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中間テスト ②

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【由利凛side】

 気配けはいを消して秋穂、星華、伊緒の後ろに立って居た、お母ちゃんに

「「「ゲェー、 由利子先生!
何で捕まっているのよ、由美子ぉー!」」」

 偵察に出て居ても、お母ちゃんには無駄、無駄、無駄なのじゃ!

「全く、親子して似たような反応をするよなぁ~
血は争えないと云うことだな、教師生活25年、お前達の姑息な考えなど『マルっと』お見通しだぁー!
 母親同様に剣道部に入部すれば、私の秘訣が解るかも知れんぞ」

「「いやいや、私達は帰宅部なので遠慮します」」
秋穂ちゃんと星華ちゃんの二人が抵抗しているのじゃが、

「なぁ~に、親子二代に渡って私が稽古をつけてやるから遠慮しなくて良いぞ!
 伊緒は…………実家の釣具店の手伝いがあるから無理強いは出来ないし、由美子は母親と同じ柔道部だからスカウトするのはダメと成ると…………
 やっぱり、秋穂と星華は私がんでやるしかないなぁ~」
二人は絶望したような顔をして、

「「イヤァ~! 恵利凛、由利凛、助けてよぉー! 」」

「お母さん、無理矢理は可哀想だよ!
パワハラだよ、弱い者いじめはダメなんだよ!」
恵利凛がお母ちゃんに抗議するとひるんだ隙を見つけた妾は、

「お母ちゃん………潮来先生、武道は『やる気』のある人間がやるべきであって、イヤイヤやると危険 なのじゃ!」
妾も抗議したのが効いたのか、由美子ちゃんを離して

「ああ、分かった、分かった!
実の娘にさとされるとはな、結構 こたえるから勘弁してくれ」
両手を上げて、降参するポーズを取るお母ちゃんを見て秋穂ちゃんと星華ちゃんが妾に抱きついて来たのじゃ。

「恵利凛、由利凛、感謝するよ!
どのくらい感謝しているかと言うと毎晩寝る前に感謝のお祈りをしても良い程に感謝しているわ」

「恵利凛と由利凛は、私達の親友、永遠の心の友よ!
お金の事以外で困った事が有ったら、出来る範囲で相談にのるわ!」

 信者ゲット!…………じゃなくて、星華ちゃんも考えが軽すぎるし、秋穂ちゃんはチャッカリしているのじゃ…………


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【由利子side】

「さあ皆、席に着いてから筆記用具以外は机の下に仕舞うように!
今から試験用紙を配るから開始の合図があるまで裏返しのままにして置くように!」

 一番前の机に問題用紙と答案用紙を置いて後ろの席に配るように指示した。
全ての用紙が行き渡ったのを確認してから時計を見て、

「中間テスト始め! 」

 皆が用紙をひっくり返して試験が始まった。

 うむ、皆が真剣に問題を解いているな、感心 感心。
そういえば、この娘たちの親たちは試験中に居眠りしていた奴らが居たなぁ~…………流石に中等部の最終学年と成ると皆が真面目に試験をするな。

 とりあえず時間終了まで監督するかぁ~、不正行為が無いように、!

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