上 下
4 / 8

イクメン旦那様から逃走

しおりを挟む
「乙羽って美魔女女優の深津恭華《ふかつきょうか》と大手IT企業サイバーラボの社長 相田雅人《あいだまさと》のサラブレッドなんだよね。
結婚相手としては最高な女だよね。
それに、仕事ができるし!!
でき婚で結婚して子供が産まれて1歳過ぎたらかなりの量の仕事を手伝わせ始めたし。
乙羽、東條有志にやっぱりはめられ孕ませ婚させられたんだよ。
エッチしたく無いぐらい嫌なら、家から出て離婚したら?
乙羽単独の貯蓄はあるし、乙羽ならまたYouTuberとしてブレークできると思うし、個人で動画編集の仕事を受ける事もできるでしょ?」

蘭子ちゃんからの依頼でオフィスビルでなく自宅で仕事をしてる時に蘭子ちゃんに相談して言われた。

「離婚した方が和希くんと一緒にいられるし、仕事ばかり押し付けて息子から離す亭主なんていらんでしょ。
乙羽、子供が産まれたら子供が小さい間は側に居たいって言ってたのに、仕事で21時過ぎまで残業し、今、お手伝いさんに和希くんの夜ご飯と寝かしつけお願いしてるんでしょ?」

自宅に持ち帰って仕事をする事もあるけど、ディナータイムにクライアントの芸能人や企業のお偉いさんとの会食で仕事の打ち合わせを入れられたりして、和希との触れ合いが朝だけの日が続いてた。

「旦那に利用されて和希くんの可愛い時期の育児ができずに終わるか、離婚して自宅で和希くんを育てながらできる範囲で仕事をする。
どっちがいいか、よく考えて!!」

親友の蘭子ちゃんに言われ、小さい頃に両親が側にいなくて寂しかった頃と英才教育で厳しく育てられ辛かった事を思い出し、和希に同じ想いをさせたく無いと頭に過ぎり、和希と家を出る事を決めた。


大手IT企業サイバーラボの社長をしてる父の家に和希を連れて家出をした。

一応、わたしの実家の1つだから合鍵を持っていた。

父に、“しばらく和希とお世話になります”とLINEメッセージを送り、すぐに既録になった。

多忙な地だから返信はなかったけど、19時過ぎに帰ってきて、滅多に顔を出さない娘と産まれた時に産院でみたきりの初孫で唯一の孫を抱き上げて嬉しそうな表情を浮かべていたけれど、

「しばらくここにお世話になるって、東條くんと何かあったのか!?」
と聞いてきた。

父は有志さんの事を気に入ってるようだった。
有志さんは大学3年生の時に起業し、8年間でITベンチャー企業の業績が現在トップ8位まで上り詰めた。
ちなみに父の会社は3位で、3位と8位の差にはかなり差がある。
でも、父は個人的に有志さんと会い、サポートを買って出てるらしい。

「……育児方針の違い。わたし、子供が小学校に上がるまでは育児に専念したかったんだけど、有志さんは和希に社交性をつけて教養を身につけるためって保育園に入れて、わたしに夜遅くまで働く事を強要するの。
だから、家を出てきた。
わたし、和希を寂しい思いをさせたくないしのびのび育てたいの」

わたしの父と母の離婚の理由も、父が母に女優業をセーブしてわたしに寄り添うように言ったからだった。
離婚に向けての裁判でわたしの親権について揉めに揉めて、最後はわたしを連れて家を出ていた母にわたしは引き取られた。

月に1回の父との面会、父は休みを取ってくれて、ネズミーランドなどのテーマパークや時に旅行に連れて行ってくれて、母以上にわたしを可愛がってくれた。

だから、母が住む銀座のタワーマンションでなく父が住んでいる渋谷のタワーマンションの最上階にあがりこんだ。

「……育児方針の違いか。乙羽は人気動画編集エンジニアだから有志くんが頼りにし過ぎたんだろう。
乙羽が愛想を尽かす理由はよくわかる。わたしから有志くんと話そう。しばらくはここでゆっくりしなさい」

忙しい父。秘書から電話がかかり、急いで仕事に戻っていきあまり話せなかったけど、わたしが幼年期時代に寂しい想いをしていた事を知ってたから
わたしの今の気持ちをわかってくれた。

父から許可を得て、最新のパソコンと音響機器を使って、蘭子ちゃんやわたしに直接依頼をしてくれる芸能人や企業の動画編集をし、個人で仕事を始めた。

在宅でできる仕事を父から引き受け、和希との時間を第1にし、その他の時間にできる範囲で仕事をこなした。

それでも、有志さんの会社で契約金額の半額で引き受けてるのに月に120万~200万円で仕事量は5分の1もこなしてなかった。

経営に関しては有志さんさタッチしてないと言っていたから知らなかったけど、わたしは月に750万~1000万円近く稼いでた事を知り驚いた。

和希がいるから芸能人や企業の担当者とのヒアリングは昼間にクラウドミーティングとメールで行った。
録画もでき、移動時間もなく能率がいいヒアリングができた。

和希とも起きてる時間に常に側にいて関われて、食事も一緒にとれ、抱っこして寝かせつける事ができた。

父がわたしが有志さんに会いたくないという想いをくんでくれて、和希さんに探偵をつけ、わたしと対峙しないよう常に連絡をくれ、わたしに黒服にグラサンをかけたボディーガードもつけてくれたから平和に生活ができた。

父が有志さんと話し合いをしてくれてるらしいけど、わたしが離婚したいと言うから離婚したくない有志さんと平行線の話し合いで先に進まないようだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ワンナイトLOVEからの交際0日結婚❤︎

鳴宮鶉子
恋愛
ワンナイLOVEからの交際0日結婚。社長が相手で溺愛に翻弄されてます。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

親友の婚約者とデキ婚しました

鳴宮鶉子
恋愛
婚約破棄されたわたしにエリート同期が愛を捧ぐ の悪役の2人のらぶstory

溺愛婚〜スパダリな彼との甘い夫婦生活〜

鳴宮鶉子
恋愛
頭脳明晰で才徳兼備な眉目秀麗な彼から告白されスピード結婚します。彼を狙ってた子達から嫌がらせされても助けてくれる彼が好き

手のかかる社長から狂愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
手のかかる社長から狂愛されちゃいました

社長はお隣の幼馴染を溺愛している

椿蛍
恋愛
【改稿】2023.5.13 【初出】2020.9.17 倉地志茉(くらちしま)は両親を交通事故で亡くし、天涯孤独の身の上だった。 そのせいか、厭世的で静かな田舎暮らしに憧れている。 大企業沖重グループの経理課に務め、平和な日々を送っていたのだが、4月から新しい社長が来ると言う。 その社長というのはお隣のお屋敷に住む仁礼木要人(にれきかなめ)だった。 要人の家は大病院を経営しており、要人の両親は貧乏で身寄りのない志茉のことをよく思っていない。 志茉も気づいており、距離を置かなくてはならないと考え、何度か要人の申し出を断っている。 けれど、要人はそう思っておらず、志茉に冷たくされても離れる気はない。 社長となった要人は親会社の宮ノ入グループ会長から、婚約者の女性、扇田愛弓(おおぎだあゆみ)を紹介され――― ★宮ノ入シリーズ第4弾

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

処理中です...