の晩……師匠は、アヤコ様と約束があるとかで、俺一人を置いて外泊――
「――ったく、二人とも、結構な歳してんのに、意外と"お盛ん"なコトでさ」
――なぁ~んて、昔の恋仲が有名な二人の事を、独り言で皮肉りがら、俺は黙々と素振りをしていた…
――ガサッ……
その最中――わざとらしくさえ聞こえる、草を踏む足音が聴こえた。
しかも、今になって思えば、"まだ人を斬ったコトがねぇ頃の"俺でもそれと解る、これまたわざとらしい殺気を振り撒いて――
(――なんだ?)
――そう俺は、そのわざとらしい殺気を警戒して、八方に感覚を研ぎ澄ませた。
その殺気の主に、俺は二人ほど検討が着く者が居た。
一人は――アヤコ様を前にした試合で俺に負けてからというモノ、やたらと突っかかって来る幼馴染――暗衆頭の一人娘、アオイ。
数日前なんて――
「――闇夜に紛れ、隙を突くのが暗衆の真なる兵法!」
――とか言って、寝込みを襲おうとしやがってたモンだ。
でも、格闘の末に、寝床に押し倒したら、急に大人しくなって……こっ酷い文句を言ってやったら、泣きながら、小屋から出て行ってたっけなぁ。
――で、もう一人は……師匠。
奇襲を捌く訓練として、稀にではあったが、襲って来る事があった。
(この間の様子を思うと、後者――か?
そうなると、いくら師匠でも、今の時間にココに着くには、深夜にアヤコ様のトコを出た事になる――そりゃあ、いくらなんでも、ちょいと不自然ってモンかぁ?)
俺は、そんな風に迫る刺客(?)の事を邪推しながら、更に辺りを警戒する。
強く、草を蹴る音が響き、何か……いや、"誰か"が、動く気配を背後に感じたっ!
受け止めた刀がビリビリと震え、柄を握る俺の掌に、強烈な震動が伝わって来た。
「――ぐっ!」
俺は、辛抱堪らず、後退りをしながら、その刺客(確定)の腹を蹴って、その刺客の足下に注視して、一旦、距離を取ろうとする。
敵が、追撃して来るか否か――それは、脚の動きで判断しろというのが、師匠の教えだったからな。
それに――この一合で、この刺客(確定)が、何者なのかも大方の見当が着いた。
追撃の様は感じられず、俺は間合いから外れた事で、刺客(確定)の姿に目をやる余裕が出来た。
俺は、その刺客(確定)の顔を拝んでやろうと、目線を足下から顔へと移す。
目の前に写った、刺客(確定)の顔に――俺は、怪訝な表情を浮かべた。
俺の目の前に居るのは、白地の雑着の上に、派手な羽織りを纏った男"らしき"人間――何故、"らしき"などと評したかというと、そいつの顔は、目と口の部分だけが切り抜かれた、不気味な白い能面で隠されていたからだ。
「――なんだぁ?、随分と素っ頓狂な恰好だなぁ」
俺は、思わずニヤけて、その刺客を小馬鹿にする。
「――どうしたんです?、逢引を途中で止めたんスか?
それとも……今日は、小屋に"お持ち帰り"?、お邪魔なら――俺は、どっかに行ってましょうか?」
俺は、側の大木の陰に隠れたつもりで居る、アヤコ様にも目を向けながら、警戒を解いて刀をダラリと下げる。
「ソッ!、ソウタ!
はっ、はしたない物言いをしてはいけませんっ!」
アヤコ様は、俺の下賎な物言いを叱りながら、大木の陰から姿を現した。
そのアヤコ様の側には、今の俺の発言を恥ずかしがって、頬を赤らめている、これも幼馴染で、アヤコ様付きの侍女見習いをしている、ヒカリも居た。
「一合で俺だと見破り、アヤコたちの事にも気付いたか――上出来だ」
白い面の男――いや、刀聖リョウゴは、そう言って、つまらなさそうに唾を地面に吐いた。
「俺だって、いつまでも子供のままじゃねぇっスよ。
それに、アンタの気まぐれみてぇな攻撃は、イヤというほど受けてきたからねぇ……もう、斬撃の速さや力の度合いで、簡単に気付くってなモンさ」
俺は、大袈裟にヒラヒラと手を振るって、目線を遠くに向けながら、師匠へとそう嘯く。
「――アヤコぉ、どうやら合格だぁ。
お前にくれた、このガキ……一旦は返して貰ってたが、もう一回、くれてやる日が来た様だな」
師匠も、俺と同じ様に目線を遠くに向けて、それを見ているアヤコ様へ向けてそう嘯いた。
「もう、またあなたは、その様な女衒が如き物言いを……ソウタは、あなたの拾い物などではないのですよ?
それに、ソウタまですっかり、言葉使いが荒くなってしまって……」
七歳の時分に出会い、十歳の時分から、この師匠と一緒に暮らしていると――この、下賤な物言いを、俺は伝染されたらしい。
「――師匠、じゃあ俺は、"免許皆伝"てぇコト?」
「ああ、そうだ」
師匠は、めんどくさそうにそう言って、後ろ頭をポリポリと掻く。
「――じゃあ、昨夜のアヤコ様との約束って……」
「そんコトの話だ――ったく、逢引だなんて、色気づいた勘繰りしやがって」
そう言って、師匠は照れ臭そうにほんのりと赤面し、それを聞いたアヤコ様も、恥ずかしそうにうつむいて見せる。
――ある意味、この二人は、この世界で一番有名な恋仲――
歳を補足すると、四十過ぎのおっさんと三十路半ばになった姫様のカンケイは、当時十代の俺でも、痒くなっちまうほどに初心だった。
「――はぁ~っ!、そうかいそうかい!、やぁ~っと!、終わったのかぁ……」
俺は、これも大袈裟に両手を広げて、まだ昇り続けている、朝日を見上げて大きく一息を吐く。
「アンタのトコに、戻されてから、もうすぐ七年。
最初の三年は、あっちこちに連れ回されて――残りの四年は、この小屋の前で、ひたすら毎日、アンタと手合わせ……いい加減、イヤになってきた頃だったから、ようやくだわ、ホント」
俺は、いきなりに伝えられた吉報を素直に喜んで、右手の真剣を、更にダラリと下げた。
「――えっ!?、じゃあ……ソウちゃんは、お城に帰って来るんですか?」
そう、一緒に喜んでくれたのは、アヤコ様の側に控えるヒカリで……アイツは、十七にもなろうとしている、この頃でまで、俺を『ちゃん付け』で呼びやがる。
ヒカリが、そう嬉しそうに、アヤコ様に尋ねると――
「……」
――アヤコ様は、喜び合う俺たちとは真逆な、悲しそうな眼差しを、俺と師匠に向けていた。
「――だぁがなぁ、卒業試験は、まだ、終わってねぇんだわ」
――と、師匠は、また面倒臭そう、後ろ頭を掻きながらそう言って――突如、顔付きを変え、下げたままの刀を振り上げ、俺に向けて突進して来たっ!
「――っ!?」
俺は、咄嗟に、本能的に、右手の真剣を振り上げ、師匠の斬撃を受け止めた。
――だが、先程の斬撃とは……明らかに、違う力の込め方と鋭さ!
一瞬でも、反応が遅れていたら……俺は今頃、袈裟懸けに両断されていたのが確実な一撃だったと言えるっ!
「おいおいっ!、アヤコ様とのコトを、ちょっと茶化したからって……随分と、大人げねぇコトをすんなぁ、アンタもっ!」
その、大人げない一撃をやり過ごそうと、俺は四肢に力を込めながら毒づく。
「――いんや、違う……これが、本当の卒業試験だ」
師匠は、息一つ乱さずに、その剛剣を振り下ろしながら、薄っすら笑みを浮べてそう言う。
「――はぁっ?!、試験なんてレベルのヤツじゃ、ねぇ……だろっ!、これぇっ!!」
俺は、懸命に刀身に力を伝え、師匠の凄まじい一撃を捌いて、一旦、どうにか距離を取った。
「――お前、卒業試験の意味……間違えてねぇか?」
師匠は、刀の峰を肩口に置いて、トントンと担ぎながら言った。
「はぁ、はぁ……はぁ?」
俺は、息を整えながら、言葉の意味を一言で問い返す。
「――刀聖門下の、卒業試験ってのはなぁ……」
そこまで言って、師匠は、ニヤッと下卑た笑みをして――
「――刀聖に、斬り殺されるってコトなんだよっ!」
――そう、言い淀み無く言い放ったっ!
"それ"は、十歳の頃から、師匠に毎朝課せられている稽古の一種で、俺は、当たり前にそれをこなしていた。
それを始めた十歳の頃じゃ、そりゃあ真剣じゃあ重過ぎて、苦労したモンだったがね。
――で、あの日の前の晩……師匠は、アヤコ様と約束があるとかで、俺一人を置いて外泊――
「――ったく、二人とも、結構な歳してんのに、意外と"お盛ん"なコトでさ」
――なぁ~んて、昔の恋仲が有名な二人の事を、独り言で皮肉りがら、俺は黙々と素振りをしていた…
――ガサッ……
その最中――わざとらしくさえ聞こえる、草を踏む足音が聴こえた。
しかも、今になって思えば、"まだ人を斬ったコトがねぇ頃の"俺でもそれと解る、これまたわざとらしい殺気を振り撒いて――
(――なんだ?)
――そう俺は、そのわざとらしい殺気を警戒して、八方に感覚を研ぎ澄ませた。
その殺気の主に、俺は二人ほど検討が着く者が居た。
一人は――アヤコ様を前にした試合で俺に負けてからというモノ、やたらと突っかかって来る幼馴染――暗衆頭の一人娘、アオイ。
数日前なんて――
「――闇夜に紛れ、隙を突くのが暗衆の真なる兵法!」
――とか言って、寝込みを襲おうとしやがってたモンだ。
でも、格闘の末に、寝床に押し倒したら、急に大人しくなって……こっ酷い文句を言ってやったら、泣きながら、小屋から出て行ってたっけなぁ。
――で、もう一人は……師匠。
奇襲を捌く訓練として、稀にではあったが、襲って来る事があった。
(この間の様子を思うと、後者――か?
そうなると、いくら師匠でも、今の時間にココに着くには、深夜にアヤコ様のトコを出た事になる――そりゃあ、いくらなんでも、ちょいと不自然ってモンかぁ?)
俺は、そんな風に迫る刺客(?)の事を邪推しながら、更に辺りを警戒する。
強く、草を蹴る音が響き、何か……いや、"誰か"が、動く気配を背後に感じたっ!
受け止めた刀がビリビリと震え、柄を握る俺の掌に、強烈な震動が伝わって来た。
「――ぐっ!」
俺は、辛抱堪らず、後退りをしながら、その刺客(確定)の腹を蹴って、その刺客の足下に注視して、一旦、距離を取ろうとする。
敵が、追撃して来るか否か――それは、脚の動きで判断しろというのが、師匠の教えだったからな。
それに――この一合で、この刺客(確定)が、何者なのかも大方の見当が着いた。
追撃の様は感じられず、俺は間合いから外れた事で、刺客(確定)の姿に目をやる余裕が出来た。
俺は、その刺客(確定)の顔を拝んでやろうと、目線を足下から顔へと移す。
目の前に写った、刺客(確定)の顔に――俺は、怪訝な表情を浮かべた。
俺の目の前に居るのは、白地の雑着の上に、派手な羽織りを纏った男"らしき"人間――何故、"らしき"などと評したかというと、そいつの顔は、目と口の部分だけが切り抜かれた、不気味な白い能面で隠されていたからだ。
「――なんだぁ?、随分と素っ頓狂な恰好だなぁ」
俺は、思わずニヤけて、その刺客を小馬鹿にする。
「――どうしたんです?、逢引を途中で止めたんスか?
それとも……今日は、小屋に"お持ち帰り"?、お邪魔なら――俺は、どっかに行ってましょうか?」
俺は、側の大木の陰に隠れたつもりで居る、アヤコ様にも目を向けながら、警戒を解いて刀をダラリと下げる。
「ソッ!、ソウタ!
はっ、はしたない物言いをしてはいけませんっ!」
アヤコ様は、俺の下賎な物言いを叱りながら、大木の陰から姿を現した。
そのアヤコ様の側には、今の俺の発言を恥ずかしがって、頬を赤らめている、これも幼馴染で、アヤコ様付きの侍女見習いをしている、ヒカリも居た。
「一合で俺だと見破り、アヤコたちの事にも気付いたか――上出来だ」
白い面の男――いや、刀聖リョウゴは、そう言って、つまらなさそうに唾を地面に吐いた。
「俺だって、いつまでも子供のままじゃねぇっスよ。
それに、アンタの気まぐれみてぇな攻撃は、イヤというほど受けてきたからねぇ……もう、斬撃の速さや力の度合いで、簡単に気付くってなモンさ」
俺は、大袈裟にヒラヒラと手を振るって、目線を遠くに向けながら、師匠へとそう嘯く。
「――アヤコぉ、どうやら合格だぁ。
お前にくれた、このガキ……一旦は返して貰ってたが、もう一回、くれてやる日が来た様だな」
師匠も、俺と同じ様に目線を遠くに向けて、それを見ているアヤコ様へ向けてそう嘯いた。
「もう、またあなたは、その様な女衒が如き物言いを……ソウタは、あなたの拾い物などではないのですよ?
それに、ソウタまですっかり、言葉使いが荒くなってしまって……」
七歳の時分に出会い、十歳の時分から、この師匠と一緒に暮らしていると――この、下賤な物言いを、俺は伝染されたらしい。
「――師匠、じゃあ俺は、"免許皆伝"てぇコト?」
「ああ、そうだ」
師匠は、めんどくさそうにそう言って、後ろ頭をポリポリと掻く。
「――じゃあ、昨夜のアヤコ様との約束って……」
「そんコトの話だ――ったく、逢引だなんて、色気づいた勘繰りしやがって」
そう言って、師匠は照れ臭そうにほんのりと赤面し、それを聞いたアヤコ様も、恥ずかしそうにうつむいて見せる。
――ある意味、この二人は、この世界で一番有名な恋仲――
歳を補足すると、四十過ぎのおっさんと三十路半ばになった姫様のカンケイは、当時十代の俺でも、痒くなっちまうほどに初心だった。
「――はぁ~っ!、そうかいそうかい!、やぁ~っと!、終わったのかぁ……」
俺は、これも大袈裟に両手を広げて、まだ昇り続けている、朝日を見上げて大きく一息を吐く。
「アンタのトコに、戻されてから、もうすぐ七年。
最初の三年は、あっちこちに連れ回されて――残りの四年は、この小屋の前で、ひたすら毎日、アンタと手合わせ……いい加減、イヤになってきた頃だったから、ようやくだわ、ホント」
俺は、いきなりに伝えられた吉報を素直に喜んで、右手の真剣を、更にダラリと下げた。
「――えっ!?、じゃあ……ソウちゃんは、お城に帰って来るんですか?」
そう、一緒に喜んでくれたのは、アヤコ様の側に控えるヒカリで……アイツは、十七にもなろうとしている、この頃でまで、俺を『ちゃん付け』で呼びやがる。
ヒカリが、そう嬉しそうに、アヤコ様に尋ねると――
「……」
――アヤコ様は、喜び合う俺たちとは真逆な、悲しそうな眼差しを、俺と師匠に向けていた。
「――だぁがなぁ、卒業試験は、まだ、終わってねぇんだわ」
――と、師匠は、また面倒臭そう、後ろ頭を掻きながらそう言って――突如、顔付きを変え、下げたままの刀を振り上げ、俺に向けて突進して来たっ!
「――っ!?」
俺は、咄嗟に、本能的に、右手の真剣を振り上げ、師匠の斬撃を受け止めた。
――だが、先程の斬撃とは……明らかに、違う力の込め方と鋭さ!
一瞬でも、反応が遅れていたら……俺は今頃、袈裟懸けに両断されていたのが確実な一撃だったと言えるっ!
「おいおいっ!、アヤコ様とのコトを、ちょっと茶化したからって……随分と、大人げねぇコトをすんなぁ、アンタもっ!」
その、大人げない一撃をやり過ごそうと、俺は四肢に力を込めながら毒づく。
「――いんや、違う……これが、本当の卒業試験だ」
師匠は、息一つ乱さずに、その剛剣を振り下ろしながら、薄っすら笑みを浮べてそう言う。
「――はぁっ?!、試験なんてレベルのヤツじゃ、ねぇ……だろっ!、これぇっ!!」
俺は、懸命に刀身に力を伝え、師匠の凄まじい一撃を捌いて、一旦、どうにか距離を取った。
「――お前、卒業試験の意味……間違えてねぇか?」
師匠は、刀の峰を肩口に置いて、トントンと担ぎながら言った。
「はぁ、はぁ……はぁ?」
俺は、息を整えながら、言葉の意味を一言で問い返す。
「――刀聖門下の、卒業試験ってのはなぁ……」
そこまで言って、師匠は、ニヤッと下卑た笑みをして――
「――刀聖に、斬り殺されるってコトなんだよっ!」
――そう、言い淀み無く言い放ったっ!
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