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チキチキゴーカート超レース ⑦

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【嵐side】

 今回のレースは周回するコース場では無く仮想の大陸を横断する長距離レースだ。
 草原や砂漠、氷雪地帯、現実には有り得ないレースだよな。

 レースの途中で変更出来るのはタイヤのみ !
ゴーカートの変更は認められないとあって、仲間は必死にゴーカート選びをしている。

 俺か、俺はタヌキチ・ゴーカートしか選べないんだよ !
 ベルめ、余計な事をしやがって!

「ポコォ~ 」

 タヌキチが落ち込んでしまった !

お前タヌキチは悪く無いからな、悪いのは全部ベルが悪いんだから、気にするな !」

 タヌキチの頭をでながらまなぐさめていると、

ひどいなぁ~、ボクは嵐やタヌキチの事を考えて行動しているのになぁ~ !
 ボクだって傷付くんだからね !
 ヨッ ヨッ ヨッ ヨッ ヨッ 」

 この妖精ベル、嘘泣きを始めやがった !
何処で、こんなことばかり覚えてくるんだ !


♟♞♝♛♚♜

 ピッ ピッ ピッ ピィーン !

 レースが始まった。
今回は、スタートダッシュをせずに中間グループでライバル達の様子を見ることにした。

 逆にロッキーと龍騎がスタートダッシュしてトップを争っている。
 巧の奴は、何を思ったのか俺の隣を追走していた。
 巧の相棒は火蜥蜴サラマンダーを選んだみたいで、時折 火を吹いている。
 その蜥蜴とかげ、炎で攻撃してこないだろうな !

「嵐、耐震、耐閃光防御 !後ろからミサイルが来るよ ! 」

 ベルの注意を受けてヘルメットにあるバイザーを下ろして準備した処で、バリアーが発動して大破は避けられたが、巧は避けそこ成って小破、ゴーカートの一部が吹き飛んだ。
 トップグループのロッキーは相棒の狼が知らせたらしく避けることには成功したが、龍騎は直撃を喰らい大破、リタイアした。
 何が起こったのか判らない顔をしていた龍騎を横目に通り過ぎた。
 ……スマン、情報を伝えるのを忘れた。

「ちっ、成果はドラコン1匹だけかよ !
ミサイルだって高いのによぉ~ 」

 やっぱり、アザゼルかよ !

「悪いな……なんて少しも思っていないが、恨むなら運営のクジを恨むんだな !
 本当は『女神チーム』を狙っていたんだが、悪運が強いよな、アテナやエリスはよ ?」

 コイツ、アホか !
アテナもエリスも闘いの女神だぞ !
 悪魔1匹で、どうにかなる相手じゃ無いぞ !

 飛行機ゴーカートが着地した処を手榴弾を投げ込んだ、巧が。
 巧もアザゼルには、腹を立てているようだな。
しかし、アザゼルの相棒のパンダがラケットで打ち返してきた。
 幸い、手榴弾は別のカートに当たり爆発炎上した。

「卑怯だぞ、アザゼル !
関係の無い奴を巻き込みやがって! 」

 俺が怒りに任せて叫ぶと、

「卑怯で結構、花らっきょう……なんてな !
悪魔、堕天使には褒め言葉だぜ、よぉ~ ! 」

「俺を呼ばわりするなぁー ! 」

 悪魔って、本当に腹が立つ奴らだな!

「嵐、アレは駄目な大人だから、反面教師にしないとダメだよ ! 」

 ベルが注意してきたが、

アイツアザゼルは、ウチの学園の教師なんだよ……アレでもな ! 」

「ウワァ~、世も末だねぇ~ 。
大丈夫、嵐たちの学校は ? 」

「「………………」」

 俺も巧も二の句が告げなかった。

「ほら、前を見て運転して !
トップを走っているライダーが、何か仕掛けたよ ! 」

 アザゼルが走る前に工事現場で見掛ける巨大なハードルみたいな障害物が現れ、アザゼルはぶつかり大破した…………が、リタイアまでにはならなかったようだ。
 だが、すすだらけで咳き込んでいたから、

「ざまぁ、カンカン、河童かっぱだぁ~ ! 」

「嵐、下品だよ !」

ベルに怒られてしまった。

 ロッキー、ナイスプレーだ !
直ぐにアザゼルも復帰するだろうから、今のウチに距離を稼がないとな!



 


 
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