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体調不良で当たり散らす

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妊娠悪阻が酷く体調が優れない事から桐谷のマンションで桐谷にずっと監視されて生活を送るはめになったわたし。

「……美結、体調悪いなら仕事休め」

「……休まない」

食事が全く取れず水分も受け付けなくて、朝、昼、夕方に社内医務室で特別に点滴を入れて貰ってなんとか仕事をしてる。

妊娠初期は流産のリスクが高い時期だから、『仕事を休め』と桐谷に言われ続け、それに対し腹が立ち、反抗心で仕事をしてるのもある。


『俺は唯川に対して謝らない。謝る行為は唯川のお腹の中にできた命を否定する事になるから。だから、俺はお腹の中の子と唯川を世界一幸せにする。唯川、俺の奥さんになって、子供を一緒に育てよう』

桐谷が酔っ払って意識がないわたしを抱いて妊娠させたから、わたしは桐谷の奥さんにならないといけなくなった。

結婚は決定事項のように話が進む。

わたしは桐谷に対して男友達以上の感情はなかった。
そして、ワンナイトLOVE以降はわたしは桐谷を男友達以下の嫌いな同僚と位置付けてた。

なのに、結婚しないといけない。
……悔しくて、毎日、わたしはシングルベッドに横になって泣いてる。


「美結ちゃん、体調はどう?」

医務室で点滴を入れて貰ってたら、副社長が様子を見にきてくれた。

シャネルのベージュのパンツスーツがとても似合う副社長。
副社長は20年間自動車メーカー世界2位のトミタでエンジン制御開発のエンジニアをされてた。
エンジン制御ECUシステムについて詳しくて、なにかトラブルが起きるたびに副社長がその対応をしてスピィーディーに解決させてる。
副社長は女性エンジニアの憧れの存在。

「……大丈夫です。ご心配おかけしてすみません」

「美結ちゃん、無理はしたらダメよ。仕事は遥翔に押し付けていいんだから。美結ちゃんとお腹の子が心配でならないから、安定期になるまでは有給使って休んで欲しい」

副社長が妊娠悪阻が終わるまで仕事を休むよう説得にきたようだった。

桐谷はわたしが副社長の事を尊敬してる事を知ってる。
だから桐谷が副社長にわたしを説得するようお願いしたんだと思う。

副社長に言われたら従うしかできず、妊娠悪阻が治るまでは仕事を休む事になった。


………
………………
仕事を休みたくないのに休むはめになり、仕事を終えて帰ってきた桐谷に、帰るなりクッションや本やリモコンを投げたわたし。

「副社長に仕事を休むよう言われたんだけど……桐谷が頼んだんでしょ!!」

桐谷は何も言わずにいた。妊娠初期は多感な時期でヒステリックなると諦めてるらしい……。

わたしは自分の部屋に入ってこもった。

桐谷と夫婦になり子供を育てるなんて無理だとわたしは思った。




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