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兄の結婚と妊娠
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11月の終わり。庭でバーベキューをするから来なさいと言われ、久しぶりに月島にある実家に戻った。
「咲愛、紹介する。俺の嫁、舞花」
朔弥兄の隣にお腹が少し膨らんだ清楚な感じの綺麗な女性がいた。
「京都にある白鳥コーポレーションの御令嬢で、大島建設でインテリアプランナーをしていた。来週から俺の秘書兼サポート役として社で勤務する。咲愛、色々助けてやってくれ」
スーパーゼネコンでインテリアプランナーを務めてた経歴をもつ才女の舞花さんは、私より3歳年上の28歳。
恋愛結婚のはずだけど朔弥兄に対して極上に冷たい。
なぜか呼ばれてた創志さんが私に、『朔弥が孕ませて結婚に持ち込んだから、彼女、まだ結婚に対する覚悟ができてないんだ』と耳打ちしてくれた。
朔弥兄は彼女にベタ惚れみたいだけど、彼女はそんな朔弥兄を煙たく思ってるようだった。
妊娠5ヶ月目に入り、悪阻は治ったと言っていたけど、だからといって、霜降り肉はさすがに受けつけないと思う。
「朔弥兄、胃が完全に治ってない奥さんに、霜降り肉をてんこ盛りするの、どうかと思うよ」
「無理か?美味いぞーー!!」
悪阻で3kgやつれたと話してて、だから手っ取り早く体重を戻させようと朔弥兄は彼女に脂肪たっぷりの肉を食べさせたいようだった。
「……悪阻、キツいですよね。私も臭いに敏感になり、ずっと吐き気がして、水もまともに飲めなくて、朝夕に点滴打ってなんとか持ち堪えてました」
お腹の中で育て上げる事ができなかった我が子の事を思い出す。
悪阻が酷くてまともに水分も取れなかったけど、無理して大学に通ってた。
私と創志さんが結婚した事を知って、創志さんのファンや、昔に身体だけの関係があった女性が反乱を起こし、嫌がらせ行為が過激化していたから、ボディーガードをつけるなり、家に引きこもるべきだったんだけど、私はそれを拒んだ。
だから、隙がありすぎて、陸橋の階段から突き落とされて、一歩間違えたら車にひかれて事故死する事件を起こしてしまった。
悪阻で栄養がとれてなくて、ぼうっとしていて気づかなかったのもいけなかった。
子供を連れてない私が悪阻の話をしたから、舞花さんがどう言葉を返したらいいか困った表情を浮かべてた。
「4年前に妊娠してて、でも流産したんです。妊娠初期は流産妊娠初期の流産確率は15%前後で、6~7人に1人は流産を経験するって医師は言ってたから仕方がなかった。12週と5日まではお腹の中で育ってた。悪阻、本当に辛いですよね」
夜中にマックのフライドポテトが食べたくなり、買いにいこうとして創志さんに止められた。
嘔吐が酷く、病院に強制入院を3度させられた。
私の隣に寄り添ってくれてる創志さん。
私を陸橋から突き落としたのは創志さんが昔に遊びで抱いた女だけど、悪阻で体調が悪いに出歩いて不注意で被害に遭ってしまった私は同罪だと思う。
いまだに、流産させてしまった子供に対する罪意識を拭う事ができてなかった。
できるなら、産んで育てたかった。
8歳の差があるから、創志さんを早くパパにしてあげたかった。
新婚時代、避妊してなかったからすぐに授かると思ってたのに、なかなか授からず産婦人科に通ってた私……。
あの事故で、やっと授かった子を失い、絶望し、生きる気力を失った。
日本に帰国し、創志さんに定期的に抱かれ、子種を注入されてるけど、芽は出ない。
あの事故で、内臓も破裂し危篤状態に陥ったから、今、私が生きているのが奇跡的な事で、だから、子供を授かる事は無理だと思う。
創志さんと離婚していまは赤の他人なのに、舞花さんは私と創志さんが夫婦だと思ってた。
孫同士が歳が近いと一緒に遊べるから、両親から孫の催促をされた。
子供を授かる可能性が低い身体の私。
だから、創志さんに別の誰かと結婚して、子を授かり幸せな家庭を築いて欲しかった。
それに、実力でのし上がってるのに、御令嬢と結婚したから出世したとは思われたくなかった。
「咲愛、アルコールは身体に悪い」
持ち込んだと思われる麦茶を創志さんに、紙コップに注がれ、、皿に野菜と海鮮焼きばかり盛られた。
基礎体温的に妊娠はしてない。でも、創志さんは私と孕ませ婚する婚を願ってるようだった。
ルーツインホテルの建て替えリフォーム案件の全国遠征に専務が足を運ぶのがおかしい。
私が生理中だと絶望し、表情が固まるのも辞めて欲しい。
生理不順で毎月くるのも稀なのに、出張中のホテルで不貞寝するのはどうかと思う。
あの忌まわしい事件がなければ、子供を授かり幸せな家庭を築いてたかもしれない。
私に気を使わせたくなくて、舞花さんに仕事についての話を振った。
白鳥コーポレーションは壁紙と床材を扱う住宅機器メーカーで、最近、温泉地などので人気アニメのコラボの部屋が流行ってるのもあり、その提案を持ちかけたりした。
同じ業界だから、仕事に関する話題を振れば なす内容に困らずに済むから良かった。
そして、飲む気はなかったけど、飲んでしまった。
創志さんにお持ち帰りされて、子種を注入され続けたけど、子供を授かる事は不可能だと思ってた。
授かったとしても、創志さんと再婚する気にはなれなかった。
それぐらい、私は、創志さんのファンと愛人に追い詰められてた。
****
「……あの人、建築設計の仕事できたんだ」
「芸術的建築物の外装デザインは朔弥兄が担当してるよ」
大学時代、経営学でなく建築を学んでた朔弥兄。コロンビア大学の建築家としても有名なスティーブ・ジョーソン教授が認めるほどの建築センスを持ってる。
だけど、社長に就任してからは経営関係の仕事が忙しくて、建築設計に関して全て創志さんに任せ、全く携わってなかった。
滅多に請け負う事がない国立美術館の建設をうちが引き受ける事になり、朔弥兄が家でそのデザインを考えているのをみて舞花さんは驚いてた。
12月1日から産休に入る予定の3月の終わりまで、舞花さんと一緒に仕事する事になった。
私が舞花さんの指導役を務める事になり、専務室で一緒に仕事をしてる。
大島建設の建築設計部でインテリアプランナーとして勤務していた舞花さん。
内装設備の発注業務がおもで、白鳥コーポレーションの商品担当のコーディネーターを務めてたと話してた。
内装設計に関しては経験がなく、水回り機器などの設備についての知識も疎いと言っていて、将来的に社長の秘書的な仕事を任されると思うから、ざっと瀬戸工コーポレーションの手がけてる物件についてと取引先を知って貰うぐらいで問題ないんだけど、真面目な舞花さんたわから、必死に内装設計の仕事を覚えようとしてた。
『朔弥さんと結婚する気は全くなかったんだよね』
一緒に仕事をしてるのもあり、ランチタイムに創志さんと朔弥兄がランチミーティングでいない時に、2人の馴れ初めについてなどを話してくれた。
朔弥兄がプレイボーイで他の女性とも同じように遊んでる事を知ってたから、たまにBARで会った時にその場限りで楽しむ相手として、舞花さんは付き合ってた。
白鳥インテリアコーポレーションの御令嬢で28歳になり、福岡にあるTATAの御曹司と政略結婚する事が決まり、東京に出てきたその御曹司といつものBARで飲んで一夜を過ごそうとしていたら朔弥兄が乱入し、婚約者を置いて連れ出され、ホテルの部屋に連れ込まれるという、修羅場になったらしい。
政略結婚を打ち壊され親に勘当され、それだけでなく妊娠し、朔弥兄とは結婚する関係じゃないから1人で産んで育てようと思ってたら朔弥兄が興信所を使って家に押しかけてきて、プロポーズという脅しをしてきたらしい。
朔弥兄は自身が創志さん以上に最低極まりない行いをしてきた自覚がある事から、弄ばれた女性が嫉みから何かやらかしてくるかもしれないという懸念から、無事に出産し終えるまでは、結婚について公にせず、隠し通す事にし事にしたと話してた。
舞花さん自身も、実家に朔弥兄と結婚した事と朔弥兄の子を妊娠した事は伝えてなく伝える気もなく、知られたくないから派手な披露宴はせず、2人だけの結婚式を挙げ、ひっそりと夫婦関係を築けてる事に満足してるらしい。
「咲愛ちゃん、辛い想いをしたんだね。朔弥が神崎君を巻き添えにしたんだと思うよ。全てはあいつが悪い!!」
舞花さんに過去の忌まわしい事件の事を聞いて貰った。
「神崎くん、BARで女性を寄せ付けない異様な空気を放ってたよ。思いつめた顔をして、女性に対して威嚇してた。女嫌いなんだなって私、思ってた。この5年間は女性に手を出してないのは確かだよ。あんな事が起きたら女性に手を出せなくなるよ」
BARでの創志さんをよく知ってる舞花さん。
創志さんは、私に執着していて、私以外の女性は愛せないのは確か。
だから、創志さんと再婚し、もう1度夫婦になろうと思った。
でも、またあの悲劇が起きたらと思うと怖くて、創志さんに前に進む事ができなかった。
朔弥兄は眉目秀麗なワイルドなイケメンで、大手ゼネコンの社長というステータスを持ってる。
創志さん以上に女性が寄ってきて、朔弥兄は好みの女性だと手当たり次第に手を出してたから、結婚し子供が産まれた事を公にした時に大惨事が起きそうで怖いと思った。
結婚した事を公にしてないから、社長夫人の座を狙ってるハンターみたいな女性が、朔弥兄に擦り寄り纏わりついてる。
『お腹に油性ペンで変な顔描いてるから、悪い虫は働かないでしょ』
プレイボーイな朔弥兄に浮気をする気力を失くさせるために、お腹に変な顔を描いて、外で服を脱げないようにしてた。
『これ、上手く描けてるでしょ!!』
『…………』
舞花さんは強い。女の妬みで危害を加えられても返り討ちにし、仕掛けた相手の人生をドン底に陥れるぐらいの狂気がある。
『夫に纏わりつく女は、蚊か蜂だと思って対処したらいいよ。刺されて命を脅かされたかもしれないけど、それで警戒するようにはなれたでしょ?』
逞しすぎる義姉。そんなに舞花さんにぞっこんな朔弥兄は牛耳られてた。
舞花さんの政略結婚を台無しにし、孕まされ婚させた。
舞花さんは親から勘当されて、全てを失った。
「朔弥をあそこまで手懐けてるなんて、敵に回すと怖いなぁ……」
私を本当の妹のように可愛がってくれてる舞花さんに、創志さんは怯えてた。
クリスマスから年始年末は実家で過ごした。
母が張り切って格式高いホテルのケータリングを注文したから、家族総出でフードファイトになり、朔弥兄と創志さんが大半平らげ苦しそうにしてた。
離婚していて元夫なのに、創志さんは私の夫として常に私の隣にいた。
「4月に初孫を抱けるのね。楽しみだわ」
私が妊娠した事を父と母は喜んでくれて、産まれてくるのを楽しみにしてた。
なのに、私はやっと授かった子を、守り育て産む事ができなかった。
子供が授かりにくい体質だから、産婦人科での治療無しでは妊娠は難しいと思う。
私の実家でも、私の部屋で私を抱き、子供を熱望してる創志さん。
5年前に失った子がまた私のお腹の中に戻ってくるのを、私も創志さんも願ってた。
「咲愛、紹介する。俺の嫁、舞花」
朔弥兄の隣にお腹が少し膨らんだ清楚な感じの綺麗な女性がいた。
「京都にある白鳥コーポレーションの御令嬢で、大島建設でインテリアプランナーをしていた。来週から俺の秘書兼サポート役として社で勤務する。咲愛、色々助けてやってくれ」
スーパーゼネコンでインテリアプランナーを務めてた経歴をもつ才女の舞花さんは、私より3歳年上の28歳。
恋愛結婚のはずだけど朔弥兄に対して極上に冷たい。
なぜか呼ばれてた創志さんが私に、『朔弥が孕ませて結婚に持ち込んだから、彼女、まだ結婚に対する覚悟ができてないんだ』と耳打ちしてくれた。
朔弥兄は彼女にベタ惚れみたいだけど、彼女はそんな朔弥兄を煙たく思ってるようだった。
妊娠5ヶ月目に入り、悪阻は治ったと言っていたけど、だからといって、霜降り肉はさすがに受けつけないと思う。
「朔弥兄、胃が完全に治ってない奥さんに、霜降り肉をてんこ盛りするの、どうかと思うよ」
「無理か?美味いぞーー!!」
悪阻で3kgやつれたと話してて、だから手っ取り早く体重を戻させようと朔弥兄は彼女に脂肪たっぷりの肉を食べさせたいようだった。
「……悪阻、キツいですよね。私も臭いに敏感になり、ずっと吐き気がして、水もまともに飲めなくて、朝夕に点滴打ってなんとか持ち堪えてました」
お腹の中で育て上げる事ができなかった我が子の事を思い出す。
悪阻が酷くてまともに水分も取れなかったけど、無理して大学に通ってた。
私と創志さんが結婚した事を知って、創志さんのファンや、昔に身体だけの関係があった女性が反乱を起こし、嫌がらせ行為が過激化していたから、ボディーガードをつけるなり、家に引きこもるべきだったんだけど、私はそれを拒んだ。
だから、隙がありすぎて、陸橋の階段から突き落とされて、一歩間違えたら車にひかれて事故死する事件を起こしてしまった。
悪阻で栄養がとれてなくて、ぼうっとしていて気づかなかったのもいけなかった。
子供を連れてない私が悪阻の話をしたから、舞花さんがどう言葉を返したらいいか困った表情を浮かべてた。
「4年前に妊娠してて、でも流産したんです。妊娠初期は流産妊娠初期の流産確率は15%前後で、6~7人に1人は流産を経験するって医師は言ってたから仕方がなかった。12週と5日まではお腹の中で育ってた。悪阻、本当に辛いですよね」
夜中にマックのフライドポテトが食べたくなり、買いにいこうとして創志さんに止められた。
嘔吐が酷く、病院に強制入院を3度させられた。
私の隣に寄り添ってくれてる創志さん。
私を陸橋から突き落としたのは創志さんが昔に遊びで抱いた女だけど、悪阻で体調が悪いに出歩いて不注意で被害に遭ってしまった私は同罪だと思う。
いまだに、流産させてしまった子供に対する罪意識を拭う事ができてなかった。
できるなら、産んで育てたかった。
8歳の差があるから、創志さんを早くパパにしてあげたかった。
新婚時代、避妊してなかったからすぐに授かると思ってたのに、なかなか授からず産婦人科に通ってた私……。
あの事故で、やっと授かった子を失い、絶望し、生きる気力を失った。
日本に帰国し、創志さんに定期的に抱かれ、子種を注入されてるけど、芽は出ない。
あの事故で、内臓も破裂し危篤状態に陥ったから、今、私が生きているのが奇跡的な事で、だから、子供を授かる事は無理だと思う。
創志さんと離婚していまは赤の他人なのに、舞花さんは私と創志さんが夫婦だと思ってた。
孫同士が歳が近いと一緒に遊べるから、両親から孫の催促をされた。
子供を授かる可能性が低い身体の私。
だから、創志さんに別の誰かと結婚して、子を授かり幸せな家庭を築いて欲しかった。
それに、実力でのし上がってるのに、御令嬢と結婚したから出世したとは思われたくなかった。
「咲愛、アルコールは身体に悪い」
持ち込んだと思われる麦茶を創志さんに、紙コップに注がれ、、皿に野菜と海鮮焼きばかり盛られた。
基礎体温的に妊娠はしてない。でも、創志さんは私と孕ませ婚する婚を願ってるようだった。
ルーツインホテルの建て替えリフォーム案件の全国遠征に専務が足を運ぶのがおかしい。
私が生理中だと絶望し、表情が固まるのも辞めて欲しい。
生理不順で毎月くるのも稀なのに、出張中のホテルで不貞寝するのはどうかと思う。
あの忌まわしい事件がなければ、子供を授かり幸せな家庭を築いてたかもしれない。
私に気を使わせたくなくて、舞花さんに仕事についての話を振った。
白鳥コーポレーションは壁紙と床材を扱う住宅機器メーカーで、最近、温泉地などので人気アニメのコラボの部屋が流行ってるのもあり、その提案を持ちかけたりした。
同じ業界だから、仕事に関する話題を振れば なす内容に困らずに済むから良かった。
そして、飲む気はなかったけど、飲んでしまった。
創志さんにお持ち帰りされて、子種を注入され続けたけど、子供を授かる事は不可能だと思ってた。
授かったとしても、創志さんと再婚する気にはなれなかった。
それぐらい、私は、創志さんのファンと愛人に追い詰められてた。
****
「……あの人、建築設計の仕事できたんだ」
「芸術的建築物の外装デザインは朔弥兄が担当してるよ」
大学時代、経営学でなく建築を学んでた朔弥兄。コロンビア大学の建築家としても有名なスティーブ・ジョーソン教授が認めるほどの建築センスを持ってる。
だけど、社長に就任してからは経営関係の仕事が忙しくて、建築設計に関して全て創志さんに任せ、全く携わってなかった。
滅多に請け負う事がない国立美術館の建設をうちが引き受ける事になり、朔弥兄が家でそのデザインを考えているのをみて舞花さんは驚いてた。
12月1日から産休に入る予定の3月の終わりまで、舞花さんと一緒に仕事する事になった。
私が舞花さんの指導役を務める事になり、専務室で一緒に仕事をしてる。
大島建設の建築設計部でインテリアプランナーとして勤務していた舞花さん。
内装設備の発注業務がおもで、白鳥コーポレーションの商品担当のコーディネーターを務めてたと話してた。
内装設計に関しては経験がなく、水回り機器などの設備についての知識も疎いと言っていて、将来的に社長の秘書的な仕事を任されると思うから、ざっと瀬戸工コーポレーションの手がけてる物件についてと取引先を知って貰うぐらいで問題ないんだけど、真面目な舞花さんたわから、必死に内装設計の仕事を覚えようとしてた。
『朔弥さんと結婚する気は全くなかったんだよね』
一緒に仕事をしてるのもあり、ランチタイムに創志さんと朔弥兄がランチミーティングでいない時に、2人の馴れ初めについてなどを話してくれた。
朔弥兄がプレイボーイで他の女性とも同じように遊んでる事を知ってたから、たまにBARで会った時にその場限りで楽しむ相手として、舞花さんは付き合ってた。
白鳥インテリアコーポレーションの御令嬢で28歳になり、福岡にあるTATAの御曹司と政略結婚する事が決まり、東京に出てきたその御曹司といつものBARで飲んで一夜を過ごそうとしていたら朔弥兄が乱入し、婚約者を置いて連れ出され、ホテルの部屋に連れ込まれるという、修羅場になったらしい。
政略結婚を打ち壊され親に勘当され、それだけでなく妊娠し、朔弥兄とは結婚する関係じゃないから1人で産んで育てようと思ってたら朔弥兄が興信所を使って家に押しかけてきて、プロポーズという脅しをしてきたらしい。
朔弥兄は自身が創志さん以上に最低極まりない行いをしてきた自覚がある事から、弄ばれた女性が嫉みから何かやらかしてくるかもしれないという懸念から、無事に出産し終えるまでは、結婚について公にせず、隠し通す事にし事にしたと話してた。
舞花さん自身も、実家に朔弥兄と結婚した事と朔弥兄の子を妊娠した事は伝えてなく伝える気もなく、知られたくないから派手な披露宴はせず、2人だけの結婚式を挙げ、ひっそりと夫婦関係を築けてる事に満足してるらしい。
「咲愛ちゃん、辛い想いをしたんだね。朔弥が神崎君を巻き添えにしたんだと思うよ。全てはあいつが悪い!!」
舞花さんに過去の忌まわしい事件の事を聞いて貰った。
「神崎くん、BARで女性を寄せ付けない異様な空気を放ってたよ。思いつめた顔をして、女性に対して威嚇してた。女嫌いなんだなって私、思ってた。この5年間は女性に手を出してないのは確かだよ。あんな事が起きたら女性に手を出せなくなるよ」
BARでの創志さんをよく知ってる舞花さん。
創志さんは、私に執着していて、私以外の女性は愛せないのは確か。
だから、創志さんと再婚し、もう1度夫婦になろうと思った。
でも、またあの悲劇が起きたらと思うと怖くて、創志さんに前に進む事ができなかった。
朔弥兄は眉目秀麗なワイルドなイケメンで、大手ゼネコンの社長というステータスを持ってる。
創志さん以上に女性が寄ってきて、朔弥兄は好みの女性だと手当たり次第に手を出してたから、結婚し子供が産まれた事を公にした時に大惨事が起きそうで怖いと思った。
結婚した事を公にしてないから、社長夫人の座を狙ってるハンターみたいな女性が、朔弥兄に擦り寄り纏わりついてる。
『お腹に油性ペンで変な顔描いてるから、悪い虫は働かないでしょ』
プレイボーイな朔弥兄に浮気をする気力を失くさせるために、お腹に変な顔を描いて、外で服を脱げないようにしてた。
『これ、上手く描けてるでしょ!!』
『…………』
舞花さんは強い。女の妬みで危害を加えられても返り討ちにし、仕掛けた相手の人生をドン底に陥れるぐらいの狂気がある。
『夫に纏わりつく女は、蚊か蜂だと思って対処したらいいよ。刺されて命を脅かされたかもしれないけど、それで警戒するようにはなれたでしょ?』
逞しすぎる義姉。そんなに舞花さんにぞっこんな朔弥兄は牛耳られてた。
舞花さんの政略結婚を台無しにし、孕まされ婚させた。
舞花さんは親から勘当されて、全てを失った。
「朔弥をあそこまで手懐けてるなんて、敵に回すと怖いなぁ……」
私を本当の妹のように可愛がってくれてる舞花さんに、創志さんは怯えてた。
クリスマスから年始年末は実家で過ごした。
母が張り切って格式高いホテルのケータリングを注文したから、家族総出でフードファイトになり、朔弥兄と創志さんが大半平らげ苦しそうにしてた。
離婚していて元夫なのに、創志さんは私の夫として常に私の隣にいた。
「4月に初孫を抱けるのね。楽しみだわ」
私が妊娠した事を父と母は喜んでくれて、産まれてくるのを楽しみにしてた。
なのに、私はやっと授かった子を、守り育て産む事ができなかった。
子供が授かりにくい体質だから、産婦人科での治療無しでは妊娠は難しいと思う。
私の実家でも、私の部屋で私を抱き、子供を熱望してる創志さん。
5年前に失った子がまた私のお腹の中に戻ってくるのを、私も創志さんも願ってた。
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