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最後に『愛』は勝つ !

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【 コロッケside 】

      姉ちゃん洋子ちゃんが、タビに逢いに行くようだ !

   俺がジィッー と姉ちゃんを見ていたら、

「 コロッケも子猫の頃は可愛かったのに、今じゃすっかりふてぶてしく成ったわねぇ~ 」

   フン、ふてぶてしくて悪かったな !
そう、思いそっぽを向いてしまったら、俺を抱き上げて

「 冗談なんだから拗ねないの ! アンタコロッケの代わりに、タビちゃんに会ってくるからね !」

「………………ニャ ! ( 俺も行く !)」

   姉ちゃんより先回りして、母ちゃんの自転車のカゴバックに潜り込んだ。
姉ちゃんの自転車はパンクしているから母ちゃんの自転車に乗るハズだ !
案の定、姉ちゃんの足音がして母ちゃんの自転車を動かしこぎだした。


    やがて、自転車が止まり姉ちゃんが江戸さんの家の人と話を仕出したので姉ちゃんの後ろに追いて行った。

(※ ご近所の人は、『 大江戸さん 』をちぢめて『江戸さん』と呼ぶので 猫たちは勘違いしています)

「 良く来たな 洋子、話は聞いているから中に入って良いぞ 」

「 ありがとうございます。 それでは失礼しますね 」
 
   姉ちゃんの後を追いて行くと

「 ………洋子、その後ろの猫は お前の猫か ? 」
   姉ちゃんの知り合いの言葉に気がついたのか、俺を抱き上げながら

「 アンタコロッケ、いつの間に追いて来たのよ ? 」
   

「 いや、洋子が乗ってきた自転車の後ろのカゴバックから飛び出して来たぞ 」

「 私の自転車がパンクしていたから、お母さんの自転車を借りたんだけど 一体いつの間に潜り込んでいたのよ ! 」

「 ニャッ !( 当然 バレる訳ないニャ) 」


   姉ちゃんが玄関から入ると、

「「「 あぁー ! やっぱり、この間のデブ猫だぁー ! 」」」

   前に俺を追い払った三人の人間の女の子達が騒ぎだした。

   俺の事を抱きしめながら、
「 やっぱり『去勢』しようかなぁ~ 」
ボソッ と姉ちゃんがつぶやいたから、姉ちゃんに

「 ニャァーン ニャァーン ( それは勘弁かんべんしてくれぇー、大人しくしているから)」
と、返事をしてしまった………いくら姉ちゃんでもの言葉は解らないよな ?


   中に居た酔っぱらいと姉ちゃんが話していたが、俺はタビを探していた。
何処だ、何処にいる………気配と匂いはするが判らなかった。
俺より先に姉ちゃんがタビを発見して、

「 うわぁぁぁ ! 可愛いなぁー ! 」
と、言いながら俺を放りだした。

   おい おい 俺が猫じゃなかったら怪我をするじゃないか !
床に落ちる前に江戸さんの女の子が受け止めてくれた。

   うむ、特別に抱っこを許してやろう。
俺は大人しく抱かされることにした。

「 わぁー ! 本当に『靴下』………『足袋』を履いているみたいですね !
黒猫も可愛いなぁ~ 」
  
「 ………ニャア !( 悪かったな、可愛くなくて !)」 

   今回だけだからな、浮気を許すのは !

「 なあ、勇気 私にも抱かせてくれないか ? タビは私達が抱くのを嫌がるから、あまり猫をモフモフ出来ないからな 」

   見ると、俺を追い払った女達が 目を輝かして手をワキワキしていた。
身の危険を感じて姉ちゃんを見ると、
   
「 コロッケなら女の子が大好きですから、好きにしてくれて良いですよ !」

    その言葉を聞いた途端に、一斉にモフられ始めた。

「  モテモテだね、コロッケ ! 」
先ほどまで、抱っこしてくれていた女の子の言葉に

「 ウニャアー !( 嬉しくなーい ! ) 」
と、叫んでしまった。


   散々もて遊ばれた俺はグッタリしていたが、タビが心配して近づいて来た。

「 おじちゃん、大丈夫 ? 」
タビがなぐさめるように俺の毛繕けづくろいをしてくれた。
   おじちゃんでは無くて、お兄ちゃん と呼んで欲しいが これをきっかけに仲良しに成って、何時かは………

「 ニャア ニャァーン ! ( 最後に『愛』は勝つ !)」

   ガンモより早く彼女(候補)が出来たことに満足していた。
    
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