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嵐のごとく Ⅸ ①

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【嵐side】

 参った、学園の帰り道で迷子を拾ってしまった。

「わーん、お父さん、お母さん、何処に行ったの~ ! 」

 小学生、陽野芽や星奈くらいの女の子が泣いていた。

 明日菜が女の子を慰めながら、

「貴女のお名前は ?
 お父さんと お母さんの名前は判るかしら ? 」

 明日菜が一応は女神らしく優しく質問すると、

「わたしは、茨城いばらき乱華らんか
 お父さんは茨城光介。 お母さんは茨城恭華きょうか 」

 ん ?  何処かで聞いたことがあるような……

 周りを見ると、明日菜アテナ英里香エリス由利凛ユリリンも以下略……
 皆が驚いて口をアングリと開けていた。

「おいおい、何を皆でアホ面をさらしているんだよ ?
 何か、おかしなことでもあるのかよ ! 」

 すると、

「オカシイのはお前だ !
 お前アレスの頭に詰まっているのは、只の味噌でも詰まっているのか ! 」

 ヘパイストスが怒りだした。

「ホレ、カルシウムが不足しているから、怒りっぽく成るんだぞ ! 」

 オヤツの煮干しを差し出すと、皆がため息をしながら首を降っていた。

「何だよ、知っているなら勿体もったいぶらずに教えてくれよ 」

 俺が心底、解らないと判断したのか、由利凛が話し始めた。

「乱華は、妾が邪神だった時に管理していた世界の住人なのじゃ。
 お兄ちゃんとも面識があるハズなのじゃが本気で忘れてしまったの ?
光介は魔王、恭華は大魔王で義理の親なのじゃ。
乱華の本当の親は、先代魔王こと魔竜帝王ヴェルザァーなのじゃ 」

「「グルルルッ ! 」」

 乱華の側には子犬が居た。

「じゃあ、まさか この子犬は……」

神喰い狼フェンリルのハティとスコルなのじゃ。
 どうやら3体共、封印状態みたいだから危険が無いようだけど、何で居るのじゃ ? 」

 う~ん、とりあえずニワトリヘルメスに調べて貰おう。
 ひとまずは、大江戸家に乱華たちを連れて行くことにした。


※ 乱華やハティ、スコルは『邪神ちゃん バンザーイ ! 』の107話、108話に登場しています。

♟♞♝♜♛♚

  家に着いたが、ニワトリヘルメスは居なかった。
 蝶子アフロディーテの家で惰眠だみんでもむさぼっているに違いない。

 すると、足が3本あるカラスが降りて来て、明日菜に手紙を渡して飛び去ってしまった。
 アレって、八咫烏ヤタガラスか ?
 おそらくは、天音姉ちゃん天照大神の観察係を月読さまから依頼されているのだろうと見逃していたんだが、何の手紙だ。


 手紙を読んだ明日菜が教えてくれた内容に驚いてしまった。
 手紙は、お袋女神へらからで、由利凛たちが管理していた世界で問題が発生したらしく、大魔王恭華が乱華たちを日本に避難させたらしく、避難に当たっては 現在、由利凛たちに代わり管理しているアポロン兄貴やアルテミス姉貴が力を貸して乱華たちの力を封印、お袋が日本まで送り届けたことが判った。

 由利凛たちは、自分が管理していた世界のことを心配しているようだったが、現在 人間に転生している俺達には、どうしようも無いことを理解しているようで静かだった。
 
 なあに、アノ大魔王恭華たちなら大丈夫だろう。
 ヘパイストスも幾つかの秘密兵器を残して来たようだから、余程のことが無い限り大丈夫なハズだ……と思う。

 ハティとスコルは猫たちの洗礼を受けていた。
 具体的には、猫たちに囲まれて臭いを嗅がれた上で猫たちに押しくら饅頭みたいに成り、マーキングされていた。
 だけど、何故 大人しいんだ、奴ら神喰い狼
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