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06.仲裁者登場
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「何を騒いでいるんだ?」
目の前の令嬢のほうに顔を向けていたため、近づいてきた人影が誰なのかはわからなかったのだが、声を聴いて驚いた。
この声の主は、アルフレッド王太子殿下。
急いでそちらを振り返ると、側近のオルライト様もご一緒だった。
殿下の登場に、まずは礼を取ろうとスカートを摘まんだのだが、失礼な令嬢が発した言葉に手が止まってしまったのも仕方がないと思う。
「アル様!」
まさか、殿下を名前どころか愛称呼びするだなんて。
わたしも公爵家の人間なわけで、殿下とは幼馴染だし、名前を呼べない仲でもないのだが、さすがに人目のあるところで名前呼びはしない。
ちょっと吃驚しすぎて、目の前の失礼な娘と殿下を交互に見てしまった。
が、すぐに我に返って礼を取り直した。
学院内だから、簡略的なものだけれど。
「クリスティア。ここは学院だ、楽にしてくれ」
「恐れ入ります」
「それで、何があったのだ?」
「それが、わたくしにもよくわからないのです」
何があったかと言えば、わたしがこの娘に難癖をつけられたのだが、そう言ったところで、この娘が更に騒ぐ様子しか思い浮かばない。
ただ、いきなり訳の分からないことを言われている理由は本当にわからないので、とりあえず話を濁しておいた。
「……君は確かアリス嬢だったか。随分と大きな声を出していたようだが」
あら、殿下はこの娘の名前をご存じなのですね。
とは思ったものの、愛称呼びされているくらいだし、それなりに交流があるのかもしれない。この娘の態度からしても、親しい人間に対するものだ。
ただ、どうもこの娘との交流は殿下にとって有益なものとは思えない。
何か理由があってのお付き合いなのかしら…?と、わたしが勘繰りをしていると、失礼な娘はもっと無礼な態度で殿下に答えていた。
「だって、アル様、この人、使用人のくせに私のこと知らなくて!」
「使用人……?」
殿下に対して馴れ馴れしくしすぎではないだろうか。
いくら何でもこの言葉使いはないと思うのだが、殿下たちはそれを咎めることはなく、言われた内容に若干呆然としているようだった。
呆然とするお気持ちはわかります。わたしも意味が解りません。
そして、数泊の間をおいて、殿下とオルライト様は困惑した顔でわたしのほうを見てきたのだが、実際のところ、困っているのはわたしのほうである。
しょうがないので、会話の続きはわたしが引き取ることにした。
「先程からそう仰っておりますけれど、勘違いではないかしら?」
「嘘よ!だってうちで見たもの!」
「では、貴方様のお邸の使用人とわたくしが似ているのでしょう」
どうしてここまで使用人と決めつけられているのか。
それが全くわからないのだが、この娘は考えを変える気はないようだ。
わたしたちの会話に、殿下たちの顔がますます困惑に陥っていた。
目の前の令嬢のほうに顔を向けていたため、近づいてきた人影が誰なのかはわからなかったのだが、声を聴いて驚いた。
この声の主は、アルフレッド王太子殿下。
急いでそちらを振り返ると、側近のオルライト様もご一緒だった。
殿下の登場に、まずは礼を取ろうとスカートを摘まんだのだが、失礼な令嬢が発した言葉に手が止まってしまったのも仕方がないと思う。
「アル様!」
まさか、殿下を名前どころか愛称呼びするだなんて。
わたしも公爵家の人間なわけで、殿下とは幼馴染だし、名前を呼べない仲でもないのだが、さすがに人目のあるところで名前呼びはしない。
ちょっと吃驚しすぎて、目の前の失礼な娘と殿下を交互に見てしまった。
が、すぐに我に返って礼を取り直した。
学院内だから、簡略的なものだけれど。
「クリスティア。ここは学院だ、楽にしてくれ」
「恐れ入ります」
「それで、何があったのだ?」
「それが、わたくしにもよくわからないのです」
何があったかと言えば、わたしがこの娘に難癖をつけられたのだが、そう言ったところで、この娘が更に騒ぐ様子しか思い浮かばない。
ただ、いきなり訳の分からないことを言われている理由は本当にわからないので、とりあえず話を濁しておいた。
「……君は確かアリス嬢だったか。随分と大きな声を出していたようだが」
あら、殿下はこの娘の名前をご存じなのですね。
とは思ったものの、愛称呼びされているくらいだし、それなりに交流があるのかもしれない。この娘の態度からしても、親しい人間に対するものだ。
ただ、どうもこの娘との交流は殿下にとって有益なものとは思えない。
何か理由があってのお付き合いなのかしら…?と、わたしが勘繰りをしていると、失礼な娘はもっと無礼な態度で殿下に答えていた。
「だって、アル様、この人、使用人のくせに私のこと知らなくて!」
「使用人……?」
殿下に対して馴れ馴れしくしすぎではないだろうか。
いくら何でもこの言葉使いはないと思うのだが、殿下たちはそれを咎めることはなく、言われた内容に若干呆然としているようだった。
呆然とするお気持ちはわかります。わたしも意味が解りません。
そして、数泊の間をおいて、殿下とオルライト様は困惑した顔でわたしのほうを見てきたのだが、実際のところ、困っているのはわたしのほうである。
しょうがないので、会話の続きはわたしが引き取ることにした。
「先程からそう仰っておりますけれど、勘違いではないかしら?」
「嘘よ!だってうちで見たもの!」
「では、貴方様のお邸の使用人とわたくしが似ているのでしょう」
どうしてここまで使用人と決めつけられているのか。
それが全くわからないのだが、この娘は考えを変える気はないようだ。
わたしたちの会話に、殿下たちの顔がますます困惑に陥っていた。
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