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第18話 黄泉路 前編
しおりを挟む── 臨時ニュースが入りました ──
奈良公園の鹿が悪戯をしてきた観光客に対してドロップキックをしたことが話題に成っています。
そのまま、奈良公園の鹿たちは無期限のストライキに突入……
プチッとリモコンを使いテレビを消した藤崎光は、いそいそと出かける準備をしていた。
お洒落をしている様子は無く、むしろ動きやすいパンツにTシャツと云うラフな格好をしていた。
エースとのデートと云う色気のある事では無く、九十九里浜右京に心霊スポットを調査しに行くことを誘われていたのだ。
いつものメンバーで、民民党が事業仕分けで中断させた西関東自動車道を見学しに行くのだ。
最近、あの付近で頻発する事故の原因が幽霊の仕業と睨んだ妖怪省が、ぬらりひょんに調査を依頼したのだが『おしりぴりぴり病』と云うことで、エースとネイや真雪、右京にお鉢が回ってきた訳だった。 尚、一反木綿や唐笠小僧は妖怪病院に入院している。
一応、光たちの護衛でタマとダイフクモチが追いて来てくれるが、
「調査をするには役立たずだから 」と黒猫サファイアに言われていた。
◇◇
民民党の事業仕分けで途中で止まってしまった高速道路を歩きながら情報の擦り合わせをしていた。
約15年程前に行われた民民党の事業仕分けは、あちこちで問題に成っていた。
スーパーコンピューターの開発から必要な堤防など、あらゆる事業が中止や中断の憂き目にあってしまった。
「この道、いつできねんやろ ?」右京が途中でブチ切れている高架上にある道路を見ながら疑問をていしていた。 それに答えるように真雪がスマホをみながら、
「このまま工事を続行しても、この道路はよくもって30年らしいわ。 15年前の事業仕分けで、支柱だけを残して工事を中断していた為、支柱の加重計算に狂いが生じているみたいね。
それだけではなくて、工事を請け負った大手ゼネコン会社の手抜機建設が、コンクリートに使う山砂の代わりに塩分を含んだ海砂を大量に混入したコンクリートを使ったと妖怪省の報告書にあるわ。
現在、それを使った手抜機建設の施行したビルや道路に鉄筋の腐食による崩壊が始まっているの……」
よく見ると、道路のコンクリートの砂質が悪いのか、あちこちに小さな亀裂が無数に見られた。
「到達する目的があるからこそ道は存在するのよ。
道は際限もなく何処までも伸ばしたり途中で切ってしまうべきじゃないの……
もし、そのような道があるとすれば、それは黄泉路……あの世とこの世を繫ぐ道だけよ 」
タマが呆れたように説明していた。
◇
藤崎光たちの調査は次第に深みを増していた。特に妙に冷たい風が吹き抜ける区間にさしかかったとき、一同の注意は高まっていた。
「この辺りに霊が集まると噂されているちゃね」と、ネイが心配そうに辺りを見渡しながら言った。半神の強い彼女には何かが見えるのかもしれない。
「そうね、ここから先は気を引き締めていきましょう」と真雪が注意を促した。彼女の冷静な判断力が欠かせない。
タマは尾をぴくんと振りながら、
「私はこの辺りに感じる気配を少し調べてみるわ」と言って、その場を離れようとしたが、すぐにダイフクモチが後を追った。
「一人で行動しないほうが安全でござる」と彼女が低く叫んだ。
調査は慎重に進んでいった。 不思議なことに、道路の端に近づいたとき、目の前に薄っすらとした影が集まっているのが見えた。そこにはどうしても説明がつかない異質な空気が漂っていた。
右京がその異変について言った。
「ひょっとして、これが事故を引き起こしとる霊の集まりかもしれへんな !」
緊張が走る中、サファイアが唐突に姿を現し、
「ここは本当に黄泉路の入り口に続いている可能性があるね。 でも、大丈夫、ボクたちがそれを封じる方法を知っているから」と言った。
その言葉を聞き、光は緊張を和らげると、不安がるネイの肩を優しく叩いた。「
ウチたちはここにいる全員を守れるちゃ! 何が起きても一緒に乗り越えるんだっちゃ」
果たして、彼らは黄泉路の謎を解き明かし、道を封鎖して安全を取り戻すことができるのだろうか。
可能性らのこれからの行動が、未来にどんな影響を及ぼすのかは、まだ誰にもわからなかった。だが、各々の心には確かな絆が生まれつあった。
※ 黄泉路(よみじ)は、日本神話における死者の国、黄泉の国(よみのくに)へとつながる道とされています。この概念は『古事記』や『日本書紀』といった古代の文献に登場します。黄泉の国自体は、死後の世界であり、生者が訪れることは通常できない場所です。
神話では、イザナミが黄泉の国に行った後、彼女を追いかけるイザナギが黄泉路を通る話が有名です。この道は、現世と死者の国を隔てるものであり、黄泉の国に入った者は通常戻ることができないとされています。
黄泉路に関する物語は、日本の文化や信仰における死生観や、死後の世界のイメージに影響を与えていると考えられています。
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