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離婚と関係修復
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「咲愛、ルーツインホテルグループの建て替えリフォームの視察、同行頼む。来週から回るからスケジュール組んで!!」
コロンビア大学の修士課程Master’s Degree Program卒業後、6月から途中入社という形で高層建築設計部意匠設計課で内装設計を任された。
アメリカの大学は、6月から9月までlong休暇がある。
その期間に大学の側にある瀬戸工コーポレーションでアルバイトをしながら一般公募のコンペに応募するデザインと設計図書を作成していたから、意匠設計に関する業務については把握してた。
とはいえ、発注業務などわからない仕事も多く、入社してからの3ヶ月間は見習いとして内装設計担当のベテラン社員の補佐につき、仕事を覚えるのにかなり奮闘した。
そして、見習い期間を明けた9月。
専務執行役員として高層建築部の最高責任者を務めてる元夫 神崎創志の補佐を任された。
大規模ホテルやオフィスビルのリフォームの内装設計の案件を多く任され、現地視察からの設計図作成と内装設備と材料の発注業務で早朝から深夜近くまで仕事をしてる。
新規マンションの内装設計も何件か任されてはいるけど、大規模建築物の修繕物件が多く、そのため週1~3回、創志さんと出張で国内各地を回っていて、そのたびに接待で飲みに連れていかれ、酔った創志さんに押し倒されて抱かれてた。
営業から渡された建て替えもしくはリフォーム検討のホテルの一覧に目を通す。
ルーツインホテルグループは全国各地に325施設もあり、1年の計画で全てを回らないといけない。
スケジュール管理画面を開き、来週の予定を確認する。
9月、10月は宿泊を伴う出張が多くて、創志さんと夜を共に身体関係を持ってしまい、後悔ばかりしていた。
11月は泊まりがけの出張がなくほっとしてた。
なのに、泊まりがけの出張を急遽びっしり入れられ、途方に暮れる。
「……せめて、宿泊する部屋が別々だったらいいのに」
創志さんと離婚してる。だけど、なぜか、社内では夫婦のままだった。
盛大な結婚式を挙げたのに、夫婦関係が1年しか持たなかったは恥だからと、公にしていなかった。
私がアメリカに4年間留学をしていたのもあり、離婚した事実を隠されてた。
『神崎は色男だから、離婚して独身とわかったら女性社員が擦りよってきて、またとんでもない事件が起きて仕事に支障がでる。だから、夫婦のふりをしろ!!』
社長に就任した朔弥兄から脅され、創志さんと夫婦のふりをさせられてる。
だから、出張時のホテルの部屋を同室にされ、かなり困ってた。
「創志さん、いい加減、離婚した事を公にしてくれませんかね」
「…………」
創志さんの運転で都内にあるルーツインホテルを回る道中。
タブレットで内装設備の見積もりと受注、メールチェックを終わらせ、日頃の鬱憤を創志さんにぶちまける。
社内での創志さんの設定が、8歳年下の奥さんを溺愛していて、尻に敷かれてる事になってた。
4年前に起きた忌々しい事件。
創志さんの若手の至りが引き起こした事だけど、創志さんのせいじゃない。
それは理解してる。
だけど失ったものの代償が大きく、事件が起きた後、私は創志さんの姿を見るだけで、発狂しパニックを起こしてた。
だから、病院内で面会禁止で、それでも簡単には引き下がらず、毎日朝と夕方に病院に顔を出してた。
離婚届にサインするまでに3ヶ月もかかった。
離婚に応じないとこのままだと私が精神を病み痩せ細り死んでしまうと、朔弥兄から言われたから、離婚には同意した。
離婚後、私を失ったショックで退職しようとした創志さん無理やり引き止めた朔弥兄。
去る事で私との繋がりがなくなると本当に関係がダメになると思い、私を傷つけた責任の代償といって瀬戸工コーポレーションで働かせ続けた。
私と関係がある職場で働き続ける事で立ち直る事ができず、仕事に走り、過労と栄養失調で何度も倒れて入院したらしい。
だから、朔弥兄は『神崎も深く傷ついた。いい加減赦してやれ』と私と復縁させて再婚させようとしてる。
「創志さんと再婚なんて無理だから。私がアメリカに4年も行ってたんだから、離婚しても不審がられないでしょ?今だって、社内で冷たい奥さんしてるし!!」
創志さんの左手薬指にはいまだにマリッジリングがはめられてる。
ちなみに私ははめていない。
アメリカにいた頃は御守りとして右の薬指にはめてた。
今は持ち歩かず、アクセサリー入れの中に入れて保管してる。
社内でボディータッチをしてこようとする創志さんに対して、『仕事中です。辞めてください』と睨みつけ阻止し、社内を歩く時もわざと少し距離を開けて歩いてる。
接待で飲んだ後は、酔った事を理由に私を襲うも、それ以外の時は紳士的な対応をしてる。
朔弥兄が怖いから、私から創志さんと離婚した事を社内で公にできない。
4年前に離婚してたという事がばれたら、私は実家と縁を切られてしまう。
実家を追い出され、瀬戸工コーポレーションをクビにされても、別の会社に勤めてお金を稼ぎ、1人で生きていく自信はある。
瀬戸工コーポレーションで高層建築物の内装設計をする事が私の将来の夢だった。
瀬戸工コーポレーションは、ホテル建設とマンション建設に関してはスーパーゼネコンを越し、業界最大手にいる。
創志さんのアシスト業務だけど、やりたかった仕事に従事して充実した日々を送ってるから、この生活は失いたくなかった。
「咲愛、戸籍上は離婚してるけど、俺は咲愛との離婚に納得していない。俺は、咲愛の家庭教師を引き受ける以前から、咲愛の事が好きだった」
年末年始前の嵐の前の静けさで閑散期なのもあり、創志さんが社に戻らず、一緒に暮らしていたマンションに私を連れ込んだ。
話の内容を誰かに聞かれたらまずいからもあるけど、マンションの駐車場に入ってから、運転席から身を乗り出して私に濃厚なキスを仕掛けてきて、それで流され、部屋の中で身体を求め合ってしまい、またまた後悔してる。
酔っ払ってないのに、私が離婚してる事を公にするように言ったら、マンションかラブホに連れ込まれ、キスに流され、やらかしてしまう。
「……私の事が好きだったかもしれないけど、私と付き合うまで、遊びで女の子を取っ替え引っ替えに抱いてたんでしょ!!」
小学5年の時からずっと私に惚れてたというのは嘘だと思う。
もし、事実ならロリコンだ。
賢くてカッコよくて、大学時代はクイズ番組に出演してたのもあり、かなりモテてた。
だから、遊びでいいからと女性が寄ってきて、上げ膳食わぬは男の恥とその場限りの関係で抱いてたらしい。
キスはしない主義で、女性を喜ばすのに使うのは手と避妊具を装着した欲望の♂部分のみだったらしいけど、それを打ち明けられ、創志さんに幻滅してしまった。
朔弥兄も特定の彼女は作らず、BARでワンナイトラブの相手を見つけてホテルの部屋に連れ込むか、セフレを呼び出してやってる。
男の性欲は溜まるもので発散させないと身体に毒とかで、私と結婚するまで、欲望を発散させるために女遊びをしてた。
交際していた2年間も、私には手を出せなかったから、BARに飲みに行った時とかに女の子
から誘われたら、その誘いに乗ってたらしい。
女の身体を知った男の性《さが》。結婚してからは、私以外の女性を抱いてないから若気の至りと思おうとしてた。
だけど、私と創志さんが結婚した事で、遊ばれてた女性達が逆上し、創志さんへの付き纏いと私に対して危害を加えてくるようになり、事件が起きた。
結婚して10ヶ月後に子供を授かり幸せを噛みしめてた時に、妬みから急な階段から突き落され、流産してしまった。
それだけでなく、複雑骨折と内臓破裂で3ヶ月の入院を強いられた。
1番の打撃は授かった赤ちゃんを流産させてしまった事。
赤ちゃんができにくい体質で、やっと授かっただったかは、失ったショックはかなり大きかった。
しかも、私を突き落とした相手は、創志さんの大学時代の同級生で瀬戸工コーポレーションに勤めてる人で、セフレみたいな関係だったとかで、かなり悪質な嫌がらせを度々してきた。
創志さんが遊んだ女性はかなりの数だったようで、また命を狙われないかと、いまだに恐怖を感じてたりする。
「4年半近く離れてたから、その場限りの関係とか身体だけの関係の女性が居たんじゃない?そうとしか思えない!!」
創志さん以外の男性を知らないから比較はできない。
だけど、創志さんはかなりのテクニシャンだと思う。
生でやるのと口を使う行為に関して、私以外とはしてないと言い張ってるけど、信じられない。
蕩けるようなキスをし、唇と舌を這わせる愛撫は最高に気持ちがよく、完全に骨抜きにされて、調教されちゃってる私は、理性では創志さんとやりたくないのに、キスをされたら本能的に流されて、やらかしてしまう。
しかも、孕ませ婚をさせる気なのか、避妊してない。
あの忌々しい事件から時が経ち、流産した時の辛さや哀しみは癒えてはきてる。
あの事件がなくても、心労で切迫流産しかけていて、産婦人科の医師から、『妊娠初期は流産しやすいから』と言われてたから、覚悟はしてた。
子供は欲しい。創志さんの血を引いた子なら、賢くて美形な子が産まれると思う。
「女遊びなんてやってない。朔弥に聞いてみろよ!!あいつはやってるが、俺は咲愛と結婚してからは他の女に手を出してない。咲愛と離れてからも、あんな事件が起きたんだ、他の女を抱こうと思うわけないだろ!!」
朔弥兄が『あいつはイン●になった。他の女では勃たなくなった。だから、お前、責任をとれ!!』と、私に言い放った。
兄妹間だとしても、そんな下ネタを妹に言ってもいいものなのか?
創志さんと一緒に暮らしてたマンションにアメリカから送った荷物を転送し、実家から追い出されるも、レオパレスを借りて同棲する事は拒絶した。
でも、創志さんのアシスタントにされ、出張に同行させられ、ホテルの同じ部屋に宿泊させられ、接待で酒を飲まされ理性を失い野獣化した彼に押し倒され、明け方まで抱き潰されてしまってる。
拒絶できない私も悪い。
私と結婚してからの1年間、ほぼ毎日お互いを求め合っていて、元々2人は繋がって1つだったのではと思うぐらい、一緒にいる事が心地よかった。
私以外の女性に勃たなくなったと、真剣な表情で伝えてくる創志さん。
私もアメリカで素敵な男性に何人も出会い、交際を申し込まれ、付き合おうとはした。
だけど、キスとかそういう行為を受け入れる事ができず、交際には発展しなかった。
創志さんの女性関係を知り、男性自体を受け入れられなくなったからだと思ってた。
なのに、創志さんにキスをされてしまうとスイッチが入ったみたいに彼を受け入れ、行為をしてしまう。
「……咲愛に首輪をつけて逃げれないようにしてこの部屋に監禁したくなる。朔弥に話して許可を取ろうか」
朔弥兄にそんな事を提案したら、『妊娠するまでマンションに2人で引きこもっていいぞ!!』とか言いそうだ。
「……咲愛が嫌がる事はしたくない。咲愛、愛してる。咲愛が側にいないと、俺は壊れてしまう」
私を失い、その穴を埋めるために過労死する寸前まで仕事に打ち込んでたと聞いた。
何度も倒れ、入院し、死に急いでるようだったと朔弥兄が言ってた。
そんな創志さんの姿を見てたから、朔弥兄は妹の私より、親友の創志さんの肩を持つ。
私の事なんて忘れて、他の女性の事を好きになって、その人と幸せを掴んでくれたらよかったのに……。
「咲愛、今日は直帰扱いにしよう。今日は帰さない」
行為を終えて、お互い裸のままだった。
創志さんのiPhoneに電話がかかってきて、それでベッドから立ち上がりリビングに行ってた。
帰さないだけでなく、寝かさないで、夜通し抱かれ明けた朝。
創志さんとお風呂に入り、身体を拭かれ、髪を乾かして貰い、私のために購入した下着とビジネス仕様のワンピースを着せられる。
「……今日は専務室のソファーで寝ててくれ」
歩く事もままならない状態だから、仕事をするのは到底無理。
ソファーに座らされメイクを終えた頃合いに、創志さんが朝食にサンドイッチとフルーツとヨーグルトで作ったスムージーを持ってきてくれた。
「……1人で歩けないよう足腰立たなくなるぐらい抱き潰せば、咲愛は俺なしでは生活できなくなる」
まともに歩けない私をお姫様抱っこでタクシーに乗せて一緒に出勤した創志さん。
専務室のソファーに寝かされ、私の身体にブランケットをかけ出て行く際にそんな恐ろし発言を残してた。
タブレットでできる仕事をしてたらいつのまにか眠っていて、ランチタイムになり専務室に戻ってきた創志さんと鰻重弁当の昼食をとった。
夕方には痛みが治り、なんとか歩けるようになり、創志さんが専務室に戻ってくる前に退社をした。
時間が解決してくれたのか。
創志さんの関係は、元通りになってると思う。
だけど、再婚して夫婦に戻る気にはならなかった。
コロンビア大学の修士課程Master’s Degree Program卒業後、6月から途中入社という形で高層建築設計部意匠設計課で内装設計を任された。
アメリカの大学は、6月から9月までlong休暇がある。
その期間に大学の側にある瀬戸工コーポレーションでアルバイトをしながら一般公募のコンペに応募するデザインと設計図書を作成していたから、意匠設計に関する業務については把握してた。
とはいえ、発注業務などわからない仕事も多く、入社してからの3ヶ月間は見習いとして内装設計担当のベテラン社員の補佐につき、仕事を覚えるのにかなり奮闘した。
そして、見習い期間を明けた9月。
専務執行役員として高層建築部の最高責任者を務めてる元夫 神崎創志の補佐を任された。
大規模ホテルやオフィスビルのリフォームの内装設計の案件を多く任され、現地視察からの設計図作成と内装設備と材料の発注業務で早朝から深夜近くまで仕事をしてる。
新規マンションの内装設計も何件か任されてはいるけど、大規模建築物の修繕物件が多く、そのため週1~3回、創志さんと出張で国内各地を回っていて、そのたびに接待で飲みに連れていかれ、酔った創志さんに押し倒されて抱かれてた。
営業から渡された建て替えもしくはリフォーム検討のホテルの一覧に目を通す。
ルーツインホテルグループは全国各地に325施設もあり、1年の計画で全てを回らないといけない。
スケジュール管理画面を開き、来週の予定を確認する。
9月、10月は宿泊を伴う出張が多くて、創志さんと夜を共に身体関係を持ってしまい、後悔ばかりしていた。
11月は泊まりがけの出張がなくほっとしてた。
なのに、泊まりがけの出張を急遽びっしり入れられ、途方に暮れる。
「……せめて、宿泊する部屋が別々だったらいいのに」
創志さんと離婚してる。だけど、なぜか、社内では夫婦のままだった。
盛大な結婚式を挙げたのに、夫婦関係が1年しか持たなかったは恥だからと、公にしていなかった。
私がアメリカに4年間留学をしていたのもあり、離婚した事実を隠されてた。
『神崎は色男だから、離婚して独身とわかったら女性社員が擦りよってきて、またとんでもない事件が起きて仕事に支障がでる。だから、夫婦のふりをしろ!!』
社長に就任した朔弥兄から脅され、創志さんと夫婦のふりをさせられてる。
だから、出張時のホテルの部屋を同室にされ、かなり困ってた。
「創志さん、いい加減、離婚した事を公にしてくれませんかね」
「…………」
創志さんの運転で都内にあるルーツインホテルを回る道中。
タブレットで内装設備の見積もりと受注、メールチェックを終わらせ、日頃の鬱憤を創志さんにぶちまける。
社内での創志さんの設定が、8歳年下の奥さんを溺愛していて、尻に敷かれてる事になってた。
4年前に起きた忌々しい事件。
創志さんの若手の至りが引き起こした事だけど、創志さんのせいじゃない。
それは理解してる。
だけど失ったものの代償が大きく、事件が起きた後、私は創志さんの姿を見るだけで、発狂しパニックを起こしてた。
だから、病院内で面会禁止で、それでも簡単には引き下がらず、毎日朝と夕方に病院に顔を出してた。
離婚届にサインするまでに3ヶ月もかかった。
離婚に応じないとこのままだと私が精神を病み痩せ細り死んでしまうと、朔弥兄から言われたから、離婚には同意した。
離婚後、私を失ったショックで退職しようとした創志さん無理やり引き止めた朔弥兄。
去る事で私との繋がりがなくなると本当に関係がダメになると思い、私を傷つけた責任の代償といって瀬戸工コーポレーションで働かせ続けた。
私と関係がある職場で働き続ける事で立ち直る事ができず、仕事に走り、過労と栄養失調で何度も倒れて入院したらしい。
だから、朔弥兄は『神崎も深く傷ついた。いい加減赦してやれ』と私と復縁させて再婚させようとしてる。
「創志さんと再婚なんて無理だから。私がアメリカに4年も行ってたんだから、離婚しても不審がられないでしょ?今だって、社内で冷たい奥さんしてるし!!」
創志さんの左手薬指にはいまだにマリッジリングがはめられてる。
ちなみに私ははめていない。
アメリカにいた頃は御守りとして右の薬指にはめてた。
今は持ち歩かず、アクセサリー入れの中に入れて保管してる。
社内でボディータッチをしてこようとする創志さんに対して、『仕事中です。辞めてください』と睨みつけ阻止し、社内を歩く時もわざと少し距離を開けて歩いてる。
接待で飲んだ後は、酔った事を理由に私を襲うも、それ以外の時は紳士的な対応をしてる。
朔弥兄が怖いから、私から創志さんと離婚した事を社内で公にできない。
4年前に離婚してたという事がばれたら、私は実家と縁を切られてしまう。
実家を追い出され、瀬戸工コーポレーションをクビにされても、別の会社に勤めてお金を稼ぎ、1人で生きていく自信はある。
瀬戸工コーポレーションで高層建築物の内装設計をする事が私の将来の夢だった。
瀬戸工コーポレーションは、ホテル建設とマンション建設に関してはスーパーゼネコンを越し、業界最大手にいる。
創志さんのアシスト業務だけど、やりたかった仕事に従事して充実した日々を送ってるから、この生活は失いたくなかった。
「咲愛、戸籍上は離婚してるけど、俺は咲愛との離婚に納得していない。俺は、咲愛の家庭教師を引き受ける以前から、咲愛の事が好きだった」
年末年始前の嵐の前の静けさで閑散期なのもあり、創志さんが社に戻らず、一緒に暮らしていたマンションに私を連れ込んだ。
話の内容を誰かに聞かれたらまずいからもあるけど、マンションの駐車場に入ってから、運転席から身を乗り出して私に濃厚なキスを仕掛けてきて、それで流され、部屋の中で身体を求め合ってしまい、またまた後悔してる。
酔っ払ってないのに、私が離婚してる事を公にするように言ったら、マンションかラブホに連れ込まれ、キスに流され、やらかしてしまう。
「……私の事が好きだったかもしれないけど、私と付き合うまで、遊びで女の子を取っ替え引っ替えに抱いてたんでしょ!!」
小学5年の時からずっと私に惚れてたというのは嘘だと思う。
もし、事実ならロリコンだ。
賢くてカッコよくて、大学時代はクイズ番組に出演してたのもあり、かなりモテてた。
だから、遊びでいいからと女性が寄ってきて、上げ膳食わぬは男の恥とその場限りの関係で抱いてたらしい。
キスはしない主義で、女性を喜ばすのに使うのは手と避妊具を装着した欲望の♂部分のみだったらしいけど、それを打ち明けられ、創志さんに幻滅してしまった。
朔弥兄も特定の彼女は作らず、BARでワンナイトラブの相手を見つけてホテルの部屋に連れ込むか、セフレを呼び出してやってる。
男の性欲は溜まるもので発散させないと身体に毒とかで、私と結婚するまで、欲望を発散させるために女遊びをしてた。
交際していた2年間も、私には手を出せなかったから、BARに飲みに行った時とかに女の子
から誘われたら、その誘いに乗ってたらしい。
女の身体を知った男の性《さが》。結婚してからは、私以外の女性を抱いてないから若気の至りと思おうとしてた。
だけど、私と創志さんが結婚した事で、遊ばれてた女性達が逆上し、創志さんへの付き纏いと私に対して危害を加えてくるようになり、事件が起きた。
結婚して10ヶ月後に子供を授かり幸せを噛みしめてた時に、妬みから急な階段から突き落され、流産してしまった。
それだけでなく、複雑骨折と内臓破裂で3ヶ月の入院を強いられた。
1番の打撃は授かった赤ちゃんを流産させてしまった事。
赤ちゃんができにくい体質で、やっと授かっただったかは、失ったショックはかなり大きかった。
しかも、私を突き落とした相手は、創志さんの大学時代の同級生で瀬戸工コーポレーションに勤めてる人で、セフレみたいな関係だったとかで、かなり悪質な嫌がらせを度々してきた。
創志さんが遊んだ女性はかなりの数だったようで、また命を狙われないかと、いまだに恐怖を感じてたりする。
「4年半近く離れてたから、その場限りの関係とか身体だけの関係の女性が居たんじゃない?そうとしか思えない!!」
創志さん以外の男性を知らないから比較はできない。
だけど、創志さんはかなりのテクニシャンだと思う。
生でやるのと口を使う行為に関して、私以外とはしてないと言い張ってるけど、信じられない。
蕩けるようなキスをし、唇と舌を這わせる愛撫は最高に気持ちがよく、完全に骨抜きにされて、調教されちゃってる私は、理性では創志さんとやりたくないのに、キスをされたら本能的に流されて、やらかしてしまう。
しかも、孕ませ婚をさせる気なのか、避妊してない。
あの忌々しい事件から時が経ち、流産した時の辛さや哀しみは癒えてはきてる。
あの事件がなくても、心労で切迫流産しかけていて、産婦人科の医師から、『妊娠初期は流産しやすいから』と言われてたから、覚悟はしてた。
子供は欲しい。創志さんの血を引いた子なら、賢くて美形な子が産まれると思う。
「女遊びなんてやってない。朔弥に聞いてみろよ!!あいつはやってるが、俺は咲愛と結婚してからは他の女に手を出してない。咲愛と離れてからも、あんな事件が起きたんだ、他の女を抱こうと思うわけないだろ!!」
朔弥兄が『あいつはイン●になった。他の女では勃たなくなった。だから、お前、責任をとれ!!』と、私に言い放った。
兄妹間だとしても、そんな下ネタを妹に言ってもいいものなのか?
創志さんと一緒に暮らしてたマンションにアメリカから送った荷物を転送し、実家から追い出されるも、レオパレスを借りて同棲する事は拒絶した。
でも、創志さんのアシスタントにされ、出張に同行させられ、ホテルの同じ部屋に宿泊させられ、接待で酒を飲まされ理性を失い野獣化した彼に押し倒され、明け方まで抱き潰されてしまってる。
拒絶できない私も悪い。
私と結婚してからの1年間、ほぼ毎日お互いを求め合っていて、元々2人は繋がって1つだったのではと思うぐらい、一緒にいる事が心地よかった。
私以外の女性に勃たなくなったと、真剣な表情で伝えてくる創志さん。
私もアメリカで素敵な男性に何人も出会い、交際を申し込まれ、付き合おうとはした。
だけど、キスとかそういう行為を受け入れる事ができず、交際には発展しなかった。
創志さんの女性関係を知り、男性自体を受け入れられなくなったからだと思ってた。
なのに、創志さんにキスをされてしまうとスイッチが入ったみたいに彼を受け入れ、行為をしてしまう。
「……咲愛に首輪をつけて逃げれないようにしてこの部屋に監禁したくなる。朔弥に話して許可を取ろうか」
朔弥兄にそんな事を提案したら、『妊娠するまでマンションに2人で引きこもっていいぞ!!』とか言いそうだ。
「……咲愛が嫌がる事はしたくない。咲愛、愛してる。咲愛が側にいないと、俺は壊れてしまう」
私を失い、その穴を埋めるために過労死する寸前まで仕事に打ち込んでたと聞いた。
何度も倒れ、入院し、死に急いでるようだったと朔弥兄が言ってた。
そんな創志さんの姿を見てたから、朔弥兄は妹の私より、親友の創志さんの肩を持つ。
私の事なんて忘れて、他の女性の事を好きになって、その人と幸せを掴んでくれたらよかったのに……。
「咲愛、今日は直帰扱いにしよう。今日は帰さない」
行為を終えて、お互い裸のままだった。
創志さんのiPhoneに電話がかかってきて、それでベッドから立ち上がりリビングに行ってた。
帰さないだけでなく、寝かさないで、夜通し抱かれ明けた朝。
創志さんとお風呂に入り、身体を拭かれ、髪を乾かして貰い、私のために購入した下着とビジネス仕様のワンピースを着せられる。
「……今日は専務室のソファーで寝ててくれ」
歩く事もままならない状態だから、仕事をするのは到底無理。
ソファーに座らされメイクを終えた頃合いに、創志さんが朝食にサンドイッチとフルーツとヨーグルトで作ったスムージーを持ってきてくれた。
「……1人で歩けないよう足腰立たなくなるぐらい抱き潰せば、咲愛は俺なしでは生活できなくなる」
まともに歩けない私をお姫様抱っこでタクシーに乗せて一緒に出勤した創志さん。
専務室のソファーに寝かされ、私の身体にブランケットをかけ出て行く際にそんな恐ろし発言を残してた。
タブレットでできる仕事をしてたらいつのまにか眠っていて、ランチタイムになり専務室に戻ってきた創志さんと鰻重弁当の昼食をとった。
夕方には痛みが治り、なんとか歩けるようになり、創志さんが専務室に戻ってくる前に退社をした。
時間が解決してくれたのか。
創志さんの関係は、元通りになってると思う。
だけど、再婚して夫婦に戻る気にはならなかった。
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