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6 side 須賀

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入学する前ぐらいから、マイクラというゲームにはまり、その中で建物を建築するのが好きだった。
だからか、自然と、どこか知らない地に行くとその地にある建物をじっと見て記憶し、家に帰って、ゲームの中で同じ建物を建築したり、その建物を自分なりにアレンジをしたりしていた。
だから、小学校の高学年ぐらいの時には将来の夢は建築関係の設計士で、そのために子供なりにどうすれば活躍できるかを調べ、自分なりに勉強をしてきた。
学校の友達と、休憩時間や放課後にサッカーや野球をしたり、流行りのゲームをし、流行りの曲を歌う。
でも、家では建設設計士になるための勉強に明け暮れていた。
その甲斐もあり、高校3年の時点で取れる資格は卒なくとり、K大の建設課に合格し、大学入学後は一般公募や学生公募の建築アイデアコンクールなどで賞を取り、自分のイメージが実際の建物になったのを見て、建築士の仕事にやりがいを感じ、学生なのに大手ゼネコンのカシマ建設にアルバイト社員の設計士として雇われ、教会などの建物の設計を任せて貰った。
実家から通える場所に大学はあったけど、大学院に進学してからは深夜近くまでゼミ室にこもる事があり、通学時間がもったい無く、大学のそばのアパートで一人暮らしを始めた。


そこで、俺は佐倉萌香と初めて出会った。
彼女と出会ったのは桜の開花する3月の終わりで、高校を卒業して間もないあどけない姿に一瞬で恋をした。
白いブラウスに淡い桜色のスカートを履いていて、細い脚が2本に、ついつい目が行き、変質者扱いされないよう、すぐに目をそらし彼女から離れた。
彼女が隣の住民で、K大に首席合格する才女で、建築関係のコンクールで賞を取り、大学1、2年の間に難関な資格を多くとった子と知ったのは、阪田ゼミで俺のサポートを彼女が担当すると紹介された時。
俺も建築設計士2級を取り、カシマ建設で4年アルバイト設計士をし、建築設計士1級をとった。
彼女も実務経験をつければ建築設計士の資格が取れるとの事で、俺のサポートにつき卒業までに2級取得を目指すために俺につく事になった。
大学に入学してからは、建築の世界にずっしりはまり、周りが見えないぐらいに、1つの作品を描き始めたら完成するまで食べるのも寝るのも忘れ、ずっとのめり込んだ。
そんな俺の横で、大学の講義を受けてる時間以外、同じように建築デザインコンクールの応募作品を作ったる個人経営の店舗の設計を委託して仕上げてる佐倉。
一緒にいるのが心地よく、俺が不摂生で倒れたりしたのもあり、食事を用意してくれてやこまめに休息するよう声かけをしてくれるようになった。

院の博士課程に在籍をしていても、カシマ建設から請け負ってる仕事ばかりに時間がとられた。
伝説の神の発想を持つ阪田教授からアドバイスを貰いながら、カシマ建設で仕事ができる幸運。
俺は阪田教授の教え子として院生でいられる時間を1分1秒無駄にしまいと、頭に浮かぶイメージを作品にしていった。

ゼミ室か家にこもる日々だったが、ゼミ室に入るまでのキャンパス内や通学までの道中で、名も知らない女子大生に見つめられたり、時に話しかけられたりした、けれど、全て無視してきた。
俺も男だからそういう性的な要求はある。
でも、付き合う時間が煩わしく、建築物のイメージをスケッチする事でその欲が薄れる事から、今まで誰とも交際した事がなかった。
一緒にいたいと思えるほどの女性と出会った事がなかったからもある。

その感覚は、佐倉に対しては、初めて出会ったあの瞬間に感じだ。
運命だったのかもしれない。

俺が手がけたアイデアが採用されて建設されたテーマパークがオープンし、佐倉を同伴で連れてお祝いのパーティーに参加した。
こういうパーティーは初めてというから、ドレス一式を俺が用意した。
彼女と初めて出会った日の桜色のスカートがよく似合っていて、その色に近いカクテルドレスと靴、バッグなどの一式をシャネルで選んだ。
そして、ネックレスはティファニーで購入した。
カシマ建設から請け負う仕事は学生身分でも1つ建築が決まるたびに50万から80万は支払われる。
だから総額80万円ぐらいかけても、また仕事を請け負って成果を残せばいいと思った。

ドレスで着飾った彼女はとても美しくて、自分の男の醜い部分が出てきそうで必死に隠した。

パーティーといえばアルコール度数の高いワインを飲みながらの立食で、パーティーを終えて用意されたホテルの部屋に戻ると手違いでダブルベッド1つしかない同室で、どう紳士的に接しようかと考えていたら、彼女に抱きつかれ、
『ドレスの後ろのフォックを下げて』
と甘い声で言われ、口付けされ、男の醜い欲を抑えられず、一線を越えてしまった。
しかも、お互いが初めてで、俺は余裕が無く、彼女を余計痛い思いをさせてしまった。


彼女と一線を越えてしまった日の明け方。
彼女より先に目覚めた俺は、彼女とどう接するべきか悩んだ。
いわゆる恋人関係になると、もし別れるとかになった時に、ゼミで彼女がサポートについてる事でやり難くなる。
それに恋人関係になったからとデートで時間を潰し、好きだの愛してるなどの恥ずかしい事を言い合うのは避けたい。
ただ男の生殖本能を放出する経験してしまい、その欲情を抑える自信がない。
だからといって、彼女以外の女性に対して俺は欲情する気がしない。

目覚めた彼女は腰などの身体の痛みに顔をしかめ、それから俺を見た。
『すみません。服を着替えたいので、ちょっと外に出ていて貰えませんか』
と、頬を赤らめ言った。
そして、俺が部屋から出ると、急いで、シャワーを浴びて、淡い黄色のパステルカラーのワンピースに着替え、薄く化粧をして、ドレスをスーツケースに押し込み急いで外で待つ俺を部屋に入れた。

昨日の一線を越えたことに関しては何も言わず、せっかくだからと頂いたチケットでテーマパークを視察し、マンションへ帰宅した。

いつも通りの彼女だった。

それから、ゼミ室で俺の横でひたすら建築士の設計を描く彼女、俺の食事や休息の世話をするなにも変わらない生活。

1つ変わった事は、俺がお酒が入った時に彼女に迫ったら身体を開いて受け入れてくれる。
だからといって、彼女づらせず、ただ受け入れてくれる彼女に申し訳なく、なるべく醜い俺のオスの部分を出さないようにした。
でも週に一度はどうしても出てしまい、獣化して彼女も身体を堪能してしまう。
そんな自分勝手な俺なのに彼女は受け入れてくれた。

俺が博士課程を修了する時に、彼女も大学を卒業する。
阪田教授のゼミ生は教授について深く学ぶために修士課程、博士課程と進む人が大半だ。
佐倉みたいに学年首席の才女はこのまま院に進むと思っていた。
院に進み俺みたいにゼネコンとアルバイト契約をしながら学生時代を続けると思い、彼女との関係をこのまま終わらせるのか、きちんと交際を申し込み遠距離恋愛をするか悩んだ。

彼女もかなり悩んでいた。
そして、彼女は阪田教授からの学びより俺のサポートにより知識を得たいと卒業後、俺と一緒にカシマ建設に入社した。
俺のだらしなさを心配し、また同じマンションの空き部屋を賃貸し、追いかけてくれた。
でもそれは恋人としてでなく、生活に関しての世話係としてのサポートと、カシマ建設で力を試したいと俺に説明した。
だから、社内では同じゼミ出身というだけで関わらないで欲しいと言われた。
入社前から活躍していたから女子社員に変に色目を使われ、気づかないふりをするのに気持ち的に疲れた。
佐倉が俺に関わらないで欲しいと言ってきた理由は、俺の見た目や経歴で寄ってくる女子社員からライバルと思われて嫌がらせをされるのが面倒くさかったんだろう。


学卒で入社したために、出世コースの花形の仕事はできないが、施工主が女性設計士を希望したり、彼女がイメージした建築が合う案件が多々あり、彼女も多忙な日々を過ごした。

お互い午前様でも仕事が終わらない。

納期に追われぶっ倒れるラインギリギリで、佐倉に声をかけられ、一緒に帰宅する。
俺も忙しいが彼女も忙しい。
それなのに手作りの夕食と朝ご飯用のパンとコーヒーをいつも用意してくれて、掃除と洗濯もしてくれる。
そして、
『定時退社日の水曜日だけなら、してもいいよ』
と彼女は言ってくれた。
仕事のストレスの捌け口と彼女に対する思いから、かなり卑劣な精子を飲ませたり中出しをしたりした。
それに対し、彼女ら苦しそうにしながらも飲み干したり、ピルで子供が宿らないようにした。
彼女は知らない、社内で恋人にしたいNO.1と言われてる。
隙がないから近づけない高値の華と言われている。
俺はどうしても彼女をモノにしたかった。
どんなに酷いことをしても俺から彼女は離れなかった。

彼女との日常がテンポよく繰り返す平和な幸せな生活の中。
カシマ建設のアメリカ支部の方に、俺宛に依頼が来た。
農作地を開拓し、広いシティを作る大掛かりの計画で、早くて1年半、遅くて5年は駐在が予測される。
最短で1年で現地から離れられるように、クライアントが納得するプランをたて、イメージをイラストにし図面に仕上げ、建設に漕ぎ着け帰国する。
彼女がそれまで一人でいくれるかわからない。
だからといって、彼女の建築設計士としてのキャリアを潰して俺の奥さんとしてアメリカに連れて行く事はできなかった。
彼女が創り出すカントリー風な優しい温かい建築物が俺は気に入っていて、彼女の描く建物がこの世に建つ事が自分の事のように嬉しかった。
彼女が俺から離れないように俺の子を宿させようと、アメリカにたつまでの約5ヶ月、どんなに疲れていても彼女の中に何度も出した。
でも、彼女の持つ病院から処方された薬が強力でなかなか宿らず、旅行先で薬をこっそり捨てて彼女が不安になるのをわかっていても、俺は中に出した。
彼女とのカタチとしての絆が欲しかった。
最低な男だ。

アメリカ駐在前に3週間ぐらいの長期の出張があった。
俺は一応、英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語は建築の勉強をする上で必要で日常会話レベルは話せる。
なのに、海外営業部から補佐がついた。
専務の姪っ子の笹部。
専務が俺と結婚させたいと思っているのは知っている。
笹部からも可愛く思われたいオーラが伝わってくるが全てスルーした。
でも、社内で熱愛的な噂がたったらしく焦った。
疑われないよう笹部と距離をあけ、佐倉にLINEで写真を貼ったり、思いついた建築物のイメージのイラストをパソコンのメールアドレスに送ったりした。
とにかく、毎日、会えなくて触れる事ができなくても、メッセージで繋がっていたかった。



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