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父親だとしても関係ない
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「頼翔、朝ご飯よ!起きなさい!!」
ダイニングテーブルに頼翔の大好物のツナサンドとフルーツヨーグルトを用意し、愛息子を起こす。
「ーーママ、抱っこして」
「頼翔は甘えん坊なんだから」
寝起きで寝ぼけている頼翔をむぎゅっと抱きしめる。
「幼稚園に遅れちゃうから終わり、朝ご飯を食べて、制服に着替えて!!」
まだ抱っこしていて欲しそうだけど、時間がない。
「はーい!!」
ダイニングへ行き、自分のイスに座り、頼翔はサンドイッチを頬張る。
自分が産んだ子供は、かけがえのない存在で、無条件に可愛い。
「伽音ちゃん、相葉社長と一度会ってちゃんと話した方がよくない?」
Stock tradingリリース記念パーティーから1ヶ月が経った。
仕事も立て込んでいてそれどころじゃないのもあり、相葉社長の事は考えないようにしてる。
「話さなくてもいいよ。あの夜の相手が相葉社長かもしれないけど、だからといって、頼翔が自分の息子だとはわからないじゃん。私が他の男性とやってる可能性だってあるんだから!!」
凛花ちゃんと元クソ夫のあの卑猥な行為の映像が頭に流れ、それが私と相葉社長に置き換えられ、気持ち悪くなる。
「頼翔には父親はいない。必要ない。凛花ちゃんだっているし、翔兄だって遊んでくれるし!!」
私には身内は誰もいない。
だけど、凛花ちゃんと翔兄がいる。
アメリカにいた時も、学友やご近所さんが子育てを助けてくれた。
「……父親なんて必要ない」
思い出したくない昔の記憶が甦る。
私が小学3年生の夏休みの事。
祖父母の家に母と里帰りしてたのを、2日早め帰宅したら、自宅のリビングで、父が母以外の女性と、裸で抱き合ってた。
母は車に積んでいる祖父母がお土産にくれた野菜の入った段ボールを運ばないといけなくて、先に家の中に入った私は、父と見知らぬ女性が夢中で体を繋げてる行為を目にして、固まった。
父は、私や母には無関心で、週末も仕事で家をあける事があり、平日は深夜帰りが当たり前で帰って来ない時も多かった。
着替えと寝るために家に帰ってくる父。
夫や父親に対し、私はいいイメージがない。
凛花ちゃんの元クズ夫に対しても、男はそういう生き物だという偏見があり、傷つき、最終的に命を絶った母を見てたから、凛花ちゃんを支えたいと無意識に思った。
父の家族に無関心からの不貞と、それを苦に母の自殺。
“ちゃら”というアニキャラでシンガーソングライターをしてたのは、現実逃避するためだったのかもしれない。
“ちゃら”活動に夢中になり、私は父と母の事を考えなくなり、2人の事をすっかり忘れてた。
香坂伽音という自分自身を隠し、“ちゃら”として活動していたのは、活動を通ってる学校にばれたら退学処分に合うからもあったけど、惨めな自分を晒したくなかったから。
「……相葉社長、悪い人ではないよ。kittyの社員全員から慕われてるし、誠司くんに対しても、見捨てず支えて立ち直らせた」
離婚する際に元クズ夫からあんなに傷つけられたのに、凛花ちゃんは彼を赦し、恨んでない。
元クズ夫の愛情はもう戻ってこないと、諦めで離婚に承諾した。
嫌いになったわけではない。
だから、元クズ夫が元浮気相手と結婚し子供を産み、kittyでやり甲斐のある仕事をしている事を妬んだりしていない。
「“ちゃら”に対する一途な片想いは、凄まじいらしいよ。“ちゃら”グッズで埋もれた社長専用の開かずの間があるって、誠司さんが昔に言ってたから」
その行為が気持ち悪過ぎる。
想像するだけで、悪寒がする。
「ヤホトピに、瀬川翔真と“ちゃら”が結婚秒読みって出てる」
先週の土日に、頼翔にクリスマスイルミネーションを見せたくて、凛花ちゃんと翔兄と都内のスポットを回った。
私も翔兄も変装してたし、写真撮られたらいけないから、距離をとってた。
「翔兄が頼翔を肩車してるとこが撮られて、使われてる」
iPhoneに映るヤホトピ記事に目を通す。
「頼翔くん、翔真に懐いてるよね。本当の親子に見える。翔真なら血の繋がりないけど、良い父親になると思う。翔真と夫婦になったら?そしたら、相葉社長も諦めるしかないし!!」
久しぶりに凛花ちゃんをランチに誘い、考えないようにしていた相葉社長の事を言われ、気分が沈む。
「……仕事が落ち着いたら考える。今、年末年始休暇直前で納期に追われてるから」
翔兄なら、面倒見がいいから、良い父親になるかもしれない。
だけど、私は夫や父親という家族を、作りたいと思えない。
ダイニングテーブルに頼翔の大好物のツナサンドとフルーツヨーグルトを用意し、愛息子を起こす。
「ーーママ、抱っこして」
「頼翔は甘えん坊なんだから」
寝起きで寝ぼけている頼翔をむぎゅっと抱きしめる。
「幼稚園に遅れちゃうから終わり、朝ご飯を食べて、制服に着替えて!!」
まだ抱っこしていて欲しそうだけど、時間がない。
「はーい!!」
ダイニングへ行き、自分のイスに座り、頼翔はサンドイッチを頬張る。
自分が産んだ子供は、かけがえのない存在で、無条件に可愛い。
「伽音ちゃん、相葉社長と一度会ってちゃんと話した方がよくない?」
Stock tradingリリース記念パーティーから1ヶ月が経った。
仕事も立て込んでいてそれどころじゃないのもあり、相葉社長の事は考えないようにしてる。
「話さなくてもいいよ。あの夜の相手が相葉社長かもしれないけど、だからといって、頼翔が自分の息子だとはわからないじゃん。私が他の男性とやってる可能性だってあるんだから!!」
凛花ちゃんと元クソ夫のあの卑猥な行為の映像が頭に流れ、それが私と相葉社長に置き換えられ、気持ち悪くなる。
「頼翔には父親はいない。必要ない。凛花ちゃんだっているし、翔兄だって遊んでくれるし!!」
私には身内は誰もいない。
だけど、凛花ちゃんと翔兄がいる。
アメリカにいた時も、学友やご近所さんが子育てを助けてくれた。
「……父親なんて必要ない」
思い出したくない昔の記憶が甦る。
私が小学3年生の夏休みの事。
祖父母の家に母と里帰りしてたのを、2日早め帰宅したら、自宅のリビングで、父が母以外の女性と、裸で抱き合ってた。
母は車に積んでいる祖父母がお土産にくれた野菜の入った段ボールを運ばないといけなくて、先に家の中に入った私は、父と見知らぬ女性が夢中で体を繋げてる行為を目にして、固まった。
父は、私や母には無関心で、週末も仕事で家をあける事があり、平日は深夜帰りが当たり前で帰って来ない時も多かった。
着替えと寝るために家に帰ってくる父。
夫や父親に対し、私はいいイメージがない。
凛花ちゃんの元クズ夫に対しても、男はそういう生き物だという偏見があり、傷つき、最終的に命を絶った母を見てたから、凛花ちゃんを支えたいと無意識に思った。
父の家族に無関心からの不貞と、それを苦に母の自殺。
“ちゃら”というアニキャラでシンガーソングライターをしてたのは、現実逃避するためだったのかもしれない。
“ちゃら”活動に夢中になり、私は父と母の事を考えなくなり、2人の事をすっかり忘れてた。
香坂伽音という自分自身を隠し、“ちゃら”として活動していたのは、活動を通ってる学校にばれたら退学処分に合うからもあったけど、惨めな自分を晒したくなかったから。
「……相葉社長、悪い人ではないよ。kittyの社員全員から慕われてるし、誠司くんに対しても、見捨てず支えて立ち直らせた」
離婚する際に元クズ夫からあんなに傷つけられたのに、凛花ちゃんは彼を赦し、恨んでない。
元クズ夫の愛情はもう戻ってこないと、諦めで離婚に承諾した。
嫌いになったわけではない。
だから、元クズ夫が元浮気相手と結婚し子供を産み、kittyでやり甲斐のある仕事をしている事を妬んだりしていない。
「“ちゃら”に対する一途な片想いは、凄まじいらしいよ。“ちゃら”グッズで埋もれた社長専用の開かずの間があるって、誠司さんが昔に言ってたから」
その行為が気持ち悪過ぎる。
想像するだけで、悪寒がする。
「ヤホトピに、瀬川翔真と“ちゃら”が結婚秒読みって出てる」
先週の土日に、頼翔にクリスマスイルミネーションを見せたくて、凛花ちゃんと翔兄と都内のスポットを回った。
私も翔兄も変装してたし、写真撮られたらいけないから、距離をとってた。
「翔兄が頼翔を肩車してるとこが撮られて、使われてる」
iPhoneに映るヤホトピ記事に目を通す。
「頼翔くん、翔真に懐いてるよね。本当の親子に見える。翔真なら血の繋がりないけど、良い父親になると思う。翔真と夫婦になったら?そしたら、相葉社長も諦めるしかないし!!」
久しぶりに凛花ちゃんをランチに誘い、考えないようにしていた相葉社長の事を言われ、気分が沈む。
「……仕事が落ち着いたら考える。今、年末年始休暇直前で納期に追われてるから」
翔兄なら、面倒見がいいから、良い父親になるかもしれない。
だけど、私は夫や父親という家族を、作りたいと思えない。
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