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「萌香、津田くんが迎えに来てるよ?」
「えっ、もう?」
LINEを開くと彼からメッセージ。
【早く、来い】

毎週、彼が塾がない木曜日に、わざわざ迎えに来る。
彼は奈良県にある最難関の私立中高一貫校の男子校に通い、わたしは自宅から割と近くの京都府内になる難関校の私立中高一貫校に通ってる。
小学校時代、同じ学区内で同じ塾だった彼とは小5の2月から、一応世間的には彼氏彼女な関係…。
現在、高1の春。
一応、いまだにこの関係は続いてる。
不本意ながら…。

「創くん、早かったね」
「遅い」
容姿端麗でジャニーズにはいれるんじゃないかと思われる創くん。
下校中の女子校性に動物園のパンダみたいに見られ、機嫌が悪い。
自宅が近いんだから、うちの前で待ってたらいいのに、わざわざ学校まで迎えにくる。
可愛い好みの子を見つけだすためか?

創くんと下校する木曜日。
彼はそのまま、我が家に来る。

実家が同じ小学校区で、パパ同士が仲良くて、家族公認の仲。
実際、本人同士は単なる幼なじみなんですけどね、…。

「創くん、数学と英語教えて?」
我が家についたら、使えるもんは使えで、創くんに勉強を教えて貰うわたしはちゃっかりしてる。
「教える代わりに、報酬はわかってるよな?」
お互い、好きという感情は持ってないけれど、利害関係を持ち、お互いを利用して、付き合ってる。
わたしは創くんから勉強を教わり、彼はわたしに身体を求める。
もしものことを考え、避妊は怠らない。
若手の至りの本能をぶつける行為。

そんな、わたし達は、周りからは、熱々の仲良しカップルに見えてるけれど、実際はそうではない。

創くんはとにかくモテる。
今も男子校に通ってるのに、創くんの事を知ってる女子に見つかると追いかけられてる。
塾でもクラスの女子に言い寄られてるとかで面倒臭がってる。
わたしも今も塾に通ってはいるけど、創くんと違う教室に移った。
創くんのファンが怖いから。
常に創くんが隣にいたけど、居心地が悪く勉強どころじゃない。
それに、今の教室には中学校でできた友達が一緒で和気藹々に勉強ができるから楽しい。
元いた塾よりはレベルは低いけど…。

創くんは、賢すぎる。
中学生模試は今も1番を取り続けている。
しかも中3の時に受けた大学入試判定で、T大K大医学部がA判定とかで自慢気に結果を見せて来たっけ。
日本も飛び級制度があれば、創くんみたいな天才児はさっさと大学卒業して、さっさと世に出て活躍するのにな。
若い時期だと脳も柔らかいし、新しい技術とか開発できるんじゃない?

「へぇ、萌香、県内8位、全国98位だったんだ」
昨日帰ってきた塾の模試の結果を机の上に置きっぱなしにしていたのを忘れてた。
創くんが開いて見る。
創くんはもちろん全国1位。取りこぼしがあったらいけないから一応受けてはいるけど、彼は飛び級で高校3年の模試を受けてて、そちらの順位は今回は全国8位だったようだった。塾の掲示板に結果が張り出されてた。
「萌香って、数学が弱いよな。ここ、落とすとこか?」
数学はセンスだとか、数学に美しい解法があるとか、わたしには理解できない。
創くんは、数学に特化したいわゆる理系の天才達が集まってる中高一貫校に通ってるから、数学が苦手なわたしの気持ちなんて理解できない。
わたしには理解不能な科学論文を発表していて、それが全国1位どころか学会でも評価されてるとか。

丁寧にわたしが間違った問題を教えてくれて、類問題を紙にささっと書き、わたしに解かせる。
塾の先生よりも説明がわかりやすい。
創くんのおかげで学年相当の問題はできて成績優秀者としていられてる。
創くんのレベルには到底かなわないけど。

「萌香、俺から勉強を教わった代償はわかってるよな?そろそろいいだろ」
数学と英語を教わるだけでなく、理科と社会も要点を教わってたら、19時半になっていた。2時間半も勉強してた。
わたしが持っていたシャープペンシルを奪われ、勉強机に向かって座ってるわたしに濃厚なキスをしてくる。
そして、わたしを抱き上げ、後ろのベッドに押し倒す。
「おばさん達、今日は帰ってくる日?」
「知らない…」
ブレザーのボタンを外し、ブラウスに手を入れ、ブラジャーのフォックを外し、2つの膨らみを掴む。
そしてブラウスをたぐりあげ、頂を口に含み転がす。
あまりの気持ちよさにうっとりしてしまう。
「おばさんが帰ってきてまた中途半端に終わるのは勘弁だ」
創くんがショーツに指を入れ、蜜が溢れてる挿入口をほぐし潤いを確認し、ポケットから避妊具を取り出し、自身の逸物に被せ、わたしの中に埋める。
イケナイ行為をしてるとわかってるから、時間をかけられない。かけても…10分。

雄の本能を放出した彼は、その後、帰っていく。
たまに、うちのママが帰って来てたら一緒に夕飯を食べる事もあるけど、その前にそそくさと帰る。

イケナイ関係は中3の夏から続いてる。

あれは、モテ男で駅前を歩くだけで女子が群がる彼に嫌味を言ったのがいけなかった。
小学生の頃から、ジブリなどのアニメーション映画が好きだったわたし。
いつも創くんと一緒に観に行っていて、中学生になっても続いてた。
本心は彼と一緒に出歩きたくない。
モデルさんに間違えられるぐらいの容姿の彼の隣にいると、可愛い女子達に下に見られかなり嫌な気持ちにさせられる。
創くんは、わたしを守ってるつもりなのか手繋ぎや腰に手を回し、わたしに密着し、群がる女子達を無視して牽制する。
それでも、わたしと創くんは付き合ってるわけでもなく、彼のダミーの彼女かもしれないけど、もう彼の隣にいて惨めな思いをしたくなかった。
創くんから、開放されたかった。

楽しみにしていた映画が気持ちが下がり楽しめなくて、うちに一緒に帰って、創くんに八つ当たりした。

「創くん、モテるんだから、わたしなんかじゃなくて、可愛い子と付き合ったら?」

中学生になり、お互い女子校と男子校に通い、うちはJRでふた駅で着くけど、彼は県すら違う通学時間に1時間以上かかる学校に通ってるから、意図的に会おうとしなければ会えない環境になった。
親の意向で塾はそのまま週2で通っていたけど、わたしが中2の冬から中学の友達がいる教室に移ったから唯一顔を合わせていた場もなくなり、創くんは怒ってた。
京都駅側の塾の本校はハイレベルの生徒が集まっていて、そこは英語と数学は学年を超えてクラス編成されるギフデットクラスがあり、創くんはもちろんそのクラスにいた。
わたしもなんとかそのクラスで勉強をしていたけれど、ついていくのが必死で、いつも創くんに塾の帰りにうちで夜遅くまで教えて貰うのがつらくなり、逃げた。
学年相当の勉強でトップ層にいられたらそれでいい。
両親を説得し、塾の教室を移り、今は自分に合ったレベルで勉強をしてる。
わたしと唯一一緒だった場がなくなり、不満だったのか、それから創くんは、わたしの部活の日の木曜日に、校門まで迎えに来るようになった。


なんでわたしに執着するのか理解できない。
小学5年生の時から、常にわたしの横にいて、《大切な彼女で、彼女しか興味ない》を貫いていた。
周りの女子からのラブコールが面倒臭いから、彼女という存在を作り牽制してるつもりでも、その彼女の存在がわたしだからか勝てると思い女子達はアプローチを辞めてない気がする。

中学生になり、塾の教室がかわることで彼女との破局説が出たのかな。
木曜日は会ってるという事実を作るためか、学校まで迎えに来る。何度か、
『来ないで』
とお願いしたけど、
『なら、塾の教室、戻ってこい』
と言ってきて、週2回あのハイレベルな内容を3時間も勉強したくないから受け入れた。
木曜日に部活があるのは文化部で、うちの学校の生徒達も大学受験を視野に塾通いをしてる生徒が多いから、17時半に学校に残ってる生徒は少ない。
初めの頃は創くん見たさに放課後に残っていたけど、今は見れたらラッキーな対象でわざわざ見るために残る生徒は居なくなった。


話は戻り、映画鑑賞から帰り、いつものようにうちで勉強をしようとわたしの部屋に上がった創くん。
わたしが、彼女役を辞めたいのを聞き、機嫌が悪くなった。

「創くん、わたし、自分に相応しい、身分相応な彼氏が欲しい。だから、もう、創くんと会うのを辞めたい」

この言葉に、創くんがぶちぎれた。
中学生の年頃で女子校だから、塾で淡い恋をしたいと思ったりする。
実際にわたしと中学が同じ友達2人は、塾で知り合い恋仲になった彼がいる。
楽しそうに笑いあっていて羨ましい。
創くんとわたしだと頭の出来が違いすぎ、必死に勉強についていこうとして、わたしはいつも泣いてた。
まっ、本当は彼氏彼女な関係でないから、勉強がついていけててもそんな甘ったるい関係ではないですけどね…。
移った塾は元々通ってた教室の次にレベルが高い教室だったけど、年相応の勉強はできてたわたしはトップ層にいて楽しく勉強ができてる。
同じくらいの知能レベルで、容姿も創くんと比べたら劣るけどカッコいい、話が合うクラスメイトと競いながら学ぶのが楽しい。
でも、創くんとの関係が移った塾の教室でも知れ渡っていて、恋の対象にされない。


今通ってる教室に気になる男子がいるのを話したら彼の逆鱗を買ってしまい、ベッドに押し倒され、いきなり舌inの濃厚なキスをされた。
でも初めてだから舌を噛みそうになりながら歯が当たりまくる下手くそなキス。
そこから、夏だから半袖のTシャツを着て、ミニスカを履いていて、無防備だったから彼の思うツボ。
でも、女子校とは共学の学校より男子の目が無い分、この男女の営みに対する知識についてあっけらかんと話のネタにされ、知識が豊富になる。
わたしもその手の話に参加してた。
好奇心はあり、経験してみたかった。

でも、その相手は創くん以外が良かった。

欲望の肉棒、彼の逸物をわたしの中に埋め込む。
思ってたよりも痛くて、顔をしかめるわたしに下手くそな舌inキスし黙らせ、埋め込んだ欲望の逸物を動かす。
野獣化しても理性はしっかりしてた創くん。
放出は出して、自身の手に白い彼の優秀な遺伝子のエッセンスを受け止めてた。

創くんはその後、何も言わず、わたしから顔を背け、ちり紙で手を吹きゴミ箱にそれを捨て、出て行った。

その夏は、気まずいからか創くんはわたしの家に来なかった。
夏休みとはいえ、毎日午前中に学校で特訓授業が行われ、午後からは塾の夏期講習もある。
真面目にわたしなりに勉強をしていた。
なのに、塾のクラスはそのままだけど、全国で100番以内に入ってなくて、パパから雷を落とされた。
創くんがわたしの勉強を見てくれてたから、今まで成績が良かったんだと思うと、自分が情けなく悔しかった。

パパ同士が同じ病院で医師をしていて、創くんのパパは循環器外科医師でうちのパパは循環器内科医師、ママの2人は仲良く小児科医をしてるから、わたしの成績は創くんの一家にツーツーで晒される。

学校の夏休み明けのテストはオール満点でトップでも学校外の人にはわからない事で、塾の模試の成績優秀者ベスト100から名が消えたわたしは落ちこぼれのレールを走っていってる気がして怖かった。

だから、9月の終わり。
自分から創くんに会いに行った。
創くんと確実に会えるよう、彼の塾が終わる時間帯に元いた塾の校舎の外で待った。

創くんは、同じクラスの学校も同じ男友達5人と出てきて、わたしを見つけ、友達に先に帰るよう伝え、わたしに駆け寄ってきた。
恥を承知に、創くんに勉強を教えて欲しいとお願いしたわたし。
彼はわたしに、彼女役だけでなく、勉強を教える見返りに身体の関係を求めた。
成績優秀者から外れたくないわたしは、承諾した。







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