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コウノトリがやってこない
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雅人さんと子作りを始め、毎日避妊をせずにわたしの中に精を放出してるのに子供がなかなかできない。
産婦人科に行くとわたしが子供ができにくい体質で、ホルモン注射をして体質改善をする事にした。
わたしとの子を熱望してる雅人さんに申し訳なく思う。
子作りを開始して3度目のリセットで心が折れる。
「……雅人さん、わたしと夫婦でいたら子供を抱けないですよ。だから、離婚しませんか……」
生理がくるたびに不安定になる。
雅人さんは、泣きじゃくるわたしをただ抱きしめ、胸の中で泣かせてくれる。
「俺は葵の家族になりたい。例え、子供ができなくても、俺を葵の隣にいさせてくれないか……」
雅人さんは家族がいないわたしに、温かい家族を作ろうとしてくれてた。
雅人さんに、わたしの父と母が大学時代に事故死して、親戚とも疎遠な事は話した事はある。
でも、雅人さんはわたしが話してないわたしの情報を知ってた。
父がIT企業を起こしてAI分野で活躍するエンジニアだった。
だから、そんな父に憧れてわたしは京大の情報工学科に進んだ。
でも、父みたいに理的なセンスがなく、父が亡くなってから父の事業を引き継いだNACテクノシステムのシステム開発第1課でSEとして勤めるもサポート業務しか務まらなかった。
雅人さんがわたしとの結婚を決めた理由に父との約束があったのではと、頭によぎる事がある。
親友の紗和ちゃんが妊娠初期流産で入院した。
紗和ちゃんは『ハメられて結婚したから子供なんて考えられない』といつも言ってたけど、相手の速水くんが性欲の塊で避妊していてもできてしまったらしい……。
速水くんの事だから計画的にやらかしてたんじゃないかなっと思ったけど、盛った雄だからかやりすぎで紗和ちゃんが妊娠して切迫流産しかけた。
『紗和さん、仕事ができるからついつい仕事を任せて過労もあったのかもしれない』
直属の上司の雅人さんが労災で対応したけど、絶対に速水くんのせい。
紗和ちゃんは仕事ができるから、あの悪質な婚活女子達を仕事の出来でギャフンと言わせた。
でも、
『調子に乗って仕事をするから倒れるのよ。重要な仕事を請け負ってるのに妊娠なんかして、責任感のかけらもない』
婚活女子達の影の罵声。紗和ちゃんの代わりができる人がいないから、紗和ちゃんに対する罵声に腹立てた雅人さんと速水くんが、紗和ちゃんの仕事を速水くんが引き受けると言って課員を黙らせた。
『速水くんを3課のPMに引き上げるきっかけになるかもしれない。1課の複雑な案件を全て速水くんにさせよう』
PM試験は去年合格してる速水くん。
PMの空きがないからPLをしてる。
3課の斎藤PMは仕事でよくポカするし知識も乏しくて、速水くんが尻拭いをしPMの仕事をしてた。
紗和ちゃんは退院後も絶対安静で、3課に配属されたわたしは紗和ちゃんみたいには仕事ができないから速水くんが代わりに引き受けてくれて今まで通りにSEのサポート業務をする。
かなり多忙な速水くん。だから、わたしは紗和ちゃんの家事のサポートをした。
立ち歩き厳禁な紗和ちゃん。
重い物も持ったらいけない。
毎日、家でベッドに横になり上半身起き上がってノートパソコンを開いてプログラムを組む仕事をしてる。
毎朝、地下のスーパー成城石田で美味しそうな体に良さそうなお惣菜とフルーツと天然水を差し入れする。
少しずつ膨らんでいくお腹を見るのが辛かった。
紗和ちゃんは仕事もできて、願ってないのに赤ちゃんができて、でも、その命はかなり危険な状態だと速水くんが言ってた。
紗和ちゃんのお腹の中に芽生えた赤ちゃん、無事に産まれてきて欲しい。
わたしは子供には恵まれないかもしれない。
でも、紗和ちゃんと速水くんの子供の成長を身近でみられる。
*****
「葵、俺の両親のスケジュールが合いたから、今週末に合わせたい」
結婚して半年経って、やっと雅人さんのご両親とお会いする。
グランドプリンセスホテル銀座の最上階にあるレストラン ソレイユで初対面した雅人さんのお父様にお目にかかり、固まる。
雅人さんは、NACテクノシステムの社長の息子だった。
雅人さんがNACテクノシステムの次期社長と知り、子供ができない身体のわたしはかなり狼狽えた。
「葵ちゃんは覚えてないかもしれないけれど、葵ちゃんのお父さんと私は大学時代からの親友で、昔は家族ぐるみで仲良くしてたんだよ。
雅人が中学に上がる頃までは同じマンションに住んでいて、雅人が葵ちゃんが産まれた日からずっと可愛がってた。
将来、葵ちゃんをお嫁さんにすると雅人が言っていて、まさか現実になるとは思わなかった。
雅彦の娘を嫁に貰えて、私は嬉しく思ってる……」
NACテクノシステムの社長をしている雅人さんのお父さんがレストランの席に着き、前菜が運ばれて食べ進めてると急に泣き出した。
「……葵ちゃんに言うべきか悩んだがら、葵ちゃんに真実を伝えないといけないと思い打ち明ける。本当は墓場まで持っていかないといけないと思ったがすまない……。
葵ちゃんのお父さんとお母さんは、事故とみせかけて殺された。
葵ちゃんのお父さんが開発したAI技術がNACテクノシステムの社員に盗まれ、その盗んだ社員のによって事故にみせかけて殺された」
社長の口から父と母の事故死の真相が語られた。
父と母は事故死ではなく、殺された。
でも、証拠はなく、事故死として片付けられた。
父がNACテクノシステムと深い結びつきがあった。
NACテクノシステムで働かずに起業した理由は、父が社長と深い親交があり妬みによる嫌がらせ行為があり、独立してNACテクノシステムの研究開発会社として最新技術を産み出してたらしい……。
「葵ちゃん、私達は葵ちゃんが雅人の奥さんとして幸せになる事だけを願ってる。孫の顔は求めてない。雅人の奥さんとして私の娘でいてくれ」
かなり衝撃的な真実を聞かされ、三つ星フレンチ料理が全く喉に通らなかった。
雅人さんがわたしと結婚した理由に対しても、NACテクノシステム絡みの妬みでわたしの両親が殺されたからその責任をとるためなのではと思ってしまった。
産婦人科に行くとわたしが子供ができにくい体質で、ホルモン注射をして体質改善をする事にした。
わたしとの子を熱望してる雅人さんに申し訳なく思う。
子作りを開始して3度目のリセットで心が折れる。
「……雅人さん、わたしと夫婦でいたら子供を抱けないですよ。だから、離婚しませんか……」
生理がくるたびに不安定になる。
雅人さんは、泣きじゃくるわたしをただ抱きしめ、胸の中で泣かせてくれる。
「俺は葵の家族になりたい。例え、子供ができなくても、俺を葵の隣にいさせてくれないか……」
雅人さんは家族がいないわたしに、温かい家族を作ろうとしてくれてた。
雅人さんに、わたしの父と母が大学時代に事故死して、親戚とも疎遠な事は話した事はある。
でも、雅人さんはわたしが話してないわたしの情報を知ってた。
父がIT企業を起こしてAI分野で活躍するエンジニアだった。
だから、そんな父に憧れてわたしは京大の情報工学科に進んだ。
でも、父みたいに理的なセンスがなく、父が亡くなってから父の事業を引き継いだNACテクノシステムのシステム開発第1課でSEとして勤めるもサポート業務しか務まらなかった。
雅人さんがわたしとの結婚を決めた理由に父との約束があったのではと、頭によぎる事がある。
親友の紗和ちゃんが妊娠初期流産で入院した。
紗和ちゃんは『ハメられて結婚したから子供なんて考えられない』といつも言ってたけど、相手の速水くんが性欲の塊で避妊していてもできてしまったらしい……。
速水くんの事だから計画的にやらかしてたんじゃないかなっと思ったけど、盛った雄だからかやりすぎで紗和ちゃんが妊娠して切迫流産しかけた。
『紗和さん、仕事ができるからついつい仕事を任せて過労もあったのかもしれない』
直属の上司の雅人さんが労災で対応したけど、絶対に速水くんのせい。
紗和ちゃんは仕事ができるから、あの悪質な婚活女子達を仕事の出来でギャフンと言わせた。
でも、
『調子に乗って仕事をするから倒れるのよ。重要な仕事を請け負ってるのに妊娠なんかして、責任感のかけらもない』
婚活女子達の影の罵声。紗和ちゃんの代わりができる人がいないから、紗和ちゃんに対する罵声に腹立てた雅人さんと速水くんが、紗和ちゃんの仕事を速水くんが引き受けると言って課員を黙らせた。
『速水くんを3課のPMに引き上げるきっかけになるかもしれない。1課の複雑な案件を全て速水くんにさせよう』
PM試験は去年合格してる速水くん。
PMの空きがないからPLをしてる。
3課の斎藤PMは仕事でよくポカするし知識も乏しくて、速水くんが尻拭いをしPMの仕事をしてた。
紗和ちゃんは退院後も絶対安静で、3課に配属されたわたしは紗和ちゃんみたいには仕事ができないから速水くんが代わりに引き受けてくれて今まで通りにSEのサポート業務をする。
かなり多忙な速水くん。だから、わたしは紗和ちゃんの家事のサポートをした。
立ち歩き厳禁な紗和ちゃん。
重い物も持ったらいけない。
毎日、家でベッドに横になり上半身起き上がってノートパソコンを開いてプログラムを組む仕事をしてる。
毎朝、地下のスーパー成城石田で美味しそうな体に良さそうなお惣菜とフルーツと天然水を差し入れする。
少しずつ膨らんでいくお腹を見るのが辛かった。
紗和ちゃんは仕事もできて、願ってないのに赤ちゃんができて、でも、その命はかなり危険な状態だと速水くんが言ってた。
紗和ちゃんのお腹の中に芽生えた赤ちゃん、無事に産まれてきて欲しい。
わたしは子供には恵まれないかもしれない。
でも、紗和ちゃんと速水くんの子供の成長を身近でみられる。
*****
「葵、俺の両親のスケジュールが合いたから、今週末に合わせたい」
結婚して半年経って、やっと雅人さんのご両親とお会いする。
グランドプリンセスホテル銀座の最上階にあるレストラン ソレイユで初対面した雅人さんのお父様にお目にかかり、固まる。
雅人さんは、NACテクノシステムの社長の息子だった。
雅人さんがNACテクノシステムの次期社長と知り、子供ができない身体のわたしはかなり狼狽えた。
「葵ちゃんは覚えてないかもしれないけれど、葵ちゃんのお父さんと私は大学時代からの親友で、昔は家族ぐるみで仲良くしてたんだよ。
雅人が中学に上がる頃までは同じマンションに住んでいて、雅人が葵ちゃんが産まれた日からずっと可愛がってた。
将来、葵ちゃんをお嫁さんにすると雅人が言っていて、まさか現実になるとは思わなかった。
雅彦の娘を嫁に貰えて、私は嬉しく思ってる……」
NACテクノシステムの社長をしている雅人さんのお父さんがレストランの席に着き、前菜が運ばれて食べ進めてると急に泣き出した。
「……葵ちゃんに言うべきか悩んだがら、葵ちゃんに真実を伝えないといけないと思い打ち明ける。本当は墓場まで持っていかないといけないと思ったがすまない……。
葵ちゃんのお父さんとお母さんは、事故とみせかけて殺された。
葵ちゃんのお父さんが開発したAI技術がNACテクノシステムの社員に盗まれ、その盗んだ社員のによって事故にみせかけて殺された」
社長の口から父と母の事故死の真相が語られた。
父と母は事故死ではなく、殺された。
でも、証拠はなく、事故死として片付けられた。
父がNACテクノシステムと深い結びつきがあった。
NACテクノシステムで働かずに起業した理由は、父が社長と深い親交があり妬みによる嫌がらせ行為があり、独立してNACテクノシステムの研究開発会社として最新技術を産み出してたらしい……。
「葵ちゃん、私達は葵ちゃんが雅人の奥さんとして幸せになる事だけを願ってる。孫の顔は求めてない。雅人の奥さんとして私の娘でいてくれ」
かなり衝撃的な真実を聞かされ、三つ星フレンチ料理が全く喉に通らなかった。
雅人さんがわたしと結婚した理由に対しても、NACテクノシステム絡みの妬みでわたしの両親が殺されたからその責任をとるためなのではと思ってしまった。
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