上 下
32 / 49

第32話 ゴーストハンター高島聖の任務記録:スカイタワーの妖怪退治 前編

しおりを挟む
【高島聖side】

 霊和市れいわし陽海学園ようかい がくえん
 ボクの転校先、新たな生活する場所……って ! また、来たくは無かったっス !
 ゴーストハンター協会の理事で翠蓮すいれんさまの依頼と云う名の命令っス。  パワハラ、モノハラと抗議しても神様には通じないっス !

「世の中、理不尽っス !」 と、ささやく声でしか愚痴を言えないのが悔しいっスよ。
 翠蓮さまからの依頼命令は福岡田十八番エースくんの護衛と観察っス。
 神が人の世に干渉するのは神々の規定で禁止されているので、ボクに白羽の矢が当たったのが運の尽き。

 ゴーストハンター協会の工作で、エースくん達と一緒のクラスに成ったのは良いけど、経費として生活費と学費は協会が払ってくれるけど、ボクのお小遣いは含まれ無いのが辛いっスよ !
 一応、B級ゴーストハンターとして、護衛の合間に仕事をして良いことに成っているけど、この平和な霊和市には、そもそも仕事が少ないので困っているっスよ。
 残暑が厳しい中、外出するとお金がかかるので、ゴーストハンター協会で借り上げてくれたアパートの部屋でゴロゴロしていると、

ピンポーン

「MHKの者です」

 
部屋の外から聞こえてくる声。ボクは無言で立ち上がり

「うちはMHK見てないっスよ !」

 見てなくても受信料払わないといけないんじゃ? と云う突っ込みはいらないっス !

「じゅ、受信料の取立てではなく依頼で来たんです」

 
 外から聞こえる声にボクは振り返りざまに扉を開けて

「嘘だったら呪い殺すっスよ?」と忠告したっス。

 
「「は、はひ」」

 

依頼者を脅すGHって正直どうなんだろうと思うけど、背に腹はかえられいっスよ。
だけど腕が良いのも確かなので……個性として割り切ってもらうっス。

 依頼者のMHKの社員二人に羊羹ようかんと日本茶を置く、当然ボクの前にも置いたっス。こういう接客も次に繋がるから大事っスよ。  当然、羊羹は経費で落とすっス。

「スカイタワーに妖怪?」

MHKの社員は鞄から写真を取り出しながら

「はい、これです。先日取材ヘリからの望遠カメラで撮影しました」
差し出された写真には大型の虎くらいの大きさの異形の姿が映っている。

 翼のある小悪魔グレムリンっスね。
戦時中は飛行機とか戦車とかに悪戯をしてパイロットを恐怖させたっスよ。
実際グレムリンは危険とまでは言わないけど、警戒レベルの妖怪っス。

「別に悪い妖怪って訳じゃないっスよ。  攻撃性とかもほとんど無いし、機械弄りと悪戯が好きな妖怪っスね。多分今回もそれっスよ 」

態々人を苦しめようとかする妖怪ではない。地上ならF級でも除霊出来るような弱い妖怪っス。

「でもなんでこんな所に……」

「さあねえ?もしかして上って降りられなくなったとかじゃないっスか?」
猫じゃあるまいしとも思うが、その可能性も充分に考えられる。

 
「今のところ深刻な被害は出ておりませんが、衛星が壊れてしまえばMHKは勿論民放も衛星放送も大混乱です。費用はいくらでも出しますので何とかしていただけないでしょうか?」

 

スカイタワーとなると霊体でいく必要もあるし……危険手当とかもあるし……それに国からの依頼ならかなりの額を取れるっス。

 

「二億。びた一文まけないっス。それが嫌なら自衛隊でも警察にでも行くっスね」

 

社員は顔を青褪めさせたが、スカイタワーと言う超高所を考えれば、それくらいは普通っス。

「判りました。それではよろしくお願いします」

「この高島聖にお任せくださいっス」

少し渋るかと思ったけど、思ったよりも早く契約することが出来て良かったっス。

◇◇
【三人称side】

 契約が終わると、聖は早速準備を始めた。
スカイタワーに向かうための道具を整え、必要な情報を集める。 聖は妖怪の存在を確認するために、幽体離脱での移動を考えた。
 高所での作業は危険が伴うが、聖はそれを楽しみにしていた。
スカイタワーに到着すると、聖はその巨大な姿に圧倒された。周囲の景色を見渡しながら、聖は心の中で「これが東京のシンボルか……」と呟く。高層タワーの上に立つことで、聖は自分の存在を再確認した。
自分はただの高校生ではなく、ゴーストハンターなのだと。

タワーの中に入ると、エレベーターで上昇を始めた。途中、聖は自分の心拍数が上がっているのを感じた。高所恐怖症ではないが、こうした状況は緊張を伴う。エレベーターが止まり、扉が開くと、そこには異様な雰囲気が漂っていた。

「ここが妖怪のいる場所っスか……」と、聖はつぶやいた。彼女は周囲を見渡し、異常な気配を感じ取った。グレムリンがいるのは間違いない。聖は、慎重に行動を開始した。

 幽体離脱した魂を元に戻すのは難しいし、魂の尾の維持をするの必要もあるので相棒パートナーが居るのだが……真雪やネイ、右京はボクとエースくんとの仲が縮まることを、警戒したのか断られてしまった。
 代わりにエースくんの双子の姉である八重さんを紹介され、それを見た藤崎光さんを八重さんの影から跳び出したペガサスが咥えて捕獲したことにより、八重さんと光さんがボクを手伝ってくれることに成った。

 びくびくしてる藤崎光さん。確かに素人の除霊だから怖いのは当然だけど……

「頑張るっス。今回はMHKが放送したいらしいから頑張れば英雄っスよ !」

二億を支払うが、除霊は撮影させてくれと言い出した。こう言う所はたくましいっスよね、TVクルーって。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

女体化入浴剤

シソ
ファンタジー
康太は大学の帰りにドラッグストアに寄って、女体化入浴剤というものを見つけた。使ってみると最初は変化はなかったが…

処理中です...