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逆襲 ①

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【嵐side】

 ベルと蝶子に挟まれている所に、阿修羅王が左慈を小脇に抱えながら戻ってきた。

「楽しそうだな、軍神アレス。
 姑息こそくにも不意討ちしようと隠れていた小悪党を捕獲したぞ 」

 ドサッ !

 無造作に投げ出された左慈は気絶していた。
 コノヤロウも懲りないよな、本当に !
 気絶した左慈を見ている妹たちが怖い。
 頭の良い奴は、コッチの予想外なことを考えているからな。

「嵐お兄さま。  コレ左慈、異世界人なのか仙人なのかを人間の違いが解るように実験……観察したいから、わたし達が預かって良いかなぁ~ 」

 英里香が、おねだりしている。
 しかし騙されてはイケナイ !
 これは、お願いにみせかけたなのだから。

「どうぞ、どうぞ。  好きに使って良いぞ」

 兄より優秀な弟は目障めざわりだが、兄より優秀な妹には逆らってはイケナイ !
 何度も女神アテナに負け続けたからこそ、学んだことなんだ !

ズルズルと左慈を引きずって行く妹たち。
 せめて、担架たんかにくらい乗せてやれば良いものを、扱い方が雑すぎる。

 ゴン ✨

 左慈の頭が建物の角にぶち当たった。
 俺は悪く無ないからな、恨むなら妹たちにしろよ、左慈。

 さて、今日は何も予定が入っていないから『久しぶりにゲームでもしようかな ?』と考えていたんだが、二人は俺の腕を離そうとしない。
 『どうしたものか』と悩んでいたら、

「アー !  嵐、てめえ『両手に花』とは生意気だぞ !」

 こけるアホがやって来た。
 ずかずかと歩いて来たこけるは、

「ねえねえ、可憐なお嬢さん。
 嵐なんか、ほっといて僕とお茶でもしませんか ? 」

 ベルをナンパしていた。

 バキッ !

「こける君のアホー !  ウチとデートしているのに、堂々と浮気するなんて最低 !」

 海里のカカト落としが、こけるの頭に決まってい
た。

「グフッ !」

パタン !  倒れたと思った、こけるはすぐに起き出して、

「アホー、死ぬかと思うくらい痛かったぞ !
 だいたい、デートなんかじゃ無いだろうが !
 今回は、嵐に用があって「こける君のアホー、ウチがこんなに頑張っているのに、余所よその女の子がそんなに良いのかよぉー ! 」
 
 泣きながら去って行く海里を ボー と見送るこけるニブチンやろう
 仕方ない、海里の為だ。  こけるはどうでもよいがな。

 ドカッ !   

いてっ !嵐、何をしやがる 」

 睨むこけるを無視して、

「さっさと海里を追いかけろ !
 でないと、後から後悔するぞ ? 」

 しぶしぶながら、海里を追いかけ始めたこける。

「まったく、世話が焼けるぜ !」

 俺の一言に、ヒソヒソと話し合う蝶子とベル。
 君たち、仲が良かったかね。


「ほ~う、これはこれは予想以上の出来ですね。
 わざ自動人形オートマタを残したのですが、本家・魔法工学師としては嫉妬してしまいそうです。
 著作権料金の代わりに、その自動人形は私がもらい受けましょう」

 声のした方を見ると、

腹黒メガネ于吉 !」

 俺が怒鳴ると、メガネをクイッとあげながら、

「ずいぶんヒドイあだ名をつけるのですね。
 メガネが本体では無いんですよ、私は」

 そう言いながら取り出したリモコンのような物を操作すると、ベルの動きが止まってしまった !

「あらかじめ『罠』を仕掛けて置いたんですよ。
 よく解らない技術には気を付けてくださいね。 
 勉強に成ったでしょう」

 勝ち誇った于吉は、ニヤニヤしながら俺をバカにしていた。
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