幸せの青い鳥はOn the run

鳴宮鶉子

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プロローグ

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「真田さん、ここ、どうしたらいい?」

「ーーここは、ですね……」

遡る事半年前。私、相沢奏音は、産まれ育った故郷と名前を捨て、親友のふりをして第2の人生を始めた。

3年前に両親を交通事故で亡くした私は、父が起業し社長を務めていたIT関連会社を継ぐ事になった父の右腕だったエンジニアの7歳年上の瀬川巧に、半ば強引に無理矢理結婚させられた。

小学校高学年の頃から巧は私の家庭教師してしてくれてた。
だから、先生と思い慕ってはいた。
だけど、中高一貫校時代から長く付き合っていて結婚を考えていた恋人がいた私は、巧の事を夫としては受け入れる事ができなかった。

両親が亡くなった哀しみの中、恋人とも別れさせられ、鬱状態になり引きこもってしまった私に対して、初めの頃は優しく接してくれてた巧。

だけど、何度も私が家出を企てようとし自殺を図ったりしたから、逃げ出そうとする私に足枷をつけ高層タワーマンション最上階にある部屋に閉じ込め監禁し、防犯カメラで監視してシステム開発の仕事をさせた。

そして、長く付き合っていた恋人の事が忘れられない私を、無理矢理抱いて心と体を奪おうとした。

好きでもない男に抱かれるだけでも苦痛なのに、仕事の納期が間に合わなかった時は罰として媚薬を使われ抱かれ、快楽に堕ちる自分自身に自己嫌悪を感じ苦しむ日々。

終わらせる事が不可能な量の仕事を与えられ、寝る間を惜しみひたすら打ち込むも到底納期には間に合わず、2年間、ほぼ毎日罰を与えられてた。

寝不足で疲れきってる中、媚薬を使われて抱かれ、力つきて眠ってた私。
目覚めた時に巧が仕事のトラブルで呼び出されたのか留守で、私の足に足枷がはめられてなく、これをチャンスと思い、私は逃走した。

もしもの時のために置かれてた現金100万円を持ち出し、中高一貫校時代ね親友 真田凛子ちゃんを頼り、東京から京都へ逃げた。

大学進学で京都に出てきた凛子ちゃんは小説家を本業に、フリーでwebデザイナーと映像クリエーターをしていていた。
ちょうど同棲していた恋人と別れたとかで2LDKのマンションに1人で住んでいた凛子ちゃん。
その部屋にルームシェアさせて貰う事になり、しばらくの間は持ち出したお金があるから家賃と生活費は支払えるけれどすぐに使いきってしまうから、凛子ちゃんがフリーで請け負ってる仕事量を増やして貰って、手伝わせて貰い、お金を稼いだ。
その仕事が評価され、登録会社を仲介してベンチャー企業のクエッションからかなり優遇された条件でヘッドハンティングの話がきて、凛子ちゃんから肩を押され、4ヶ月前から凛子ちゃんのふりをしてしシステムエンジニアとして勤務してる。

髪をバッサリと切り、以前の私とは180°違う男の子みたいな格好をし、別人に産まれ変わった。

逃げきる自信はないけれど、この生活が長く続いて欲しいと私は願っていた。


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