The one I really love

鳴宮鶉子

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逃げたくても逃げれない

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「大貴、今日帰ってくるの早いんだよね?」
「あぁーー、行ってくる!!」

大貴と一緒にいるのが居心地がよくて、実家の父と母に東京に帰ると嘘ついて大貴の家に上がり込んだ。

*****

「凛花ちゃん、 トップページのレウアウト変更とランキングロジック変更の企画書できた?」
「なんとかね。さっき、長谷川さんに提出してきた」

凪沙ちゃんから小説投稿サイトの改善の相談でLINE通話でかかってきて、その時に、京都に帰ってきてるのを伝えたら、凪沙ちゃんに泣きつかれ、中途社員としてIT関連会社 クエッションで働く事になった。
高専時代にアルバイトをしていたのもあり、エンジニアの上層部と和気藹々な関係が築けているから仕事がやりやすい。

「新着速報と完結速報を大きく出すんだ」
「うん。ランキングより、その方が多くの作品がトップページにのるでしょ。どうしてもランキングは固定の人がのるから、新参者が埋もれちゃうでしょ」

タグで好みの作品が検索できる機能も追加したから、サイト内がごちゃごちゃしてしまった。

「 この “いいね”の数で注目ピックアップで表示するの必要なの?」
「“いいね”ってブログやYouTubeとツイッターとかでもあるし……」
「でも、“いいね”の数でのランキングはないよ」

トップページの変更したレウアウトを見ながら、しっくりこなくてため息をつく。

「凛花ちゃん、この仕事が終わったらゲームアプリ開発の部署に異動するの?」

「うん。ゲームアプリ開発の仕事、やってみたかったんだ!!」

webサイト開発と運営の仕事よりも、アプリ開発の仕事がしたい。
ゲームアプリ開発の部署に配属して貰う事を条件に中途社員として入社した。


*****

「大貴、おかえり!!」
午後7時半に大貴が帰ってきた。

「今日は手作りなんだ。美味そう!!」
大貴が定時退社する日だから、急いで帰ってきて、肉じゃがと鮭の塩焼きと白菜とえのきの味噌汁を作った。

「……ねぇ、ご飯とお風呂と私、先にどれにする?」
「ーー メシ!!」
「……ここは、私を選ぶとこじゃない?」

頬を膨らませて拗ねると、大貴が私を抱きしめて唇にキスを落とす。

「先にご飯食べて風呂入ってから、凛花と遊びたい。凛花が俺のために作ってくれたご飯を早く食べたいし」

一緒にご飯を食べて、ゲームをして、大人の遊びをして、幸せな日々を送ってた。


「大貴、来月から私、ゲームアプリ開発の部署に異動するんだ!!」
「そっか、じゃあ、新作のデルタの伝説で連動アプリゲームをクエッションに依頼するから、もしかしたら仕事で絡むかもしれないな」
「そうなんだ!!楽しみ!!」

大貴と付き合い始めて3ヶ月が経った。
毎日が幸せで楽しくて順風満帆だった。

ーー こんな日がずっと続くと思ってた。


大貴との生活が楽しくて、湊の事をすっかり忘れてたわたし。

母からLINE通話がかかってきて、『凛花、あなた、今、どこで何してるの?湊さんと御両親がさっき、一族の騒動が解決したから凛花に戻ってきて欲しいと挨拶にみえたんだけど、もう、何も心配しないでいいって、だから、湊さんのところに帰りなさい!!」と言われ焦った。

離婚届を突き出して出ていったから、湊と離婚して自由な身になったと思ってた。

日曜日の夕方、大貴とワリオパーティをしてる時に母からこんな電話がかかってきて、盛り上がってたのに、気持ちが塞ぎ込んでしまった。

「……お母さんから電話、なんて?」
「……うん。なんか夫が、私との結婚を親族一同に認めさせたとかで、帰ってくるよう両親を連れて実家に来たみたいで……。私、大貴と離れたくない……」

茫然としてる私を大貴が抱きしめる。

「俺も凛花と離れたくない。ここにいろ。旦那がお前を探し始めたかもしれないから、仕事は辞めて、家の中でじっとしてて」

IT関連ベンチャー企業で初期にアルバイトをしていたのもあり、上層部に可愛がって貰えてたから事情を受け入れてくれてすぐに退職させて貰えた。

湊が興信所を使って私を探してるかもしれない。

ーー 湊の元に戻りたくない。大貴とずっと一緒にいたい。



インターフォンが鳴るたびに身体がビクッとなる。
湊かもしれないと思うと、ネット購入した商品を受け取るのも怖くて、大貴がいる週末の夜に届くよう時間指定をした。

湊に脅える生活を送り始めて1ヶ月後の金曜日……。
家のドアが開いて、大貴だと思って玄関に迎えにいくと、湊がいた。
湊の背後には黒服を着た男2人に腕を持たれ拘束された大貴がいて、見えないところを殴られたようで、痛みで顔をしかめてた。

「……凛花、迎えにきたよ。一緒に帰ろうか」

ーー 逃げたくても、逃げれない。

立ち竦んでいたら、痺れを切らした湊に手首を引っ張られた。

慌ててピンクベージュのパンプスに足を入れた。

黒服の2人が大貴を玄関に置いて、そして、私と大貴の背後を着いてきた。

ーー 逃げるのは、不可能。

下に待たせていたタクシーに乗せられ、京都駅まで行き、新幹線で東京に連れていかれた。



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