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経営不振に陥ったホテルや旅館を押しつければいい side 麗華
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「社長、3ヶ月後に、りとな銀行へ15億返済しないといけないですが、会社に資金がありません。どうなさいますか?」
ママに言われるまま、別荘感覚で観光地に最高クラスのレジャー施設とホテル、旅館を建設していたパパ。
「……まずいな。四谷住仲銀行と新誠銀行からも返済期日の連絡がきてたな。25億に8億。……返済は無理だな」
「じゃ、倒産しか手はないの!!」
「そうなるな。これまでは灯里と松田が何とかしてくれてたんだがな……」
やば過ぎる経営状態に身震いする。
会長が亡くなり、高級レジャー施設などを好きに建設できるようになり、羽目を外し過ぎた。
「貴方、私のお気にじゃないリゾートホテルと旅館を灯里に引き取って貰えばいいんじゃない?創業者の血をひく娘なんだから、責任取らないといけないでしょ。大手ホテルチェーンが、経営不振に陥ったホテルや旅館を買収し、自社ブランドとして新たにオープンするリブランド化、流行ってるじゃない。負債抱えているホテルと旅館を灯里に押しつけなさい!!」
ママの鶴の一声。
天然で空気を読まない発言ばかりするけれど、たまには良い事を言う。
「そうだな。灯里が大学時代に長期休みにバイトしていたリゾートホテルと高級旅館を経営停止にすると脅して、ルポグループに良い値で引き取って貰おう!!」
灯里が縁切りをしてからすぐにスマホの番号を変えたから、連絡のつきようがない。
だけど、ルポホテルの副社長業務でリブランドしてグランドオープンさせたホテルの披露式典に代表者として出席してるから、日時を調べて、待ち伏せすればいい。
「灯里との交渉は私がする。パパ、私に任せて」
地味な顔立ちで貧相な体なのに、究極イケメンで仕事ができる最大手御曹司グループ社長と結婚し、玉の輿に乗った灯里が許せない。
ルポホテルの副社長を務め、幸せそうな灯里をまた、不幸のドン底に叩き堕としてやりたい。
****
「灯里、久しぶり。貴女だけ、幸せそうね」
函館にあるビジネスホテルのリブランドグランドオープンの披露式典の後、ホテルの前で灯里が出てくるのを待っていた。
地味なリクルートスーツばかり着ていた灯里が、フォーマルなワンピースドレスを着て、髪もセットしてる。
開業記者発表にテープカットと会社代表として業務を遂行していて、見ていてむしゃくしゃした。
「貴女がツーリストインからいなくなったから、5銀行からの借入金58億円、返済できなくて困ってるんだけど?創業者一族血筋の娘でしょ、何とかして」
半年ぶりに私と対面した灯里は、顔を強張せている。
「……私はツーリストインとはもう無関係です。融資返済に協力する義理はありません」
ツーリストインのために身を粉にして働いていた灯里が、見捨てる発言をしてくるとは思わなかった。
「パパが大赤字出してる古びた観光ホテルと旅館、ビジネスホテル、25軒こっちのいう額で買い取って貰えって。ルポグループの社長夫人だからできるでしょ?」
ぼったくり価格で785億円で売却する。
去年の純損益が92億円の赤字で今年もこのままいくと258億円の赤字になるってパパが言ってた。
ツーリストインの負債額は825億円だから、ゴミホテルを灯里に買い取らせれば、ツーリストインの負債を相殺する事ができる。
「で、できるわけないでしょ!!」
「ツーリストインが倒産するわよ」
「M&A仲介会社に建築物の査定依頼していいなら、検討する。58億円作らないといけないんだろ?」
式典に出席していなかった永峰優司グループ社長がなぜか居て、私達の会話を聞いていた。
「リブランド担当社員とM&A仲介会社社員をツーリストイン本社に向かわせる。話は終わりだ。灯里、行くぞ」
長身で超絶イケメンな男に睨まれ、怯む。
私に見惚れるでなく睨みつけてくるなんて、有り得ない。
灯里の腰に手を添え、送迎車の黒塗りBMWにエスコートし、私を置いて、2人は颯爽と去っていった。
「ゴミホテルを1000億円以上で買い取らせてやる!!」
杜撰な対応をされ、猛烈に腹が立った。
ママに言われるまま、別荘感覚で観光地に最高クラスのレジャー施設とホテル、旅館を建設していたパパ。
「……まずいな。四谷住仲銀行と新誠銀行からも返済期日の連絡がきてたな。25億に8億。……返済は無理だな」
「じゃ、倒産しか手はないの!!」
「そうなるな。これまでは灯里と松田が何とかしてくれてたんだがな……」
やば過ぎる経営状態に身震いする。
会長が亡くなり、高級レジャー施設などを好きに建設できるようになり、羽目を外し過ぎた。
「貴方、私のお気にじゃないリゾートホテルと旅館を灯里に引き取って貰えばいいんじゃない?創業者の血をひく娘なんだから、責任取らないといけないでしょ。大手ホテルチェーンが、経営不振に陥ったホテルや旅館を買収し、自社ブランドとして新たにオープンするリブランド化、流行ってるじゃない。負債抱えているホテルと旅館を灯里に押しつけなさい!!」
ママの鶴の一声。
天然で空気を読まない発言ばかりするけれど、たまには良い事を言う。
「そうだな。灯里が大学時代に長期休みにバイトしていたリゾートホテルと高級旅館を経営停止にすると脅して、ルポグループに良い値で引き取って貰おう!!」
灯里が縁切りをしてからすぐにスマホの番号を変えたから、連絡のつきようがない。
だけど、ルポホテルの副社長業務でリブランドしてグランドオープンさせたホテルの披露式典に代表者として出席してるから、日時を調べて、待ち伏せすればいい。
「灯里との交渉は私がする。パパ、私に任せて」
地味な顔立ちで貧相な体なのに、究極イケメンで仕事ができる最大手御曹司グループ社長と結婚し、玉の輿に乗った灯里が許せない。
ルポホテルの副社長を務め、幸せそうな灯里をまた、不幸のドン底に叩き堕としてやりたい。
****
「灯里、久しぶり。貴女だけ、幸せそうね」
函館にあるビジネスホテルのリブランドグランドオープンの披露式典の後、ホテルの前で灯里が出てくるのを待っていた。
地味なリクルートスーツばかり着ていた灯里が、フォーマルなワンピースドレスを着て、髪もセットしてる。
開業記者発表にテープカットと会社代表として業務を遂行していて、見ていてむしゃくしゃした。
「貴女がツーリストインからいなくなったから、5銀行からの借入金58億円、返済できなくて困ってるんだけど?創業者一族血筋の娘でしょ、何とかして」
半年ぶりに私と対面した灯里は、顔を強張せている。
「……私はツーリストインとはもう無関係です。融資返済に協力する義理はありません」
ツーリストインのために身を粉にして働いていた灯里が、見捨てる発言をしてくるとは思わなかった。
「パパが大赤字出してる古びた観光ホテルと旅館、ビジネスホテル、25軒こっちのいう額で買い取って貰えって。ルポグループの社長夫人だからできるでしょ?」
ぼったくり価格で785億円で売却する。
去年の純損益が92億円の赤字で今年もこのままいくと258億円の赤字になるってパパが言ってた。
ツーリストインの負債額は825億円だから、ゴミホテルを灯里に買い取らせれば、ツーリストインの負債を相殺する事ができる。
「で、できるわけないでしょ!!」
「ツーリストインが倒産するわよ」
「M&A仲介会社に建築物の査定依頼していいなら、検討する。58億円作らないといけないんだろ?」
式典に出席していなかった永峰優司グループ社長がなぜか居て、私達の会話を聞いていた。
「リブランド担当社員とM&A仲介会社社員をツーリストイン本社に向かわせる。話は終わりだ。灯里、行くぞ」
長身で超絶イケメンな男に睨まれ、怯む。
私に見惚れるでなく睨みつけてくるなんて、有り得ない。
灯里の腰に手を添え、送迎車の黒塗りBMWにエスコートし、私を置いて、2人は颯爽と去っていった。
「ゴミホテルを1000億円以上で買い取らせてやる!!」
杜撰な対応をされ、猛烈に腹が立った。
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