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ライトアップ馬車に乗って
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「……か、神崎拓磨がなんでこんなところに、結衣といる!!」
私の後ろ姿を見つけて駆け寄ってきた将生くんが、拓磨くんを見て目をぱちくりさせる。
札幌駅東コンコース南口から私が出てくるのを待っていた将生くん。
「結衣の元夫、久保将生さんこそなんでこんなところに?」
拓磨くんも、元夫の将生くんが私を待ち伏せしている事に怪訝な表情を浮かべる。
「俺は今、札幌支社に出向でいて、それで結衣とさっぽろホワイトイルミネーションライトアップ馬車に乗る約束をしているんです」
さっぽろホワイトイルミネーションのライトアップ馬車の発射時刻が近づいていて、将生くんは腕時計をチラチラと見る。
「結衣、約束したの?」
「……馬車に乗るのは断りましたが、車でここまで連れてきて貰いました」
クリスマスデートはちゃんと断った。
「もしかして、結衣と神崎さん、付き合ってる?結衣のお腹の子の父親って神崎さん?はっ、神崎さん、三木不動産の代表取締役会長の孫娘と結婚するんじゃ、ーー結衣を愛人にするつもりか!!」
カッと頭に血が上った将生くんが拓磨くんの胸ぐらを掴む。
「……お腹の子?結衣、妊娠してるのか?」
拓磨くんに子供ができた事を打ち明けていない。
「お腹の子は俺の子に違いないな」
私のお腹を見て悟った拓磨くん。
「子供ができようができまいが俺は結衣と結婚して夫婦になるつもりだった。三木不動産の代表取締役会長の孫娘と結婚?何それ、するわけないだろ!!」
拓磨くんが胸ぐらを掴んでいる将生くんの手を跳ね除けた。
信じられないといった表情で拓磨くんを睨みつける将生くん。
「本当はこんなところでは渡したくなかったけど、信じて貰えないから今渡す」
トランクケースからハリーウィンストンのジュエリーケースを取り出した拓磨くん。
「結衣、俺と結婚して下さい。一緒に支え合って生きていこう」
私の前に跪き、ジュエリーケースをパカっと開けた。
中には大きなラウンドダイヤモンドに2粒ずつサイドに小さなダイヤが添えられた華麗な指輪が入っていた。
どうしたらいいか戸惑いつつ左手を差し出すと、手の甲にキスを落としてからケースから指輪を取り出し、薬指にはめられた。
クリスマスイブの札幌駅前。
クリスマスイルミネーションで多くのカップルがデートで訪れていて、いつのまにかギャラリー化した彼らに拍手され祝福された。
「……結衣、幸せになれよ。神崎さん、結衣を幸せにしてやって下さい」
跪いていた拓磨くんが立ち上がると、将生くんはそう声をかけた。
「結衣、クリスマスプレゼントにこれやる。せっかくだから神崎さんとさっぽろホワイトイルミネーションを見て回れよ。じゃ」
私にライトアップ馬車ツアーのチケットを握らせ、将生くんは後ろを向いて去って行く。
「結衣、乗らして貰おう」
ライトアップ馬車発車時刻まで後5分。
ギャラリーから逃げるよう、拓磨くんとライトアップ馬車に乗り込み、幻想的に光り輝く札幌の街並みを見て回った。
私の後ろ姿を見つけて駆け寄ってきた将生くんが、拓磨くんを見て目をぱちくりさせる。
札幌駅東コンコース南口から私が出てくるのを待っていた将生くん。
「結衣の元夫、久保将生さんこそなんでこんなところに?」
拓磨くんも、元夫の将生くんが私を待ち伏せしている事に怪訝な表情を浮かべる。
「俺は今、札幌支社に出向でいて、それで結衣とさっぽろホワイトイルミネーションライトアップ馬車に乗る約束をしているんです」
さっぽろホワイトイルミネーションのライトアップ馬車の発射時刻が近づいていて、将生くんは腕時計をチラチラと見る。
「結衣、約束したの?」
「……馬車に乗るのは断りましたが、車でここまで連れてきて貰いました」
クリスマスデートはちゃんと断った。
「もしかして、結衣と神崎さん、付き合ってる?結衣のお腹の子の父親って神崎さん?はっ、神崎さん、三木不動産の代表取締役会長の孫娘と結婚するんじゃ、ーー結衣を愛人にするつもりか!!」
カッと頭に血が上った将生くんが拓磨くんの胸ぐらを掴む。
「……お腹の子?結衣、妊娠してるのか?」
拓磨くんに子供ができた事を打ち明けていない。
「お腹の子は俺の子に違いないな」
私のお腹を見て悟った拓磨くん。
「子供ができようができまいが俺は結衣と結婚して夫婦になるつもりだった。三木不動産の代表取締役会長の孫娘と結婚?何それ、するわけないだろ!!」
拓磨くんが胸ぐらを掴んでいる将生くんの手を跳ね除けた。
信じられないといった表情で拓磨くんを睨みつける将生くん。
「本当はこんなところでは渡したくなかったけど、信じて貰えないから今渡す」
トランクケースからハリーウィンストンのジュエリーケースを取り出した拓磨くん。
「結衣、俺と結婚して下さい。一緒に支え合って生きていこう」
私の前に跪き、ジュエリーケースをパカっと開けた。
中には大きなラウンドダイヤモンドに2粒ずつサイドに小さなダイヤが添えられた華麗な指輪が入っていた。
どうしたらいいか戸惑いつつ左手を差し出すと、手の甲にキスを落としてからケースから指輪を取り出し、薬指にはめられた。
クリスマスイブの札幌駅前。
クリスマスイルミネーションで多くのカップルがデートで訪れていて、いつのまにかギャラリー化した彼らに拍手され祝福された。
「……結衣、幸せになれよ。神崎さん、結衣を幸せにしてやって下さい」
跪いていた拓磨くんが立ち上がると、将生くんはそう声をかけた。
「結衣、クリスマスプレゼントにこれやる。せっかくだから神崎さんとさっぽろホワイトイルミネーションを見て回れよ。じゃ」
私にライトアップ馬車ツアーのチケットを握らせ、将生くんは後ろを向いて去って行く。
「結衣、乗らして貰おう」
ライトアップ馬車発車時刻まで後5分。
ギャラリーから逃げるよう、拓磨くんとライトアップ馬車に乗り込み、幻想的に光り輝く札幌の街並みを見て回った。
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