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義両親と両親の関係

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「……愛花さんにそっくりに育って」

クローン並に希愛は私に似ている。
体外受精をしたのは綾音院長らしいから、染色体入れ替えとゲノム編集改変はできないはず。
ポリジェニックスコアがあまりに良すぎて、安達理事長が胚盤胞を作成したのではと疑ってしまう。

大阪にある国立循環器センターの院長と副院長で、現役で心臓外科医と循環器内科医をしている、凛太郎さんのご両親。

月1のペースで血の繋がりがない孫娘を見に訪れる。

「ダブィンチ、うちも15台ありますが、私は古い人間だから、内視鏡手術でオペ執刀してます」

義父と一輝おじさんはよく心臓手術の術式について、語り合っている。
内視鏡手術では不可能とされていた動き・視野がロボット手術では可能で、3Dでの鮮明な拡大視」のもと、意図した操作をぶれなく正確に行う事ができても、今までは超未熟児の新生児手術では使用した事はなかった。

「凛太郎くんが500g満たない新生児にロボット手術を行い、最高のパフォーマンスで今までの半分以下の時間で執刀終えていて、驚愕しました」

産前産後、緊急新生児手術に私が立ち会えなかった時に、凛太郎さんがロボット手術で執刀し、成功した。

それから、凛太郎さんはロボット手術で緊急新生児手術を1人で行なってる。


「凛太郎はちゃんと子育てに協力してますか?愛花さんにだけ負担がかかってないですか?」

凛太郎さんのご両親に、希愛が凛太郎さんの血を引いていない事を伝えていない。
胚盤胞を移植されて妊娠させられた事実は、浮気による妊娠よりもまずいと思う。

綾音院長がやった行為は犯罪だ。

だけど、できてしまった命には責任はないし、将生くんの研究者としての道も失ってしまう。

『俺の両親には隠せばいい』

凛太郎さんの血を引く娘と信じ、希愛を抱っこしてあやしている義母に申し訳なく思う。

「凛太郎にも本当は5歳違いの妹がいたんだけどね、18トリソミーで25週3日364g産まれて、帝王切開後に緊急手術を主人が執刀し成功したんだけど、……小学生入学前に心筋梗塞で亡くなった。身体の成長に、心臓がついていかなかった」

義母も18トリソミーで産まれ、重度の心臓疾患がある。
心室中隔欠損症、心房中隔欠房室症、完全大血管転位症、動脈管開存症。
3歳まで生きられないと言われていたらしい。

そんな義母を母親の胎内から取り出し、緊急手術で命を救ったのが義父の両親。

「芽衣さん、辛かったね。話してくれて、ありがとう」

ママは義母の芽衣さんの事が好き。
会ってすぐに意気投合し、しょっちゅう、我が家に招待する。

芽衣さんがうちのとんでもない出生秘話を知ったら、どう思うだろう。

「親父、お袋、また来たのか。病院放置してきていいのかよ……」

緊急手術を終え、着替えと食事で一時帰宅してきた凛太郎さんは、うちで寛いでいる義両親に苦笑いを浮かべていた。



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