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ウチの猫の様子が可怪しい件について !《猫バージョン》 ③

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【イッポside】

 
 今日も含めて毎日、僕とゲンキ兄さんは トレーニングをしている。
兄さんいわく、

父ちゃんダイザエモンみたいな立派な『おとこ』に成る為に『チャンピオン』を目指すんだ !」

と、言っていたけど『チャンピオン』は関係無い気がするんだけどなぁ~
人間の父ちゃん、母ちゃんと一緒に見ていた『ボクシングアニメ』の影響だと思うけど………余計な事は言わないのが良いよね、僕は空気を読む『猫』なんだ !

「父ちゃんの『道』は『キラキラの道』なんだ !  チャンピオンを目指してかけ登るぞ ! 」

 そんな熱血兄さんに付き合って、毎日トレーニングをしている。

「イッポくん、頑張って !」「ゲンキ、頑張れ ! 」

 僕の恋人のクミちゃんと兄さんの恋人のアズミちゃんが応援してくれている。
 二匹共、このボクササイズ教室の生徒さんの飼い猫なんだよね。

 そんな毎日を過ごしていたけど、今日は違った日に成ったんだ………


「こんにちはぁ~、 ウチのコロッケを連れて来ましたぁ~」

あっ、洋子姉ちゃんだ !
 僕と兄さんが生まれた家の姉ちゃんで、もう一人の兄さんが居るハズなんだよね………と、云っても子猫の頃にこの元ボクシングジムに貰われて来たから、久し振りに会うんだけど元気かなぁ~

「洋子ちゃん、いらっしゃい !  コロッケちゃんを連れて来てくれてありがとう。
 ウチのゲンキやイッポも喜ぶと思うわ……………随分と貫禄かんろくがある猫だけど、その子が『コロッケちゃん』なの ? 」

葉子ようこさん、この子がウチのコロッケです。 ちょっと………少しだけ………太っているけど、ゲンキちゃんやイッポちゃんの兄弟なんですよ」

 洋子姉ちゃんに抱かれた『猫』は身体も態度もデカかった。

ニャァよう ! ニャァニャァ~ン久し振りだな、弟達よ

 僕とゲンキ兄さんを見下ろしているコロッケ兄さんに圧倒されつつ本当に自分達の兄なのか疑っていたのだった。

「よ~う 、洋子ちゃん。 そいつがコロッケか、きたえがいがある程に ふてぶてしい面構えだな !
 よし、この茨城いばらきのジョーが、きっちりダイエットさせるから安心してくれや !」

「あっ ! 丈二じょうじさん、よろしくお願いいたします。
では、コロッケをお願いしますね !」

 そう言って、コロッケ兄さんを置いて帰ってしまった。

「 ニャッえっ ! ニャァ~ンニャァ~ンニャァ~ン遊びに来たんじゃないのかよ、俺を置いてかないでくれよ姉ちゃん !
 
 どうやら、コロッケ兄さんは 見た目と違い洋子姉ちゃんに甘やかされて育ったようだね。
 コロッケ兄さんの為にも僕とゲンキ兄さんとで世の中の厳しさを教えて上げようと思ったのだった。
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