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とんでもない人とワンナイトラブ
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肌触りのいいシーツにスプリングが効いたマットレス。
ふかふかの羽布団に包まれ、眠る。
ツーリストインでは提供できない最高級のベッドの寝心地の良さに、ずっと横になっていたいと思ってしまう。
「おい、灯里、起きろっ!!」
独り寂しくザ・リット・カールトン東京に宿泊し、私は最上階にあるTHE BARのカウンター席でカクテルをやけ呑みし、それ以降、記憶が曖昧。
仕立てのいいスーツを着た超絶イケメンが私の隣に座り、愚痴を聞いてくれて、意気投合し、一夜を共にした事を思い出し、焦る。
恐る恐る顔を上げると、ビシッとスーツに身を包んだ端正な顔立ちをした男性が立っていた。
「俺の仕事を手伝ってくれるんだろ?早く着替えろ、遅刻する!!」
ボストンバックを目の前に置かれ、起き上がる。
「……お願い、部屋から出てって!!」
酔った勢いでやらかした情事を思い出し、慌てふためく。
明け方まで、私はこの男に抱かれた。
「恥ずかしがっても遅い。灯里の全てを俺は見た。後ろを向いててやるから、とにかく着替えろ!!」
ボストンバックをベッドに持ち上げ、布団の中に立てこもり、下着を身につける。
さすがにスーツは布団の中では着れないから、男性がいない側に降り、しゃがんで身を隠しながら着替える。
「俺の横に立つんだから、もっと華やかな服装をしろ。仕方がない、服を買いに行くか」
着替えが済んだ私を見て、服装が気に食わなかった男性は、私の左手首を掴むと、引っ張り部屋から連れ出そうとする。
慌ててボストンバックを掴み、彼に着いて出る。
フロントでの支払いにブラックカードを取り出し、宿泊費とBARで飲み食いしたお金をスマートに支払い、外に出ると、すぐにブラックのメルセデスベンツが迎えに停まった。
まさかの運転手付きの役員車で、後部座席乗り込むと、iPadを取り出し、何かを調べ始めた。
「佐藤さん、銀座にあるハイブランドショップ、回ってくれる?」
エルメスに、シャネル、プラダ、バーバリーグッチ、ティファニーなどの店舗を周り、アクセサリーやバック、パンプスにスーツとワンピースを購入していく。
「……ハイブランド品をこんなに買い与えられると、困ります」
「気にするな。その分、灯里には働いて貰うから」
ツーリストインの御令嬢だったけど、こんな散財した事がない。
祖父から、商談相手から見下されないよう高品質な物を身につけるよう教育されてきたが、ハイブランドには手を出した事はない。
「そろそろ会社に行くか」
左手首に着けているパテック・フィリップの腕時計をチラッと見た得体の知れない大金持ち。
酔っ払ってハイになっていた私は、彼に仕事を手伝うと言ってしまったみたいだが、何の事業を手がけているかを知らない。
彼が勤めている会社どころか彼の名前も分からなく、何をさせられるか恐怖でしかない。
「……ルポグループ!!」
「……名刺渡しただろう。俺、ここの3代目社長。俺の片腕になる嫁を探していた。ツーリストインの有能な御令嬢が婚約破棄され会社からも追い出されたと知ったら、嫁に拐うだろ?」
ホテル業界No.2のルポグループ。
マンション、ホテル、テナントビル、アーバン・リゾートなどの都市開発を行う企業て、総合建設(企画、設計、建設)、総合不動産(開発、売買、仲介、賃貸、鑑定)に、ホテル・チェーン、レストラン・チェーン、レジャー産業運営まで手がけている。
売上高が2千万円超えと競争の激しい業界で業績不振に陥らず勝ち抜いていている。
ツーリストインと規模が違いすぎる。
「……私、ツーリストインとはもう無関係な人間ですよ!!」
「倒産寸前の会社を立て直した灯里の経営者としての能力を買ってる。ツーリストインの人間でなくなって良かった。じゃあ、契約書にサインして貰おうか!!」
社長室に連れてかれ、彼が持ってきた契約書に顔が引き攣る。
「……これ、婚姻届ですよね?」
「ああ、不都合あるか?」
「大ありです!!出会った次の日に結婚なんて、さすがに無理!!」
「異母妹と元婚約者、父親に復讐したいんだろ!!俺と結婚しただけで彼らにとって脅威になると思うが!!」
結婚寸前の破談。会社からの追い出され、心身共にドン底まで私は堕ちてしまった。
少し悩んだ末に、私は婚姻届にサインした。
「灯里、今日から俺の奥さんとして、しっかり働いてくれよ!!」
永峰優司32歳と私、藤坂灯里25歳は、出会って次の日に婚姻届を提出し、夫婦になった。
そして、同日が大安の平日で都内のラグジュアリーホテルの結婚式場が空いてるからと、結婚式を行った。
突然呼ばれて参列した招待客はさぞ迷惑だっただろう。
だけど、飲み感覚で200人以上が全国各地から集まった。
“ルポグループ社長、ゲリラ婚”
マスコミも招待され、ネットニュースやテレビの情報番組に取り上げられ、お家騒動的な注目を受けてしまった。
ふかふかの羽布団に包まれ、眠る。
ツーリストインでは提供できない最高級のベッドの寝心地の良さに、ずっと横になっていたいと思ってしまう。
「おい、灯里、起きろっ!!」
独り寂しくザ・リット・カールトン東京に宿泊し、私は最上階にあるTHE BARのカウンター席でカクテルをやけ呑みし、それ以降、記憶が曖昧。
仕立てのいいスーツを着た超絶イケメンが私の隣に座り、愚痴を聞いてくれて、意気投合し、一夜を共にした事を思い出し、焦る。
恐る恐る顔を上げると、ビシッとスーツに身を包んだ端正な顔立ちをした男性が立っていた。
「俺の仕事を手伝ってくれるんだろ?早く着替えろ、遅刻する!!」
ボストンバックを目の前に置かれ、起き上がる。
「……お願い、部屋から出てって!!」
酔った勢いでやらかした情事を思い出し、慌てふためく。
明け方まで、私はこの男に抱かれた。
「恥ずかしがっても遅い。灯里の全てを俺は見た。後ろを向いててやるから、とにかく着替えろ!!」
ボストンバックをベッドに持ち上げ、布団の中に立てこもり、下着を身につける。
さすがにスーツは布団の中では着れないから、男性がいない側に降り、しゃがんで身を隠しながら着替える。
「俺の横に立つんだから、もっと華やかな服装をしろ。仕方がない、服を買いに行くか」
着替えが済んだ私を見て、服装が気に食わなかった男性は、私の左手首を掴むと、引っ張り部屋から連れ出そうとする。
慌ててボストンバックを掴み、彼に着いて出る。
フロントでの支払いにブラックカードを取り出し、宿泊費とBARで飲み食いしたお金をスマートに支払い、外に出ると、すぐにブラックのメルセデスベンツが迎えに停まった。
まさかの運転手付きの役員車で、後部座席乗り込むと、iPadを取り出し、何かを調べ始めた。
「佐藤さん、銀座にあるハイブランドショップ、回ってくれる?」
エルメスに、シャネル、プラダ、バーバリーグッチ、ティファニーなどの店舗を周り、アクセサリーやバック、パンプスにスーツとワンピースを購入していく。
「……ハイブランド品をこんなに買い与えられると、困ります」
「気にするな。その分、灯里には働いて貰うから」
ツーリストインの御令嬢だったけど、こんな散財した事がない。
祖父から、商談相手から見下されないよう高品質な物を身につけるよう教育されてきたが、ハイブランドには手を出した事はない。
「そろそろ会社に行くか」
左手首に着けているパテック・フィリップの腕時計をチラッと見た得体の知れない大金持ち。
酔っ払ってハイになっていた私は、彼に仕事を手伝うと言ってしまったみたいだが、何の事業を手がけているかを知らない。
彼が勤めている会社どころか彼の名前も分からなく、何をさせられるか恐怖でしかない。
「……ルポグループ!!」
「……名刺渡しただろう。俺、ここの3代目社長。俺の片腕になる嫁を探していた。ツーリストインの有能な御令嬢が婚約破棄され会社からも追い出されたと知ったら、嫁に拐うだろ?」
ホテル業界No.2のルポグループ。
マンション、ホテル、テナントビル、アーバン・リゾートなどの都市開発を行う企業て、総合建設(企画、設計、建設)、総合不動産(開発、売買、仲介、賃貸、鑑定)に、ホテル・チェーン、レストラン・チェーン、レジャー産業運営まで手がけている。
売上高が2千万円超えと競争の激しい業界で業績不振に陥らず勝ち抜いていている。
ツーリストインと規模が違いすぎる。
「……私、ツーリストインとはもう無関係な人間ですよ!!」
「倒産寸前の会社を立て直した灯里の経営者としての能力を買ってる。ツーリストインの人間でなくなって良かった。じゃあ、契約書にサインして貰おうか!!」
社長室に連れてかれ、彼が持ってきた契約書に顔が引き攣る。
「……これ、婚姻届ですよね?」
「ああ、不都合あるか?」
「大ありです!!出会った次の日に結婚なんて、さすがに無理!!」
「異母妹と元婚約者、父親に復讐したいんだろ!!俺と結婚しただけで彼らにとって脅威になると思うが!!」
結婚寸前の破談。会社からの追い出され、心身共にドン底まで私は堕ちてしまった。
少し悩んだ末に、私は婚姻届にサインした。
「灯里、今日から俺の奥さんとして、しっかり働いてくれよ!!」
永峰優司32歳と私、藤坂灯里25歳は、出会って次の日に婚姻届を提出し、夫婦になった。
そして、同日が大安の平日で都内のラグジュアリーホテルの結婚式場が空いてるからと、結婚式を行った。
突然呼ばれて参列した招待客はさぞ迷惑だっただろう。
だけど、飲み感覚で200人以上が全国各地から集まった。
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