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第36話 ゴーストハンター高島聖の任務記録:失われた神々と八岐大蛇の影 ①
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【八大龍王 難陀龍王の娘 翠蓮side】
最近、神社仏閣が破壊され居場所のなくなった神が幽玄峰にくる事が多くなった。一時的に幽玄峰に滞在して貰い、天界に向かってもらっているんですが、あまりに多すぎる……
ここ数ヶ月で二十件。既に信仰のない土着の神や、かつての水神が襲われている……
「どういうことなのでしょうか ?」
襲われた神の話を聞いても、襲ってきたのは二首の竜だったや、鬼だったなど……どれも証言が違う。別の個体……もしくは姿を変えることが出来る妖怪、もしくは……「龍神族に関係している ?」
一応調べてはいるが、全く足取りがつかめない……関連性があるのは龍神族に関係しているという事だけ……「どうしたものでしょうか !?」
私は幽玄峰に縛られた神であり、基本的には離れることが出来ない。
日本の龍神と言うのは太古の時代に関係した神が多いので、警戒し、調べるように言われていたが……正直、幽玄峰で調べるのは難しい。
「人界に降りないと難しいですね」
なにせ神界では気配を探るのも難しいし、人界で直接捜索すれば見つける事ができるかもしれないが……流石にそこまでの許可は下りていない。
むしろ私は今、謹慎を言い渡されているので直接動く事が出来ないのだ。
蛮と勇の鬼兄弟のせいですよね……
龍王波山剣を取り返し、扇も奪い返したが、蛮と勇は討伐の指示が出ていたが、どちらかだけは捕獲せよと命じられていた鬼だったらしく、両者とも滅してしまった私は今は謹慎状態。
そのままでも調べる事が出来る事を調べているんだけど……正直この状態で調べる事は不可能に近い、私は戦闘系の神で調べ物は余り得意ではないのだ。
「翠蓮。 今、大丈夫なのね~」
空間の裂け目から顔を出した百目鬼。
彼女も調べるように言われている神の一人だ。心眼を持つ百目鬼なら天界でも調べる事ができるので彼女の方が適任と言える。私が調べるように言われたのは、ある意味、お仕置きと言う事だから文句は言えないけど……
「大丈夫です。 何か判りましたか?」
私がそう尋ねると百目鬼は頬をかきながら、
「襲撃犯は見つけることが出来なかったのね~
もう少し派手に動いてくれれば良いんだけどねえ~
だけど今回は少しだけ気になる事があってなのね~」
気になる事?
私が首を傾げていると百目鬼は私が見ていた地図に丸を付け加える。 その三箇所を見て直ぐに理解した……その場所は神族でも知っている場所であり、警戒するように言われている場所でもあったからだ。
「まさか !?」
考えられる可能性はそれだけだが……もし、その通りなら大変な事になりかねない。
「熱田神宮・伊勢神宮そして……関門海峡」
熱田神宮と伊勢神宮には三種の神器の『天叢雲剣』『八咫鏡』が安置されている、無論レプリカなのだが……
その神性は本物で強力な霊具であるのは言うまでもない。
そして関門海峡は人間界では『壇ノ浦の戦い』と言われる争いの行われた場所であり、そこでは『八尺瓊勾玉』は沈んだとされている。
無論、回収はされていると聞くが、レプリカと言う可能性も高い。 当時の陰陽師なら不可能ではないからだ。
「だけど伊勢神宮と関門海峡の反応は少ないのね~。反応が濃いのは『熱田神宮』なのね~」
熱田神宮といえば『天叢雲剣』そして熱田神宮に関係のある者と言えば……
「八岐大蛇 !!」
龍族の中で最高とまで言われた、最強の邪龍。
完全に封印されていると聞いているので、ありえないとは思うが警戒する必要はあるだろう。
「その可能性が極めて高いのね~。まだ確証はないけど警戒しておいて欲しいのね~」
「じゃあ調べるのに戻るのね~」と呟き消えていく百目鬼。
私は百目鬼から与えられた情報を頼りに、幽玄峰の資料に目を通し始めたのだった……
◇◇
幽玄峰の静寂は、私の心を重くする。周囲の空気が張り詰め、何かが迫っているような不安感が漂っていた。百目鬼が去った後、私は資料の山に埋もれながら、思考を巡らせる。熱田神宮、伊勢神宮、関門海峡。これらの場所が持つ神秘的な力の源は、私の心をざわめかせる。
「八岐大蛇……」その名を口にするだけで、背筋が凍る思いがした。伝説の中で語られるその存在は、ただの神話ではない。もし本当に復活するようなことがあれば、神々の世界はもちろん、人界にも大きな影響を及ぼすだろう。
私は資料をめくりながら、熱田神宮に関する古い文献を探し始めた。そこには、八岐大蛇にまつわる数々の伝説が記されている。特に、彼が封印される際の儀式や、彼を封じ込めるために必要なアイテムについての記述が目を引いた。
「天叢雲剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉……」それぞれが持つ力は計り知れない。これらの神器が、もし何者かの手によって奪われたり、悪用されたりしたら、私たち神々はどうなるのか。考えただけで恐ろしい。
「まずは、熱田神宮の警備を強化しなければ……」私は決意を固め、幽玄峰の外に出ようとしたが、すぐに思い直した。今の私には、神界を離れることは許されていない。謹慎中の身であることを思い出し、再び資料に目を戻す。
その時、ふと目に留まったのは、熱田神宮の近くにある古い神社の記録だった。そこには、神々の力を借りて封印を維持するための儀式が行われていると書かれていた。もしかしたら、その神社が何かの手がかりになるかもしれない。
「幽玄峰からの情報をもとに、何かを見つける必要がある……」私は資料を整理し、百目鬼に再度連絡を取ることにした。彼女の心眼を借りれば、何か新しい情報が得られるかもしれない。
「百目鬼、聞こえますか?」私は心の中で呼びかけた。すると、空間の裂け目から彼女の顔が再び現れた。
「どうしたのね~? 何か見つけたのね~?」百目鬼は興味津々の様子で私を見つめる。
「熱田神宮の近くにある古い神社についての記録を見つけたの。そこでは、八岐大蛇を封印するための儀式が行われているらしい。もしかしたら、何か手がかりが得られるかもしれないわ」
私の言葉に、百目鬼は目を輝かせた。
「それはいい情報ね! 早速、そこに行ってみるね!」彼女はそう言うと空間の裂け目を通り抜けていった。
人の話を最後まで聞かないで行くなんて、相変わらず慌てん坊ですね。
仕方ありませんね。 また、高島さんにでも依頼しますか。
最近、神社仏閣が破壊され居場所のなくなった神が幽玄峰にくる事が多くなった。一時的に幽玄峰に滞在して貰い、天界に向かってもらっているんですが、あまりに多すぎる……
ここ数ヶ月で二十件。既に信仰のない土着の神や、かつての水神が襲われている……
「どういうことなのでしょうか ?」
襲われた神の話を聞いても、襲ってきたのは二首の竜だったや、鬼だったなど……どれも証言が違う。別の個体……もしくは姿を変えることが出来る妖怪、もしくは……「龍神族に関係している ?」
一応調べてはいるが、全く足取りがつかめない……関連性があるのは龍神族に関係しているという事だけ……「どうしたものでしょうか !?」
私は幽玄峰に縛られた神であり、基本的には離れることが出来ない。
日本の龍神と言うのは太古の時代に関係した神が多いので、警戒し、調べるように言われていたが……正直、幽玄峰で調べるのは難しい。
「人界に降りないと難しいですね」
なにせ神界では気配を探るのも難しいし、人界で直接捜索すれば見つける事ができるかもしれないが……流石にそこまでの許可は下りていない。
むしろ私は今、謹慎を言い渡されているので直接動く事が出来ないのだ。
蛮と勇の鬼兄弟のせいですよね……
龍王波山剣を取り返し、扇も奪い返したが、蛮と勇は討伐の指示が出ていたが、どちらかだけは捕獲せよと命じられていた鬼だったらしく、両者とも滅してしまった私は今は謹慎状態。
そのままでも調べる事が出来る事を調べているんだけど……正直この状態で調べる事は不可能に近い、私は戦闘系の神で調べ物は余り得意ではないのだ。
「翠蓮。 今、大丈夫なのね~」
空間の裂け目から顔を出した百目鬼。
彼女も調べるように言われている神の一人だ。心眼を持つ百目鬼なら天界でも調べる事ができるので彼女の方が適任と言える。私が調べるように言われたのは、ある意味、お仕置きと言う事だから文句は言えないけど……
「大丈夫です。 何か判りましたか?」
私がそう尋ねると百目鬼は頬をかきながら、
「襲撃犯は見つけることが出来なかったのね~
もう少し派手に動いてくれれば良いんだけどねえ~
だけど今回は少しだけ気になる事があってなのね~」
気になる事?
私が首を傾げていると百目鬼は私が見ていた地図に丸を付け加える。 その三箇所を見て直ぐに理解した……その場所は神族でも知っている場所であり、警戒するように言われている場所でもあったからだ。
「まさか !?」
考えられる可能性はそれだけだが……もし、その通りなら大変な事になりかねない。
「熱田神宮・伊勢神宮そして……関門海峡」
熱田神宮と伊勢神宮には三種の神器の『天叢雲剣』『八咫鏡』が安置されている、無論レプリカなのだが……
その神性は本物で強力な霊具であるのは言うまでもない。
そして関門海峡は人間界では『壇ノ浦の戦い』と言われる争いの行われた場所であり、そこでは『八尺瓊勾玉』は沈んだとされている。
無論、回収はされていると聞くが、レプリカと言う可能性も高い。 当時の陰陽師なら不可能ではないからだ。
「だけど伊勢神宮と関門海峡の反応は少ないのね~。反応が濃いのは『熱田神宮』なのね~」
熱田神宮といえば『天叢雲剣』そして熱田神宮に関係のある者と言えば……
「八岐大蛇 !!」
龍族の中で最高とまで言われた、最強の邪龍。
完全に封印されていると聞いているので、ありえないとは思うが警戒する必要はあるだろう。
「その可能性が極めて高いのね~。まだ確証はないけど警戒しておいて欲しいのね~」
「じゃあ調べるのに戻るのね~」と呟き消えていく百目鬼。
私は百目鬼から与えられた情報を頼りに、幽玄峰の資料に目を通し始めたのだった……
◇◇
幽玄峰の静寂は、私の心を重くする。周囲の空気が張り詰め、何かが迫っているような不安感が漂っていた。百目鬼が去った後、私は資料の山に埋もれながら、思考を巡らせる。熱田神宮、伊勢神宮、関門海峡。これらの場所が持つ神秘的な力の源は、私の心をざわめかせる。
「八岐大蛇……」その名を口にするだけで、背筋が凍る思いがした。伝説の中で語られるその存在は、ただの神話ではない。もし本当に復活するようなことがあれば、神々の世界はもちろん、人界にも大きな影響を及ぼすだろう。
私は資料をめくりながら、熱田神宮に関する古い文献を探し始めた。そこには、八岐大蛇にまつわる数々の伝説が記されている。特に、彼が封印される際の儀式や、彼を封じ込めるために必要なアイテムについての記述が目を引いた。
「天叢雲剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉……」それぞれが持つ力は計り知れない。これらの神器が、もし何者かの手によって奪われたり、悪用されたりしたら、私たち神々はどうなるのか。考えただけで恐ろしい。
「まずは、熱田神宮の警備を強化しなければ……」私は決意を固め、幽玄峰の外に出ようとしたが、すぐに思い直した。今の私には、神界を離れることは許されていない。謹慎中の身であることを思い出し、再び資料に目を戻す。
その時、ふと目に留まったのは、熱田神宮の近くにある古い神社の記録だった。そこには、神々の力を借りて封印を維持するための儀式が行われていると書かれていた。もしかしたら、その神社が何かの手がかりになるかもしれない。
「幽玄峰からの情報をもとに、何かを見つける必要がある……」私は資料を整理し、百目鬼に再度連絡を取ることにした。彼女の心眼を借りれば、何か新しい情報が得られるかもしれない。
「百目鬼、聞こえますか?」私は心の中で呼びかけた。すると、空間の裂け目から彼女の顔が再び現れた。
「どうしたのね~? 何か見つけたのね~?」百目鬼は興味津々の様子で私を見つめる。
「熱田神宮の近くにある古い神社についての記録を見つけたの。そこでは、八岐大蛇を封印するための儀式が行われているらしい。もしかしたら、何か手がかりが得られるかもしれないわ」
私の言葉に、百目鬼は目を輝かせた。
「それはいい情報ね! 早速、そこに行ってみるね!」彼女はそう言うと空間の裂け目を通り抜けていった。
人の話を最後まで聞かないで行くなんて、相変わらず慌てん坊ですね。
仕方ありませんね。 また、高島さんにでも依頼しますか。
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